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Lost19 底辺の隊長と呼ばれた男  作者: JHST
第八章 裁かれるもの、裁かれなかったもの
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①査問会

 王国騎士団の本部には、騎士でありながら不正を行った者、騎士として相応しくない行為をした者等を弾劾し、裁く場所がある。

 組織はそこにいる人間の数が多くなればなる程、不穏分子や不祥事は発生し、運悪く見つかってしまった騎士が年に数名程、その半分は綱紀粛正という名の見せしめとして、この部屋の中央に立たされる。


「まさか、自分がここに立つ日が来るとはねぇ」

 タイサは小さくそう零しながら、物珍しそうに部屋を見渡した。

 正面の階段状に並んでいる椅子の中央には金竜騎士団のイーチャウ団長が座っている。本来は進行役として騎士総長が座る位置だが、今回は遠征中の騎士総長の代理を務めていた。

 今にも有罪と言ってきそうな、既に勝ち誇った顔である。

 

 タイサの左右には、王都内で待機していた騎士団『牙』と『杖』の団長。さらに、顔は見た事がないが、王城から文官と武官が二名ずつ呼ばれていた。

 現役の騎士団長が裁かれる可能性がある場にもかかわらず、そして過去に例を見ない大事件としては、参加した者の数も質もすこぶる良くない方だろう。タイサは静かに自嘲する。


「まず査問を始める上で、タイサ団長には騎士として『真の宣誓』をしてもらう」

 司会を務めるイーチャウ団長の声によって開会が宣言された。速記を担当する事務騎士が羽ペンにインクを染み込ませ、慣れた手つきで彼の一言を書き込み始める。

 タイサの目の前、部屋の中央には白銀の剣が四角い大理石の上に刺さっている。これは嘘偽りなく証言をする事を誓う為のもので、被告や証言者等が証言をする際には、この剣に触れて誓う事で初めて発言を許可される。

 別段、呪いや契約の類ではなく、単なる儀式と言う方に近い。

 

 タイサはゆっくりと証言台に上がると、目の前にある剣の柄を両手で触れた。

 そして大きく息を吸い、ゆっくりと吐いてから声を出す。

「………私は騎士の名の下、全ての言葉に対して嘘偽りなく答える事を誓います」

「結構だ」

 イーチャウの言葉に、タイサは剣の柄から手を離して直立の姿勢を保つ。


 まず進行役のイーチャウから前置きがなされた。

「先に説明をしておくが、本査問会は裁判ではない。貴殿が先の任務について報告した内容を再度精査し、またその作戦行動中においての出来事を確認する事が目的だ」

 そして『ただし』と本題が始まる。

「証言や報告の内容次第によっては、後日裁判となる可能性がある事は伝えておく。自身の発言に関しては、一層十分に考慮した上で行うように。よろしいか?」

「分かりました」

 そうとしか答えようがなかった。

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