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恋人になったことは一度もなかった
彼女と付き合うことはなかった。
彼女は僕を好きといっていた。
今あるすべてを投げ出して君の所に行きたいと言われたことを覚えている。
彼女の話では、彼女の両親は彼女の元におらず母親は他界しており、父親は蒸発したとか。
児童養護施設で血のつながりのない弟たちと暮らしているんだとか。
住んでいる所は隣の県だった為、会おうと思えば会える距離にいた僕たちだったが
メッセージのやり取りをしていた頃は「いつか、一緒に行きたいところがある」と
いつ来るかも分からない「いつか」の話をよくしていた。
当時の僕もまた彼女に対して純粋に会ってみたいと思っていた。