三五話 広陽
途中、山を幾つか越えた。
そして、洛遼を発って数日後、キツツキ一行は広陽に着いた。
まず、皇帝の座す宮殿に向かった。
すでに人を遣り、到着する旨を伝えている。
宮殿に着くと、滞在中に使う宿舎をあてがわれた。
その内、キツツキと、随行の内の一人である単羲という壮年の男、そしてルゥラは、キツツキに率いられ、皇帝に会うため、宮殿のもとへ向かった。
一人、霓の臣の李嬰が先導する。
李嬰は、キツツキ一行を迎えた時、
「キツツキ殿、お待ちしておりました」
と大仰に両手を広げて歓迎の意を示した。
「おう」
それに、キツツキは尊大に構えた。
四人は、宮殿の長い廊下を歩き、一つの扉の前まで来た。
扉は、様々な彫刻のほどこされた木製のもの。
「こちらでございます」
と、嬰は扉を開けた。
木々の擦れる音は喧しく、再び静かになれば、キツツキたちは部屋の中へ。
扉の向こう、年季の入った木の床には絨毯が敷かれ、中央に円卓、灯はそこここに。
先客が二人。
一人は豪華な服を纏った男、その対面には白髪混じりの雄々しい髭を蓄えた初老の男がいた。
「来たか」
豪華な服の男が言った。
「叔珊、その御仁は?」
と、キツツキが訊いた。
二人は知り合いらしい。
叔珊と呼ばれた男は、待っていました、と言わんばかりに身体を揺すらせて答えた。
「葦鳴の国より来られた、不知火殿だ」




