二七話 宴の後
宴会後。
ある一室。
耳の長い少女は仁王立ち。
「——————ッ」
「私はサクラだ、よろしく、と」
彼女が発した言葉をミシウが翻訳した。
ルゥラは頭を下げ、
「ルゥラ・マイラインです」
「——、————」
ミシウの翻訳を聞いても、彼女は、ふんっと鼻を鳴らしただけ。
「——、————ッ、————ッ」
「棟梁に救ってもらったんですね、と」
ルゥラは頷く。
「————、————ッ」
「今のセントレージアのことが聞きたいそうです」
「たとえば、どういう……?」
漠然と訊かれてもわからない。
「この洛遼と違うところとか、セントレージアにしかない文化とか、かな?」
「えーとっ」
ルゥラは、くるくる頭を動かし、考えた。
一つ、答えではなく、疑問が浮かんだ。
「………。そういえば、ミシウさんの故郷って……?」
ミシウの出身はどこだろうと思った。
ミシウという語感は、霓よりも東レリル語圏に近い気がする。
「ああ、私の故郷はカロリアって国でね。確か、セントレージアの一つ国を挟んだ北側にあったはずだよ」
現在、東レリル語を扱う大陸東方諸国はセントレージアのみである。
過去には複数の国家があったが、魔族の侵攻によって、セントレージアを残し、すべて滅んでしまった。
ミシウの故郷、カロリアもその一つ。三十年程前、魔族の侵攻にあって滅亡した。
ルゥラは、なるほど、と頷いた。
さらに少しして、そういえば、と一つセントレージアに関することを思い出した。
「では……、四天騎士団ですかね……?」
「ああ、そういえばありましたね。名前は確か……」
「メウロリードです」
ミシウは、メウロリード騎士団というものがあると、サクラに言ったようだ。
そして、おそらく葦鳴の言葉を使って、その騎士団について説明し始めたようだ。
騎士団の知識はあるのだ。
なにしろ、大陸に住む人間の中で、四天騎士団を知らぬ者はいない、といっていい。
ルゥラは、以前、父ヨークから寝物語に、四天騎士団の話をしてもらったことを思い浮かべた。




