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討龍譚  作者: 二式山
  一章  旅
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十七話 励まし


 キツツキがルゥラを助けたのは遺跡からの帰り道である。


 実際、地図の通り遺跡はあり、封龍石もあった。


 その帰り道、彼は魔力の収束を視認した。


 普通は魔力など、空気と同じで感じられないし、見ることも叶わない。


 認識するには、魔力探知用の魔法を展開させる必要がある。


 しかし、キツツキは魔力を視ることができた。


 そして、発せられた魔力の元へ向かうとルゥラがいたのだ。


「棟梁」


 と、先程の男が言った。


 キツツキは男に命じ、周りに鉄狼に持ち去られた彼等の遺品がないか、調べさせていた。


「あったか?」

「はい」


 男は、見つけたベルトや防具を抱えていた。


 陰雨の中、地面に置くわけにもいかず、抱えたままだ。


「そういえば、他の奴らは帰らせたのか」

「はい。封龍石を持たせて先に洛遼へ帰らせました」


 男は四十代、短髪、常に口がへの字に曲がっているような顔をしており、眼光は蘭と鋭い。

 彼の名は宋蒙、キツツキ配下の内、他の連中の取りまとめ役をよくやっている。


 また彼の他にも数名、まとめ役のような立場の者がいる。


「それと、ここの他にも襲われた隊列がいくつか。ここからフーウェードに一台、リーリズへは二台、どちらも鉄狼に襲われたようで、私が着いた時には、もう……手遅れでした」


「そうか。その鉄狼は?」


「片付けておきました。冒険者がよく使う狼煙を上げておきましたので、あと見つけられるでしょう」


 多少の雨くらいなら、その狼煙が消えることはない。


 蒙は依然、遺品を持ったまま。


「馬車に乗せとけ」


 見兼ねたキツツキに言われ、彼は集めた遺品を後列馬車の荷台に置いた。


 雨が三人を濡らす。


 ルゥラは顔を上げ、キツツキの方を見た。


 ルゥラは、目の前の絶望にどうすればいいか、そもそも帰れるのか、まったく見当もつかず呆然としていた。


 キツツキを見たのも、何か理由あってのことではなく、ただ見るとは無しに見ただけである。


 しかし、キツツキはルゥラのそばに歩み寄り、しゃがんでルゥラと目線を合わせると、ポンと彼の小さな肩に手を乗せた。


「大丈夫、お前を故郷まで送り届けてやる」


 キツツキの視線は、しっかりとルゥラの目を捉えている。


「突然の不幸、今は悲しんでいい。だが、お前はこれからも生きるんだ。彼女も言っていたろう、お前が生きてて良かった、と」


 その顔に憐憫の情が浮かんでいた。


「お前は彼等に生かされた。ここで殻に閉じこもるな。今は悲しんでも、しばらく経ってからでいい、前を向け。向かなければ、彼女の生きてて良かった、という言葉に酬ることすらできない」


 ルゥラは、キツツキの話を聞いているのかいないのか、彼の目を見つめている。


 未だ、この不幸に心の整理がついていないよう。


 だが、わずかに顎を引き、

「うん」

 と、いかにも弱々しく頷いた。


「よし、お前は強い児だ」


 キツツキは、ルゥラの頭を掴むように撫でた。



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