十七話 励まし
キツツキがルゥラを助けたのは遺跡からの帰り道である。
実際、地図の通り遺跡はあり、封龍石もあった。
その帰り道、彼は魔力の収束を視認した。
普通は魔力など、空気と同じで感じられないし、見ることも叶わない。
認識するには、魔力探知用の魔法を展開させる必要がある。
しかし、キツツキは魔力を視ることができた。
そして、発せられた魔力の元へ向かうとルゥラがいたのだ。
「棟梁」
と、先程の男が言った。
キツツキは男に命じ、周りに鉄狼に持ち去られた彼等の遺品がないか、調べさせていた。
「あったか?」
「はい」
男は、見つけたベルトや防具を抱えていた。
陰雨の中、地面に置くわけにもいかず、抱えたままだ。
「そういえば、他の奴らは帰らせたのか」
「はい。封龍石を持たせて先に洛遼へ帰らせました」
男は四十代、短髪、常に口がへの字に曲がっているような顔をしており、眼光は蘭と鋭い。
彼の名は宋蒙、キツツキ配下の内、他の連中の取りまとめ役をよくやっている。
また彼の他にも数名、まとめ役のような立場の者がいる。
「それと、ここの他にも襲われた隊列がいくつか。ここからフーウェードに一台、リーリズへは二台、どちらも鉄狼に襲われたようで、私が着いた時には、もう……手遅れでした」
「そうか。その鉄狼は?」
「片付けておきました。冒険者がよく使う狼煙を上げておきましたので、あと見つけられるでしょう」
多少の雨くらいなら、その狼煙が消えることはない。
蒙は依然、遺品を持ったまま。
「馬車に乗せとけ」
見兼ねたキツツキに言われ、彼は集めた遺品を後列馬車の荷台に置いた。
雨が三人を濡らす。
ルゥラは顔を上げ、キツツキの方を見た。
ルゥラは、目の前の絶望にどうすればいいか、そもそも帰れるのか、まったく見当もつかず呆然としていた。
キツツキを見たのも、何か理由あってのことではなく、ただ見るとは無しに見ただけである。
しかし、キツツキはルゥラのそばに歩み寄り、しゃがんでルゥラと目線を合わせると、ポンと彼の小さな肩に手を乗せた。
「大丈夫、お前を故郷まで送り届けてやる」
キツツキの視線は、しっかりとルゥラの目を捉えている。
「突然の不幸、今は悲しんでいい。だが、お前はこれからも生きるんだ。彼女も言っていたろう、お前が生きてて良かった、と」
その顔に憐憫の情が浮かんでいた。
「お前は彼等に生かされた。ここで殻に閉じこもるな。今は悲しんでも、しばらく経ってからでいい、前を向け。向かなければ、彼女の生きてて良かった、という言葉に酬ることすらできない」
ルゥラは、キツツキの話を聞いているのかいないのか、彼の目を見つめている。
未だ、この不幸に心の整理がついていないよう。
だが、わずかに顎を引き、
「うん」
と、いかにも弱々しく頷いた。
「よし、お前は強い児だ」
キツツキは、ルゥラの頭を掴むように撫でた。




