十五話 雨の手前
フーウェードに着いて二週間。
いよいよ故郷へ帰る。
テンケイの毛皮や玉は、馬車二台に堆く。
「降るかな」
ヨークは空を見上げた。
太陽も青天も灰色に塗れてしまっている。
「いや、リーリズに着くまではもつだろう」
と、ブレントが答えた。
「ただ、リーリズで数日足止めになるかもな」
「そうか」
今日はあいにく、曇天。
しかし、今日中はもちそうということで、一行はフーウェードの街を後にした。
テンケイの皮などを山積みしているせいか、車輪の音が、行きよりも低く、重い。
ルゥラは後列馬車の中。
後ろを向き、徐々に遠ざかっていくフーウェードの街を、飽くことなしに見つめていた。
一方、魔王との会談を終えたキツツキは、フーウェードより北に三十キロの地点にいた。
「お頭、本当にこの先にあるので?」
と、訊いたのは三十前半の男。
「ああ、地図によると、な」
キツツキは魔王に貰った地図を見ていた。
レッドモスの南端、その辺りにバツ印がつけられていた。
「しかし、まあ、なんでこんな端っこに。すぐに見つかっちまうだろうに」
「いや、端の方が妥当だったんだろうよ」
「と、言うと?」
「俗にいう勇者パーティーとやらが、この森のあちこちにいた魔物の主を片っ端から倒したっていう話よりだいぶ昔だろ、封龍石ってのは」
「ええ」
「なら、埋めた当時、この森はバケモノみてぇな魔物が跋扈する魔境だったはずだ。たとえ龍人が凄まじく強ェといったって、そんなのと戦えば誰だって気づく」
キツツキは一息吐いた。
「龍薙にせよ、悪意ある者にせよ、そういう奴等に勘付かれて掘り返されちゃぁ、元も子もない。それならば、むしろ端っこ、デカい魔物のいねぇ所に静かに埋めれば、隠匿性は魔物とドンパチやってから隠すより高いだろう」
「なるほど」
男はポンと掌を打った。
「さすがお頭ッ」
男は両手を広げ、キツツキを讃えるようなそぶりをした。
キツツキはそれを傍目に、
「あいつら遅いな」
と、言った。
「方々に散っているので、集まるのに多少時間を食うのでしょう」
彼は、遺跡探しに、配下をレッドモス中に散開させていた。
それを、今呼び寄せているのである。
ただ、メーチェ達は呼ばない。
封龍石を見つけたら、後で呼び寄せて渡せばいい。
しばらくして、配下が少しずつ集まって来、全員揃った。
キツツキは、彼等に地図を見せ、遺跡の場所を指し示した。
「半分はここに待機。半分は俺について来い」
「「はいッ」」
ここに残す半分、先に帰らせてもいいのだが、もし印の場所に遺跡が無かった場合、また一から探さなくてはならない。
別に疑っているわけでは無いが、念の為、である。
キツツキは南へ足を向けた。
途中、魔物が現れるだろうが、キツツキはもちろん、その配下達も十分腕が立ち、たとえ群れで現れても問題はない。
(降るのは夜頃か)
キツツキは、曇天を仰ぎ見つつ思った




