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第11話 「友達」

「その……なんていうか、凄かったわね……」


「……だね」


 映画も観終わり、僕たちは劇場を出て今見た映画の感想を交わしあっていた。


「気分転換にはなった?」


「うーん、まだ足りない……。そうだ! どうせ映画の半券でクレーンゲーム出来るし、ゲームセンターでも行こ! そんで今日は遊んで遊んで遊びつくすわよ!」


「いいね!」


「それじゃあ遊びまくるわよ!」


「おー!」





 二時間後。


「ぐぬぬ……。後1センチ、後一センチずれれば……」


「もうやめよう嶺二! 無理だって! もう3000円費やしてるじゃない!」


 ――止まれない……。この限定フィギュアを取るまでは……!


「「あ」」




 さらにまた4時間後。僕たちはアニメイトに移動していた。


「そういえばさ。アニメイトでラノベ買うと、よく分からないカード付いて来るけど、あれってなんなんだろうね」


「あー、あの裏面ちょいタロットみたいなやつね」


「あれってなんか対戦とかできるのかな?」


「いや……。そんなわけないと思うけど……」


 ――あのカードって本当になんなんだろうな……。


「というか嶺二。アンタそのアホみたいな量のラノベ買うつもり……?」


 ――あ、つい。


「あ、あるよね? 何となく買うつもりもなくてラノベコーナー見てたら、気がついたら両手一杯に持ってて、財布を見てから真顔で戻す的な……」


「……」


「戻します、ハイ」


 僕がラノベを三冊を残して元の場所に戻していると、雪菜はカードゲームを売っているコーナーの前でウンウンうなっていた。


「ん? 雪菜、カード買うの?」


「……いや、さっき見た映画のキャラクターのサインカードが欲しいなと思ったんだけど」


「確率低いよねぇ……」


「5パックだけ買おうかな」


「いいんじゃないかな、ウン」


 そんな感じでだらだらと買い物をした後、お昼。




 僕たちはフードコートにてお昼を取っていた。


「いやー、結構遊んだね。この後どうする?」


「お昼食べるの忘れて気がついたら二時だったものね。うーん……。折角だからカラオケ行っちゃう?」


「良いんじゃないかな」


 雪菜の元気も表面上は戻った所で、僕は少しだけ踏み込んでみることにした。


「それにしても雪菜。悩み事ってなんだったの?」


「……ちょっとした家族の事情」


「そっか……」


 ――これ以上踏み込むべきじゃないよな……。


「それにホラ……。それだけじゃないから……」


「あ、ああ。例えば絶えることのない告白地獄とか?」


「そう! それよ!」


 ――あー……。


 入学早々に行われた校内人気ランキングにランクイン、それも上位の方にしてしまった雪菜は、来る日も来る日も靴箱にラブレターが入れられていたり、放課後毎度呼び出されて気分によって行ったり行かなかったりする。


「あれは……。大変だね……」


「同じ目にあってるはずの燐さん達に聞いても、やれそんなもの無視すれば何とかなる。アイツら無視してもご褒美ですとか言い出す奴らも居るし。だの。無視するのも申し訳ないし全部律儀に答えてるよー! 大丈夫大丈夫! 心を無にすればなんてことないよー、だの! ん? 家の事情で全て機械的にお断りしてるから問題なし! だの! 全然ッ参考にならないのよッ!」


「……ご褒美ですって」


「いや、突っ込む所そこ!?」


 ――いやだって、あの人たちのやる事に一々ツッコんでたらキリないし。


「まあアレだよ、程々に誠実に対応すればいいんじゃないかな?」


「それが出来たら苦労しないっつの」


 そう言うと、雪菜は机に突っ伏した。


「あ、ごめん。僕ちょっとトイレに……」


「ん? ああ、行ってらっしゃい」


 




「ふう……」


 ――それにしても大変だよな……。雪菜も。毎回呼び出しから帰ってきた後、人殺しそうなレベルで殺気立ってるし。


「ん?」


 そんな事を考えながら席に戻ろうとした、そんな時だった。


「あれは……夏美さん……?」


 僕が目にしたのは、泣きながら夏美さんに何かを叫ぶ雪菜と、今まで見たことのない様な形相で雪菜と言い合う夏美さんの姿だった。


 ――一体どうなって……?


 そして、僕がどうしたものかと迷っている内に、雪菜は泣きながら走り去ってしまった。


「雪菜!?」


 僕は目の前を泣きながら通り過ぎる雪菜に手を伸ばすが、届かない。


 ――……ッ!


 一瞬、その雪菜の去る姿にとある苦い記憶が甦り、眩暈がしそうになる。


 ――今はそんな場合じゃないだろ!


 僕は慌てて追いかけようとしたが、気がつくと雪菜は見当たらなくなってしまった。


「ん? ああ。お前も一緒だったんだな」


「……夏美……さん?」


 そこにはいつもの優等生然とした姿は無く、鋭い目つきと、思わず一歩後退ってしまいそうな気迫を出す夏美さんが居た。


「悪いがこっちが俺の素だよ。いっつも学校じゃ猫かぶってるからな」


「そ、そう……」


 ――いや、それも気にはなるけど……。


「今、雪菜が泣きながら走り去っていったんだけど。一体雪菜と何を話してたの?」


「それはお前に関係あんのか?」


 僕がそう聞くと、夏美さんはより一層僕を鋭く睨み付けながら、低い声を出す。


「だって、僕と雪菜は友達……」


「はッ、悪いがこっちは『家族』の問題だ。たかが『友達』風情が『家族』の問題に首を突っ込むのか?」


 ――それってどういう……?


「ッ! それは……。いや君たちの事情は分からない。それでも……」


 僕が尚も食い下がった瞬間、夏美さんは僕の胸倉を掴む。


「それでも、なんだ? たかが友達だろ? そもそもお前は何で雪菜と友達してんだ? どうせ、下心しかねぇクソみてえなお友達ってやつなんだろうが! アァ!?」


「ち、ちがっ……」


「じゃあテメエはどうして雪菜と友達やってんだ!?」


「……それはッ」


 ――趣味仲間だから? ……始めはそれだけだったけど、違う。雪菜が可愛くて学校の人気者だから? 確かにそういう面もあって、少し優越感に浸っていたかもしれない。だけど違う。もっと……もっと……。


「その程度の奴が、俺たちの問題に首突っ込もうとすんじゃねぇよ。いつも俺らのツラだけ見て、お友達とやらになろうとする奴らとご同類って訳だ。下心塗れのクソ野郎が。」


 ――僕は違う! そんなんじゃない! そうじゃないハズだ……。


 そう言うと夏美さんは僕の胸倉から手を離し、僕は膝から崩れ落ちた。


「どうした? 何か言ってみろよ! なァ!?」


 ――僕は……。僕は……。


「ハッ。言い返せない時点で認めてる様なもんじゃねえか」


「違ッ!?」


「二度とアイツに近づくんじゃねえぞ」


 そう言い残すと、夏美さんは去ろうとした。


「待って!」


 僕は無意識の内に手を伸ばし、夏美さんのバックを掴む。夏美さんはそんな僕の手を乱暴に振りほどく。その時、どっかのネズミっぽいパクリキャラのストラップが床に転がる。


「あ……。コレ……」


「それに触んじゃねえッ!!」


 僕がそれを拾うと、夏美さんはひったくるようにして奪い返す。


「チッ。兎も角テメエみたいな奴が、半端に人様の事情に首突っ込むなって事だ。じゃあな」


 そうして、そのまま去っていく夏美さんの背を、僕は黙って見送るしかなかった。


 いやー調子乗ってバイト入れまくるんじゃなかった。流石に9時間バイトだと、力尽きて小説書く元気が……。休日も半分以上睡眠時間になるし。バイトは節度をもってやりましょう!(白目)今回難産だったから余計に時間がかかってしまった、本当に申し訳ない……。シリアスは苦手なんです……。あ、ちなみにシリアス時はタイトルも自動でシリアス&シンプル化するから分かりやすいかも。

 ところでバンドリ、星5香澄がスキルマになってから2体も被ったんですよね……。俺はリサ姉が欲しいのにどうして一体も出ないんだッ!

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