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後悔してももう遅いのは俺! ループした悪役かませ炎使いが真面目に生きたら勇者覚醒イベント潰してしまって世界はピンチ?  作者: アニッキーブラッザー
第二章 ズレすぎた歴史

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第39話 破戒シスターと桁違いの怪物

 全身に悪寒が走る。

 マギナとソードに感じた時と同じような強烈なプレッシャー。



「ぬっ、バカな、こ、これは……この力は『まだ』……っ、こほんこほん、ぬぅ、何だこの力はー(何だというのだ! 坊ちゃまを追いかけてきたら、ミィが坊ちゃまといて、しかも、これは……ミィがキレたときの……『破戒シスターモード』ではないか!)」


「何と……神に仕える神官戦士にあるまじき、憤怒の……ミィが『あの時』……こほんこほん、禍々しい力ですね(破戒シスターモード……敵とみなした相手に慈悲もなく死刑判決を与える狂気……一体、私たちが駆け付けるまでの間に何が?)」


「な、なーに、コレ! なんなのぉ?」


「鳥肌が……ッ、姫様、お下がりを」



 ナニコレ俺も知らん! ソードとマギナですらも顔を引きつらせている。

 まさに奇跡の黄金世代と呼ばれる天才がブチ切れた時に見せる力ってか?

 あれ? つまりネメスの覚醒モードみたいなもんか?

 つまりこれ、いいことじゃね?


「何の騒ぎです!? っ、こ、これは、美味しそうな半裸の少年!? ……シスター・ミィ! これは一体……」

「か、わ……い……分からないけど、ミィ、この子は一体何なのです? 独り占め!?」

「それに彼女たちも……うぇ、ひ、姫様!?」

「え、ど、どうすれば? こ、これはどういう状況?」


 と、流石にこの騒ぎで教会に居る他のシスターたちも慌てて駆けつけて来て大騒ぎ。

 


「コノ子ハ誰ニモワタサナイ! ワタシノコドモ!」


「いや、ちげーし!」


「「「「それは違うッ!」」」」



 思わず全員でツッコミ。

 だが、ヴァブミィは聞く耳を持たない。

 もうヴァブミィの中では俺はヴァブミィの子供になっているようだ。

 


「神ニ代ワッテオ仕置キデス! 母ノ怒ヲ!」


「ちょ、何だこりゃあ!? つ、翼が、黒い翼が生えた?!」



 ちょ、何だこれは!? 聖母じゃないんかい! 神に仕える神官魔法騎士じゃないのかい!

 こんなのまるで、魔界の暗黒騎士みたいな感じじゃねえかよ!?


黒雷こくらい!!」


 しかも黒い雷を打って……ヤバい、これ、ヤバ――――


「ふふふふふ、フハハハハハハ! たまらん! たまらんなぁ! 血が騒ぐ! 滾る! 濡れるッ!」


 だが、それを更なる凶悪な笑みを浮かべて猛る怪物が剣を掲げて受け止めやがった。


「ソ、ソード……」


 雷を受け止めたソードが笑っている。これでもないぐらい上機嫌に。


「しばしお待ちを、坊ちゃま。この身は坊ちゃま専用ドスケベ肉便器奴隷なれど、小生にもまだ戦闘部族の血が残っておりますゆえ……抑えられそうにありませぬ!」


 恐!

 ただ、一言、今のソードを見て抱いたのが、そんなイメージだ。


「誰ニモ渡シマセン! コノ子ハ私ノダ!!!! 狂雷烈波!!」


 そんなソードに構わず、暗黒モードのヴァブミィが今度は自分と俺以外の周囲全体に向けた雷を……って、姫が居るんだぞ!?


「避雷針ッ!!」


 だが、次の瞬間、その雷が全体に届くのではなく、引き寄せられるようにマギナに向かって伸び……


「それが雷? 静電気では?」

「ッ!?」


 一身に雷を受けてなお、マギナは顔一つ歪めずただ笑っている。

 えっと……ナニコレ?


「ワタサナイ……ワタサナイッ!!!!」


 そして、一瞬驚いたヴァブミィもすぐに表情を殺意に染めて、脱衣所にあった掃除用のモップを片手にソードとマギナに向かって飛び掛かる。


「ふふん、おい、マギナ。こやつは小生の獲物だ。下がっていろ」

「ふっ、私はあなたのように戦闘バカではありません。身に降りかかる火の粉やら雷やらを防いだだけです。御主人様さえもどればいいので、どうぞご勝手に」

「ならばよし!」


 一方で、ソードとマギナは余裕の様子。

 二人で一緒に戦うのではなく、迎え撃つのはあくまでソード。


「ハッハー!」

「ワタサナイ!」


 速い。ヴァブミィの踏み込み、一閃、それをソードが紙一重で回避。


「ニガサナイ」

「ふっ、逃げてはいないぞ?」


 それでも追撃の手を止めないヴァブミィが連続斬り。

 目にも止まらぬ高速の斬撃。

 全てを目で追い切るのは俺でも絶対に無理。

 だというのに、ソードは……


「ふふ、どれ……」

「ッ!?」


 剣を鞘に納めた? なんで? 代わりにソードは人差し指を突き上げて……


「な、え、ええええ!? ゆ、指で!?」


 目にも止まらぬヴァブミィの斬撃を指一本でソードは捌いている。

 その場を一歩も動くことなく、ただ指で受け止め、弾き、受け流し……


「う、うそ……ねえ、ハビリ! ソードって……あんなに強かったの!? さっきのマギナもすごい魔法だったし……」


 いや、うん、強いんだよ、二人は。

 それこそ奇跡の黄金世代の……そう……本来、ソードもマギナもヴァブミィもネメスと一緒に世界の希望となる勇者なんだ。

 だからソードもマギナも強いのは当然なんだ。

 だが、それはつまり、ソードもマギナもヴァブミィと同格みたいなもんなんだ。

 それなのにこれは……


「し、信じられません、シスター・ミィの才能は……神官戦士の中でも歴代屈指の才能だというのに……」

「あのヴァブミィのあの力を前に……あ、あの余裕……」


 他のシスターたちも驚いている。

 そう、ヴァブミィは強い。それはこの禍々しい力で一目瞭然だ。

 だけど……


「じ、次元が違うでござる……」


 そこで、震える唇でイチクノがそう呟いた。

 そうだ。

 

 次元が違う。


 それほどまでに、差があるんだ。

 ってか、ソードもマギナもこんなに強かったのか!?


「そうでもありませんね。彼女もまだまだ強くなるでしょう」


 すると、この状況にあまり驚いていない様子のマギナがそう口を挟んだ。


「才能だけで言えば、恐らく二人にそれほど差はないでしょう……ただ、現時点では、二人が戦うのは少々時期が早過ぎた……それだけです(とはいえ、ソードが現時点でこれほど強いのは私も少し驚きましたね。御主人様から修行の時間を与えられている世界線のソードはこの時点でこれほど強くなるのですね。今の私なら楽勝だと思っていましたが、これは油断しているとソードに御主人様を攫われて逃げられてしまいます)」


 ゾッとした。

 前回のソードとマギナは、俺の性奴隷として飼い殺しの人生だった。

 ただただ俺の性の捌け口として日々身体と心を弄んだ。

 だから、二人が解放されて、その才能を活かせるようになるのは、本来ならもっと先の話なんだ。

 それなのに、解放された直後から二人は奇跡の黄金世代たちと共に戦えるほどの強さを持っていた。

 つまり、まともな修行時間を与えられなかった前回ですらアレほどだったんだ。

 まともな修行時間を確保できているこの世界では……



「フフフ……どれ、小生も少し技を使わせてもらおう。坊ちゃまにズコバコされずに悶々としている想いを少しぐらい発散も兼ねて……」


「ッ!?」


「コレ、借りるぞ?」



 まさに桁が違う。

 俺はこんな二人の時間を奪ってたのか? ってか、俺は嫌がる二人を犯しまくってたけど、もし首輪が無かったら100万回ぐらい殺されてたんじゃ?

 そんなことを思っている俺の前で、ソードは素早い動きでヴァブミィから武器のモップを奪い取った。


「ふふふ、真剣でやると……肉片すら残らずに消滅してしまうからな。安心しろ、当てもせん。ただ……漏らせッ!」


 そして、これまた次元違いの魔力がソードからあふれ出し、そしてその手に集中し、渦巻いて……


「あ、あ……」


 そして正気を失っていたヴァブミィもようやくハッとしたのか、腰を抜かし、目の前の圧倒的な力に震え、それでも……


「あの子は……ハビリ先輩には……ハーくんには母親が必要なんです! あの子は私の……わ、私の……私の子です! 私のお乳だってまだ飲ませていないのに、そんなの!」


 いや、違う。


「違う。坊ちゃまには小生が居る。甘えたければ小生の乳房もあるし、小生の母乳を坊ちゃまなら気に入ってくださるであろう」


 それも違う。

 まぁ、前回は確かにマギナのも含めて、飲み比べたり、同時飲みしたり、美味しく戴いたり、浴びたり、それを使ったプレイを色々……したけども……実際に気に入ってたけども……



「吹き荒れろ! 大魔螺旋――――――」



 そして次の瞬間には、巨大な竜巻が出現してあらゆるものを吹き飛ばした。




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