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後悔してももう遅いのは俺! ループした悪役かませ炎使いが真面目に生きたら勇者覚醒イベント潰してしまって世界はピンチ?  作者: アニッキーブラッザー
第二章 ズレすぎた歴史

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第38話 合法

「えっと、俺のママになるって……俺……親父は生きているんだけど」

「あら、そうなんでちゅか?」

「うん。だから、ママはいらんというか……」

「ダメでちゅ! あなたにはマーマが必要でちゅ。もう決めたのでちゅ!」

「……え? それってまさか……俺の親父と再婚するとか?」

「何を言ってるんでちゅか! 私はシスター。結婚などありえませんし、どうして私が見ず知らずの男と結婚するんでちゅか!?」

「……だよな。だったら―――」

「私がなるのは、あなただけのマーマでちゅ!」


 いや、ちょっと何言ってるか分からない。


「いや、その前に、ちょっと勘違いある! い、今更だけど、お、俺は本当は16歳であんたより年上なんだ!」

「……え?」

「俺、ハビリ! 事故で魔法の薬を飲んで小さくなっただけなんだ! お前の先輩の、ほら、ハビリだよ!」

「ッ!? ハビリ先輩?」


 とにかく、正気を失っているっぽいし、なんとか正気に……


「え? え? 何を……言ってるんでちゅか?」

「本当なんだって!」


 正直、今のこの両者裸の状態で正体をバラしたらどうなる?

 発狂されて殺される?

 いずれにせよ、最低クソ野郎とか言われないか?

 チオよりもヤバいことにならないか?

 ってか、こいつまでショックで学校休んだり……ええい、とにかく!



「蒼炎!」


「あ……その青い炎……ッ、チオさんとの決闘で……」



 俺は俺を証明するしかない。

 

「だから、……だからゴメン! 何か言うタイミング逃してこんなことに! ほんとにすまん! 本当に!」


 本当は子供じゃない年上の男に裸を見せてしかも抱きしめる。

 女としてこれ以上の苦痛はないだろう。

 でも、今は謝るしか……



「そうでちゅか。あなたはハビリ先輩……言われてみれば面影が……そ、そんな……」


「うん、だ、だから、その――――」


「なら、私は今日から先輩の後輩ではなく……ハーくんのマーマということになるんでちゅね?」



 あるえぇ? え? 何こいつ……ショックすぎて壊れてる?



「だーかーら、そうじゃなくて、俺、今は小さくなってるけど、時間が立てば元に戻るんだよ! 小さくなってるのは身体だけで、中身は元のまんまなんだよぉ!」


「ッッッッ!!!??? そ、そんな……」



 でも、流石にこれだけ言えば理解するだろう。

 そう、慈愛の心で愛そうとした目の前の子供は、実は本当はお前の先輩なんだ。

 

(そ、そんな、……うそ……私の可愛い坊やのハーくんの正体がハビリ先輩!? うそ、わ、わ、私、それなのに、こ、こんなに、肌を!? 子供じゃない……本当は私よりも一歳年上のハビリ先輩を……魔法薬で小さくなった? そ、そんなことが……でも、今の魔法や言動は確かにハビリ先輩……な、なんということです!)


 流石にとんでもないショックを受けているのか、動揺し、狼狽えて、フラフラと後ずさりするヴァブミィ。


(ハーくんはハビリ先輩で本当は16歳……え……16歳? ハーくんは16歳? あら? この国の男女のアレの年齢はたしか……なら、ハーくんは……私の子供である前に合法?)


 正直、こいつの暴走もあったとはいえ、それでも心中を察すると胸が痛む。


(そうです。考え方を変えれば、このハーくんに手を出したら違法でも事案でもなく、合法なのです! つまり、手を出してもいいということになりませんか? 私はハーくんのマーマになるだけでなく、合法的にあんなことやこんなこともしてもいいということになります! え? 得しかないではないですか! これは、主の私への贈り物でしょうか!?)


 あれ?

 何だろう。

 ショックを受けた顔をしていたはずが、急に口元が緩んでね?


(普段は大きいハビリ先輩の姿でいてもらうことになりますが、私との生活ではハーくんの姿で母子仲良く濃厚に……し、しかも、しかもぉ、一線を越えても合法! ハビリ先輩は母を亡くされているようですから、やはり甘えたいでしょうから、ハーくんとしてやはり私がマーマになるという理屈と筋が通ります!)


 あれ? 

 後ずさりしていたヴァブミィがまたこっちに近づいてきて……


「ハビリ先輩、全てを理解しました」

「お、おお……そうか……」

「そのうえで、私はハーくんのマーマになります」

「……は?」


 次の瞬間、ヴァブミィは俺を押し倒してきた。

 両手を抑えられ、背中から床に。


「ハーくんはマーマの子供でちゅ。そして今から本当の子供にするでちゅ」

「な、は、え、あ?」

「ハーくんはマーマの子宮から産まれてないでちゅ……だから、ハーくんの身体がマーマの身体から出たり入ったりすれば、もうそれでマーマの子供でちゅ!」


 いや、マジで何言ってんだコイツ?!

 出たり入ったりって……ま、まさか!


「ちょ、おま、お前! 分かってんのか! お、おい! おま、まさか!」

「マーマにそんな口の利き方したらいけまちぇん! イイでちゅか? 出産が終わったら教育もキッチリしまちゅよ?」


 間違いない! こいつ、ヤル気だ!



「や、やめろぉ! み、みろ、俺、今の俺は子供だぞ!? ほら、こんな子供の姿の俺をとか、おま、お前、駄目に決まってんだろうが!」


「……でも、ハーくんはハビリ先輩だから16歳」


「は? そ、そーだけど……」


「だから合法でちゅ♥」


「なんじゃそりゃああああああ!?」



 い、いかん、会話がまるで成立しない。

 ひょっとしてこいつ、奇跡の黄金世代で一番ヤバいんじゃないのか?!

 まずい、このままじゃ……


――ドカアアアアアアアアアアアン!!!!!


 と、強烈な破壊音と共に浴室の壁が壊れ……



「ぬおおおお、坊ちゃまの匂いいいィ、ここからぁ~、坊ちゃまぁ~……ッ!!??」


「御主人様、豚がまいりまし……ふぉわああ!?」


「ハビリ、こんなところに隠れてないで……うぇ!?」


「お、御館様……」



 外から四人の正義(?)の味方……


「な、何です、あなたたちは! ッ、え? ひ、姫様……そ、それに、あなたは……ハビリ先輩のメイドさん!」


 流石に急に壁を壊され、さらにそこから姫が現れたら、このぶっ壊れてるヴァブミィも驚くよな。

 ってか、メイドって……え? マギナと顔見知り? 二人はまだ出会ってないと思ってたけど、いつの間に?

 ってか、皆もこの状況に驚いている様子。

 そりゃ、子供姿の裸の俺と裸のヴァブミィが一線越えそうな状況を目の当たりにしたら、誰でも思考停止するよな。

 だが、すぐに四人は怒りの形相を浮かべ……



「貴様ぁ……なぜこうなっているか分からんが、小生の坊ちゃまに手を出す奴など神でも大魔王でも許さんッ!」


「もし、御主人様から子種を奪おうものなら、その腹を掻っ捌いて液一つ残らず取り出しますよ?」


「おっきいハビリもちっちゃいハビリも私のお婿さんなんだから、まず私が最初にするのが当たり前でしょ!」


「毒味は拙者がいたす……いや、この場合毒味ではなく……珍味? ……ぶほっ、し、失礼……コホン、姫様のためにも御館様を返していただくでござる」


 

 アレ? 俺、これ本当に助かる? こいつらに連れ戻されてもヤバくね?

 でも……



「な、何ですか……ダレ? ダレデス? ワタシノコドモヲ奪オウトスルノハ誰?」


「「「「ッッッ!!??」」」」



 ちょ!? こっちはこっちで何だこの魔力は!?


 

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