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後悔してももう遅いのは俺! ループした悪役かませ炎使いが真面目に生きたら勇者覚醒イベント潰してしまって世界はピンチ?  作者: アニッキーブラッザー
第二章 ズレすぎた歴史

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第31話 娘さんに会いに来ました!

「うおおおおお、チオいますかあああああ! チオオオオ出て来いいいい、学校に来いいいい!」


 宮殿での話が終わり、俺はダッシュでチオの家まで向かった。

 ソードもマギナもトワレも置いて、とにかく走った。

 帝都でも有名な格闘道場ということで、すぐに分かった。


「たのもぉおおおおお! たのもおぉおおお! たのもぉおおおおおおお!!!!」


 来週、帝国から親父たち国のトップの戦力がいなくなり、本当に魔王軍が攻めてくることになってしまったら、前回よりもはるかにヤバいし、下手したら今度は滅ぶかもしれない。

 それを回避するためにも、何としても奇跡の黄金世代であるチオに引きこもっていてもらっては困る。

 何としても立ち直ってもらわないとと、俺は道場に足を踏み入れてとにかく叫んだ。


「な、何だ、お前は!」

「道場破りか!?」

「どこの流派……いや、あの制服は……」


 そりゃ、いきなり道場に大声で入って来られたら誰だってそう思うだろう。

 でも、今は細かいことを気にしている場合じゃない。


「俺は怪しいものじゃないです、この道場の娘のチオさんの通う魔法学園の1学年上のハビリってもんっす! お嬢さんが今日は学校を休まれていると聞き、どうにか元気になってもらいたいとやってきました!」


 道場の中には門下生と思われる連中が俺に驚いたり睨んだりしてくる。


「お嬢さんの……」

「そういえば、お嬢さんは今日は道場にも出られてないな」

「しかし、どういう関係だ? ただの先輩後輩とは……」

「まさか、チオちゃんの恋人?」


 道場破りではないとしても、それでも道場の娘であるチオのことで叫んでいる俺に対して、門下生の連中はゴニョゴニョと何かを話し合っている。

 これ、俺がチオの恋人とかそういうありえねえ勘違いされてんじゃ……


「チオの恋人おおおおおおお????」


 と、やっぱそう勘違いされた?

 そして、それを叫んだのは、道場の最奥にいる……



「てーやんでェ! オラの可愛いチオちゃんが昨日から部屋に籠ってる……事情を何も話しちゃくれねぇ……まさか、全部お前の仕業かぁ、べらぼーめェ!」


「これはこれは~看過できひんな~……イジメたりましょか?」



 その奥にいるのは、頭に手ぬぐい巻いて、白い胴着を身に纏った豪傑と、東の国で伝統的だと言われている羽織袴姿の女。


「え、えと……ッ!」 


 その二人が前出てきた瞬間、他の門下生たちも一歩後ろに下がった口を閉ざす。

 あ~、これはアレだ……面影もあるし……



「初めまして、自分はハビリ! 帝国魔法学園の2年生です! 断じて! 断じて自分は娘さんの恋人とかそういう分不相応なものではありませんので、そこは誤解しないでいただきたい!」


「ぬ?」


「おやぁ~そーなん?」



 ここで「え? 恋人!? 許さん、不届き物は成敗してくれる」的な脳筋展開だけは勘弁だ。

 そして二人ともやはり勘違いしていたようで、少し驚いた様子。



「そ、そうか、べらぼーめ……あ~、とにかくオラがこの道場の師範。レネトラ・アヘイク。チオの父である」


「ウチは~インビ・アヘイク。チオの母ですえ~、可愛いらしい学生はん♥」



 やっぱりチオの両親か……親父さんはいかにも格闘道場の師範って感じで……って、お母さん若ッ! 姉かと思ったわ……しかし、なんというか美熟女というか妖艶というか……いやいや、そんなことより……


「で、学生はんは一体どうしてウチに来たん? それと、チオが今日部屋から出てこんのと何か関係あるん?」


 な、なんて言えばいい? 昨日娘さんを下半身丸裸にして舐めました? 

 いや、殺されるわ。

 とはいえ、嘘を言うわけにもいかねぇし……



「お、俺は昨日、娘さんと学園内でトラブルを起こし……そ、そして……ひどく傷つけてしまいました!」


「何いいいいい!? おのれ――――はぐっ?!」


「あんたは黙っとき~。んで?」



 俺の言葉に親父さんが秒で切れそうになったが、おふくろさんがニッコリ笑って制した。

 あ……力関係はそうなってるのね……



「その結果、娘さんは今日学校を休まれ……だ、だから、それを謝罪したく、こうしてここに参りました!」


「ほ~ん……んで? ちなみにどういうことをしたん? チオはまだ1年でも、腕っぷしは相当なもん。いくら優秀な生徒集う魔法学園の1年先輩とはいえ、そう簡単に泣かされるようなことはないと思うんやけどなぁ~」



 ど、どういうこと……やはり言わなくちゃ……ぁぁああ!



「そ、その、言い争った後に、け、決闘することになり――――」


「ッ!? な、んやて?」


「な、なんだと!? けっ、決闘でチオちゃんが泣かされ……バカな! つまりチオちゃんが決闘で負けたということか、べらぼーめッ!」



 と、俺が全てを言い終わる前に、両親はすごく驚いて身を乗り出し、周りの門下生たちもガヤガヤと騒ぎ出した。


「ば、ばかな、お嬢さんが、決闘で負けた?」

「いやいやいや、何言ってんだよ、チオさんだぞ?」

「ああ、この道場でもトップクラスのチオちゃんが負けるなんて……」

「な、何者なんだ、あの男……」


 なんか、すごいザワついているな。

 まぁ、奇跡の黄金世代の一人なんだし、あいつの強さはここの連中がよく分かっているだろうから、決闘で負けたとかそういうのは信じられないだろうな。



「あ~、すまへんなぁ~。ちょっと驚いて……せやけど、あんたは決闘で勝って、んで負けて泣いたチオに謝罪? そらまた随分と侮辱的な……」


「あ、いや、そっちじゃなくて! そ、その……け、決闘で、そのだいぶ、は、激しくて、しかも他の生徒たちも注目している中で……そ、その、魔法と拳のぶつかり合いで……お、お嬢さんの服が大変なことになって、そ、その……衣服が吹っ飛んで、裸を……恥ずかしい思いをさせてしまいまして!」


「あっ……そういえば……昨日は「ただいま」も言わず、勢いよく部屋に……ほ~~ん。なるほどなぁ~、肌を見られたわけか~。せやけど、そないなことはどうでもよくて……」



 流石に舐めたまでは言わんほうが……あ~、いや、でも……でも、嘘は言ってないし……でも、自分の愛する娘を裸にしたなんて男を、両親は――――


「……チオちゃんが……」

「ふむ……あんた、そういうことみたいやけど、どう思う?」


 と、あれ?

 ここで親父さんから鉄拳制裁でも飛んでくるかと思ったら、そうでもない?

 っていうか、怒っているというよりも……



「戦闘中に肌をどうとかは、まぁ、置いといて……いずれにせよ、お前は……娘と決闘……しかも激しい戦いを繰り広げられるほど……そして勝ったのか?」


「え? いや、勝ってないです! 決着つく前にそういうことになって、娘さんもダッシュでその場から―――」


「ぬぅ……つ、つまり、チオちゃん……いや、チオが敵前逃亡……あのチオが……ぬう」



 あれ? この親父さん、娘が裸にされたことよりも、そっちの方を気にしてる?

 すると、おふくろさんも……



「チオは親の贔屓を抜きにしても天賦の才を持っとりますぇ。国どころか、世界に名を馳せるであろう才を。ゆえに、同年代を相手にそもそも瞬殺されずに勝負になるという時点で、もはや普通ではない異常なことなんよ」


「うむ……」



 あ……何だろう……なんか、この感じ……格闘道場でこの雰囲気……ま、まさか、この後の展開って……



「ハビリといったな。お前の力を知りたい」



 ほらやっぱりいいいいい、こうなると思ったよぉおおおお!

 


「い、いやいやいやいや、お、俺はそういういののために来たんじゃなくて!」


「さあ、かかってくるがよい! 娘に会いたくば、オラを越えて行くがよい! でなければ、娘には断じて会わせんぞ、べらぼーめェ!」



 なんでだよぉお、ちくしょー!



「だーかーらー、そういうんじゃない! 俺は、俺は……チオに元気になって学校に来てもらいたいだけなんだ! あいつが傷ついているなら何度でも謝罪して、元気になって欲しいんだ!」


「「「「…………………」」」」


「俺の償いができるなら……あいつがまた立ち上がってくれるのなら……また学校に来てくれるなら……俺はなんだってやる!!」



 だって、そうしないとみんな死ぬかもしれないのに……



「なんでなん? 先輩はん……あんたは何でそんなに? チオに申し訳ないことした言うても、それは決闘の中でのことやん? 聞く限り、あんたがそこまで責任感じるものでもないと思うんやけどな~。なんでそこまでするん?」


「決闘だろうが何だろうが、女が涙を流したら全部男が悪いんだ! である以上、俺はあいつに償わなくちゃならねーんだ! なんでそこまで? 俺にはあいつが必要なんだよ!」


「お……ぉぉ~」



 だから、魔王軍を撃退するためには、あいつの力が必要なんだ。














「……やけに道場の方が騒がしいと思ったら……どうしてあの先輩が……な、なんなのよぉ……あんな変態エロエロ大魔神先輩が……わ、私が必要って……う、うう、どうして顔が熱くなるのよぉ……」


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― 新着の感想 ―
[良い点] 両親どっちも名前が酷いw と思って娘の名前見返したら草 普通の名前だと思ってたのにw
[気になる点] インビ・アヘイク。 なんて素晴らしいお名前なんでしょうか。
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