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後悔してももう遅いのは俺! ループした悪役かませ炎使いが真面目に生きたら勇者覚醒イベント潰してしまって世界はピンチ?  作者: アニッキーブラッザー
第二章 ズレすぎた歴史

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第25話 決闘万能説

 ネメスが俺の腕に飛びついてきた。


「先輩がここに居るってことは、先輩もクラス委員長なんですね? 僕もなんですよ~」

「そ、そうか……」

「いやぁ、僕は補欠合格みたいなものだから、クラス委員長になんて分不相応だし緊張するかな~と思ったんですけど、勇者を目指すならこれぐらいで怯えてたらダメですもんね! それに……先輩と一緒ですごく心強いです」

「……そうか……」

「やっぱり、先輩みたいに強くて優秀で熱血な方はクラス委員長にピッタリですもんね♪」


 強くて優秀で熱血な先輩……だから、俺は噛ませ犬だっていうのに!


「おい、ネメス。学園内で坊ちゃま相手に発情するな。しっし」

「んもう、ソードさんってば、僕と先輩はクラス委員長同士だから仲良くしてもいいんですよ~!」


 そんな決まりはまるでない。本当にどうしたもんか……



「ちょっと、私を無視するんじゃないわよッ! この雑魚ブ男!」


「「「?」」」



 あれ? 会話はもう終わったつもりだったんだが……チオのやつ、自分が無視されたと思っているのか怒っている様子。


「君は確か隣のクラスの……チオさんだよね? 雑魚ブ男って何のことですか?」


 ってか、チオとネメスは同じクラスじゃ……あ、いや、ネメスは補欠合格だから、それでクラスがズレて……うわ……こんなところにも歴史のズレが?



「はぁ? そいつのことに決まってんじゃない。他に誰が居るの? 大体あんたも、そんなザコザコブ男にベタベタベタベタ、ほんっと気持ち悪いわね。せっかく見どころありそうだし、あんたとは友達になりたいって思ってたのに、見る目ないわね」


「ちょっ!? ザコザコブ男? 先輩が? 何言ってるんですか! 先輩はとても強くて、とってもカッコいい先輩ですよ! 君の方こそ見る目が無いんじゃないんですか!」


「はぁ? だってこいつ、この間本気出したあんたに、『炎をかき消された』程度のレベル……あれだけオラついて、暑苦しい言葉を叫ぶ割には、あんたにも勝てないレベルだったじゃない。そんな男に発情してベタベタするとか、キモイを通り越してムカつくわ!」



 あ……そうか……そういえば、この間の俺とネメスでの騒動で、俺はネメスを倒さないように蒼炎を使わなかったから、このチオの中ではネメスに負けた雑魚認定のまま……そこは前回と変わらないんだな。



「ふーん、残念でしたー! 先輩は~、本当の本気の先輩は僕なんかじゃ全然敵わないぐらいのスッゴイ力の持ち主なんです~! ソードさんも言ってあげてください、先輩の魅力を!」


「ん? ん~(小生としては、坊ちゃまは学園内では余計な虫がつかぬように最低最悪雑魚認定の方が嬉しいのだが……)」


「とにかく、君は本当に目が節穴だね。どれだけ君が強いか分からないけど、君なんか先輩の足元に及ばないんだから、べ~~っだ!」



 俺の腕にピトリとくっつきながら、チオに向かってアッカンベーをするネメス。

 何だこの最悪の出会いは?

 俺が知っている前回のこいつらは……



――ネメス……わ、私……お弁当作ってきて……あ、自分用に作り過ぎて余ったからあげるだけで、あんたのために作ったわけじゃないんだから、勘違いしないでよね?


――ほんとう!? 嬉しいなぁ……うん、すごくおいしいよ、チオ!


――え? そ、そっか……えへへ……おっし……そんなに美味しいなら仕方ないわね、それなら明日からも作ってきてあげる!


――え、いいの? でも、大変なんじゃ……


――な、なによ、あんた、私のお弁当食べたくないの? いいから受け取んなさいよ!


――食べたいよ! こんなおいしいの、毎日でも食べたいよ!


――ま、毎日って、そ、それって、えへ、えへへへへへへへ♥ んも~、ネメスったら、そんなに私をお嫁、こほん、お弁当食べたいのね、仕方ないんだから~♥



 という、人目も気にしないイライラするようなやり取りを学園内で繰り広げていたのを覚えている。

 そんな二人が……



「男なんて所詮はクソ雑魚変態生物よ。そんなもんに媚び売るとか、ほんとムカつくわね! 嫌いだわ、あんたみたいな女!」


「別にいいよ、僕だって君のこと、好きじゃない!」



 お、俺が真面目に生きようとしただけでこうなっちまうのか?

 いやぁ、お、お前らが仲良くしてくれないと、せ、世界が! 人類が!? 



「け、喧嘩はやめろぉ! お、お前ら……お前らはこれからお前たちがこの学園を、そしていずれは国を、そして人類を引っ張る勇者の候補なんだろうが! そ、それなのに……喧嘩するなぁ! な、仲良くしろよぉ!」


 

 と、とにかく俺は止めていた。


「は? いやよ」

「先輩の言うことでも、これだけは聞けません!」


 しかし二人はベーっとか、イーっとか互いにして物凄く仲悪くなってしまった。

 どうする?

 この状況を打破するには……ほら……昔、何かの本で読んだ……そしてネメスの時もこうなった、アレだ!



「よし、それなら決闘だ! 決闘でケリをつけようじゃねえか!」


「「……え?」」


「坊ちゃま?(どうされたのだ? 放っておけばいいものを……最近の坊ちゃま、決闘の連続で決闘マニアになられたか? 女体マニアになっていただけないことには小生が困るのだが……)」



 そう、決闘だ。


「おいおい、なんだなんだ?」

「決闘って……」

「ちょ、あなたたち、委員会は……」

「いや、でもこれはこれで面白いような……」


 たしか、何かの物語で、決闘で互いにぶつかり合い、全力を出し合うことでお互いを知り、そして認め合い、結果的に強い絆で結ばれる的なのがあったというのを聞いたことがある。

 そもそも、ネメスが懐いたのも決闘だしな。

 うん、決闘万能説!

 とりあえず決闘しておけば解決。



「へぇ~……決闘ねぇ、それは面白そうじゃない?」


「先輩……そうですね……その方がこの子にも分かってもらえそうですしね」



 そして、これにはチオもネメスも乗り気な様子。

 流石は決闘万能。決闘万歳。

 ネメスとチオが決闘し、そしてその果てで互いの友情が芽生えれば、奇跡の黄金世代がこの世界でも結成――――



「いいわ、それならいかにあんたがザコザコかってことを私が思い知らせてやろうじゃない!」


「先輩、ガンバです! あの子に先輩の凄さを思い知らせてあげてくださいッ!」



 ……ん?






 ……え? 俺?




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