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後悔してももう遅いのは俺! ループした悪役かませ炎使いが真面目に生きたら勇者覚醒イベント潰してしまって世界はピンチ?  作者: アニッキーブラッザー
第二章 ズレすぎた歴史

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第20話 覚醒の未来を勝ち取るには

 今から数ヶ月後に行われる、人類の大規模な大遠征。

 それに伴い、王子や親父や兄貴のような人類の主力級の戦力をも送り込む大戦略。

 

 結集した人類は魔王軍が占領していた領土を大幅に削り、撤退させた。


 それは人類の勝利……のはずが、それを囮として裏では魔王軍の別動隊が手薄になった帝国に攻め入っていた。


 帝都は襲われ、街は破壊され、帝都民たちにも多くの犠牲者が出た。


 だが、それによって帝国が滅ぶことは無かった。手薄となった帝都の防衛、さらには六星大魔将という怪物に人々が絶望する中で、まだ魔法学園の生徒だった生徒たちが立ち上がり、これを撃退した。


 それが、勇者ネメスであり、奇跡の黄金世代と称えられる者たちだった。


 だが一方で犠牲がゼロだったわけじゃない。

 

 その黄金世代の一人であるトワレ姫が死ぬことになる。


 皇帝はトワレの死にショックを受けて、しばらく精神を病んだりする。


 その結果、「お前たちが遠征に行かなければトワレは死ななかった、魔王軍も帝都を襲わなかった!」などと宣って、軍総司令だった親父や兄貴は皇帝の命令でメチャクチャな死地に送られて、そして死ぬ。しばらく帝国は暗黒期のようなものを迎える。


 で、俺もまぁ、それまでの色々モロモロで国から追い出されて放浪。その後、王子が無理やり皇帝から権限を奪い取り、帝国は再び復活し、そしてネメスと共に一致団結して魔王軍に立ち向かうとか何とか、でも、その王子も途中で死んだとか、そんでどうなるんだ~? と思ったりもしたが、俺もそれどころじゃなくてよく分からん。そうだったという話は噂で聞いた。


 つまり、それらをどうにかするには……


「ねえ、ハビリ。一緒にお風呂はいろー!」

「……うぇ?」


 このお姫様を死なせないように。なのだが、当の本人はまったくそのことを知らずに能天気で頭お花畑。まぁ、無理はないけど。


「いや、な、なんで?」

「だって、ハビリってスーパードスケベなんでしょ? でも、私も流石にいきなりハードなのには耐えられないと思うから、お互い裸でちょっとずつ~っていうのがいいかなって思って……オッパイ触ったりとか、お尻触ったりとかはまだ、う~んって感じだけど……ハ、ハビリの頑張りしだいで、いけちゃうかもよ?」


 前回の俺なら秒で押し倒して、何なら毎日複数回だろうと抱き倒しているであろう魅力的な提案。

 お姫様ってこんな積極的だったんだな……そういや、前回もネメスに惚れてた時は結構積極的に頻繁に学園の中でも抱き着いてたっけ?


「あ~……それはァ……まだ早いかな~っと……」

「え~~~?」


 ただ、一個問題がある。


 このお姫様は帝都が魔王軍に襲撃されるまでの間にネメスと出会い、惚れ、親密になり、ネメスもトワレと親交を深める。

 もちろん恋仲にはならなかったし、そもそもネメスは女だったみたいだし……ただ、それでも友情的なのは芽生えていたのは事実。

 そして学園の中で様々なイベントやらを乗り越えて活躍し、国でも名が轟く奇跡の黄金世代と呼ばれるほどの絆を深める。

 だからこそ、そのトワレが死んだときにはネメスの怒りの覚醒的な光が天まで届き、その力で敵を討った。

 でも今は……


「あ、あの、トワレ姫……その、せ、先輩は嫌がってますし……」

「な~~~にィ? 文句あるのぉ? っていうか~、ネメスは試験合格して寮に入れるんだから、もうそっちに行けばいいのに~」

「え、そ、そんな……で、でも僕は先輩にお礼を……」


 と、こういう感じで二人は知り合いになるのだが、前回とは全然違う状況になっちまったということだ。

 トワレを死なせないようにして、ネメスを覚醒させるってどうすりゃいいんだ?

 そもそもまだ一回目の覚醒だって前回より弱いし。

 たとえば、死なないまでも……そう、ピンチ。ちょっとピンチになるぐらいに……そうなれば覚醒させられねえか?

 そして怒りで覚醒させるためには、やはりトワレとネメスの関係も良好でないといけない。


「ハビリは私とお風呂入るでしょ?」

「せ、先輩、僕、先輩のお背中を……そ、その……」


 そのためには友情を……そう、例えば今みたいに争うようにするんじゃなくて……共通の敵みたいなのを作らせれば……共通の敵?

 よし、ならば……



「あ~~~~、もうメンドクセーな。それなら……くははは、俺の足の指でも舐めたら一緒に入ってやろうか?」


「「……え?」」

 


 俺は前回の自分……下衆でクズでクソ野郎だったときの自分を思い出して、笑みを浮かべて、俺の突然の発言に耳を疑った様子でポカンとする二人に言い放ってやった。



「けっ、もういい子ぶるのはやめた。両方とも俺の性処理人形にしてやるよ」


「せ、先輩……え?」


「ハビリ……何を……」



 笑みを浮かべたまま、裸足になって俺は二人に足を突き出す。

 


「やれやれまだ気づかねえのか? チョロい女共は頭もおめでたいんだな。俺がこれまでいい子ぶっていたのは、お前らを俺のオモチャにするためさ。残念だったな、わはははのはー! どうだ、俺はとっても悪なのである!」


「「……………」」


「だが、それも今日までだ! 二人には俺がたっぷりエロいことしてやらァ! ほら、まずは俺様と風呂に入りたければ、俺のこの足の指を舐め―――――」



 これで二人は俺を「女の敵」みたいに認識して、侮蔑と軽蔑を―――



「先輩……あの、演技下手……って言われませんか?」


「なーに? わざと私たちに嫌われようとしてるのー? っていうか、エッチなことするためにいい子ぶってたなら、いいこぶったままエッチしちゃえばよかったのに、なんでいきなり『俺は悪い奴なんだー』みたいなことするの?」


「うぇ……?」


 

 二人は侮蔑と軽蔑ではなく、何だか俺の考えなどお見通しだとばかりに半笑いだった。

 


「ぺろぺろちゅぱちゅぱ♥」


「ひゃぅん!? な、え!?」


「「あっ!!??」」


 

 ただ、その時だった。

 いつの間にか俺の前に現れていたマギナが、四つん這いになって俺の右足の指を全部いっぺんに口に入れて舐めて吸っていた……


「ママママッマ、マギナァ!?」

「じゅぞぞぞぞ♥ ぷはっ……ふふふふ、御主人様……言質は取りましたよ? 足の指を舐めたらお風呂ですね? うふふふ」

「え、え!?」

「では、全身洗体させていただきます♥」


 そして、普段は鉄面皮なのに、この瞬間は淫魔のような笑みを浮かべるマギナ。

 戸惑う俺の返答を待たずに、マギナは俺を無理やり脇に抱えてそのまま走り出した。

 こいつ、小柄なのに、魔法使いなのに、何でこんなに力が……


「わぁ、ず、ずる、そんな……うう、先輩、ぼ、僕も舐めますからァ! 僕もお風呂に!」

「ひどいよぉ! ずるいよぉ! わ、私だってそれぐらいできるよぉ! だから私もぉ!」


 ダメだ、こ、これは本当に全員で―――



「ま、待てぇ、まて、マギナ! それにネメスもトワレも! 俺たちはこんなことしている場合じゃないはずだぁ!」


「「「?」」」

 


 とにかく、俺はもう過ちを犯さない……物凄い魅力的な展開であるが、煩悩を必死に押し殺す。



「王子や親父も言ったように、俺たちに親密になれとか、愛人認める的なのもあったが、同時に俺に対して求めるものも変える、相応しさを求める的なの言ってただろうが! つ、ま、り、ここで同棲初めていきなり大乱交的なのを繰り広げたら、すぐに俺たちは終わりだぞ! やはり婿にもふさわしくないとか、奴隷の所為で堕落したとか、色ボケした女は勇者にふさわしくないとか!」


「「「むっ……」」」



 そう、親父たちは別に俺らに「好き放題にしろ」などとは言ってない。ここで怠惰で淫らな性生活に堕ちようもんなら……


「うぅ……た、確かにそれはありえるかも……兄様は……」


 トワレも俺の言葉にハッとしてくれた様子。

 


「ネメス、お前はようやく補欠合格したレベルだろうが! 本来なら寝る間も惜しんで剣でも振らなきゃならないんじゃねえのか! 男の股の剣にデレデレすんじゃねえ! まだ授業も始まってねえんだぞ? お前の目標は入学か? それとも勇者になることか!?」


「う、そ、それは……たしかに……」


「マギナも、あんまりエロいことして……お、俺が、堕ちたらどうするつもりだ!」


「そのときは私が養います。いえ、むしろドンと来い?」



 そして、ネメスも羽目を外し過ぎていると自覚してくれて神妙な顔。マギナはブレねーな……



「と、とにかくだ、仮にだ、そ、そういう、え、エロいことをするにしてもだなぁ……たとえば、うん、魔王軍の大将軍を倒せるとかそういう快挙でもあれば別だけどな?」


「ええええええええ、何それぇ! そんなのメチャクチャだよぉ、ハビリ!」


「そそ、そうですよ、先輩! い、いきなり何でそんな目標なんですか?」


「む……それはまた何とも……」



 とにかく差し当たっての目標は数ヶ月後の魔王軍の大将軍対策。そのためにはネメスには特に強くなってもらわないといけない。

 まだピンと来てねえようだが……



「それぐらいの偉業を成し遂げたら、プライベートで多少の羽目を外しても王子も親父も何も言わねえだろうが! おお、そんときゃー、お前らの望むことを何でもしてやるぜー!」


「「「……ナンデモ?」」」



 と、そのとき……三人の目が急に変わって……


「ナンデモ!? ナンデモとな!?」


 急に廊下に勢いよくあいつまで現れた。


「わ、そ、ソード!?」

「坊ちゃま……今、小生にはそう聞こえましたぞ? ナンデモ? ナンデモ! 何でもぉおおおお!?」


 そして、騒ぎを聞きつけたソードも現れて、目が……



「ふ~ん、そっか……でも、それぐらいのことをしたら、確かにだよね~」


「魔王軍の大将軍を討ったら……先輩が何でも言うこと聞いてくれる……何でも……何でも♥ って、ダメダメ、そんな不純な理由で僕は頑張るんじゃないんだから……」


「ふふふふふふふ、坊ちゃま、言質は取りましたぞ? (これは好都合……つまり、攻めてくるあの大将軍さえ殺せば……うぇへへ♥ )」


「ナンデモ、ハアハアハアハアハアハアハアハア、ナンデモ♥ (なるほど、随分と面倒ですが……ソレさえすれば御主人様は私をクソメスブタ扱いしてくださる♥)」


 

 あれ? 俺……なんかヤバいことを口にしてしまったか?

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