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ただ『僕』が思い出を語りながら懺悔するだけの話。

作者: 鯖缶

誰しも幼い頃の忘れたくても忘れられない思い出がある。思い出すだけでも枕を顔に当てて悶えたくなるような思い出、、所謂『黒歴史』だ。


例に漏れず、僕にもそこそこ酷い黒歴史があるのだけれどこの場では、僕にとって心地よかった、少し黒歴史とは違うかもしれないけれど良い過去ではなかったことが確かな思い出を語らせて欲しいんだ。今でも偶に夢に出てくる、やり直したいあの日々のこと。







僕には女の子の幼馴染が居たんだ。小学1年生の頃からの付き合いで、小4になるまではいつもゲームをして遊んでいたくらいには仲が良かったんだ。美少女とは言いきれないくらいだったけれど、ソイツの笑顔は太陽みたいで凄い眩しかった。暗めな僕とは大違いだった。


よく話だけれど、途中で僕と幼馴染は敬遠気味になってしまった。ただ、僕の方からではなくあちらから離れていってしまったんだ。僕はまだ幼い心のままだったので、何故よそよそしい態度を取られるのか分からず、なんとも言えない虚無感に包まれてしまったんだ。


ただ、その歳に生まれて初めてのバレンタインチョコを貰ったんだ。存在だけは知っていたから、貰った時は意識していなかった幼馴染とはいえ飛ぶほど喜んだね。


ここだけの話、僕には他に好きな人が居たんだよね、、。その時には転校しちゃってたけれど、仲の良かったロングヘアの女の子。幼馴染は短めの髪を好んでいたけれど個人的には長い方が好きなんだよね、、。


まぁ浮かれきっていた僕なんだけれど、ホワイトデーのお返しという難問が襲いかかってきた。

「(お返しって何にすれば良いんだ、、??)」

小学生男子には難しい壁に当たってしまうんだ。


そこで、よく分からないし某ネズミの国のお土産を渡そうと考えたんだよ。

マシュマロの。


そう、バレンタインとホワイトデーでは渡してはいけないものを。


知らない人に説明すると、マシュマロを渡すことには『あなたが嫌いです』と伝える意味があるんだ。最低だよね。


知らずとはいえ、それを渡してしまった僕は余計に幼馴染と敬遠になってしまったんだ。あちらは意味を知っていたみたいでね、、。


これが、最初の間違い。


時は飛んで中学生、僕は他の小学校から来た知らない子達にビビりつつも何とか入学をしたわけだけども、幼馴染とは敬遠気味のままだった。


ただ、中学2年生の途中から幼馴染は暗くなったんだ。何でかを知るのは後になるけれどね。


その頃の僕はマシュマロの意味を知ってしまい、何とか謝ろうと距離を詰めて行ったんだ。


でも、僕は謝れなかった。何となく恥ずかしかったから。我ながら酷い理由だと思う。


それでも、帰りに幼馴染の家の前で雑談とかできるくらいにはなったんだ。オタクな話をするアイツはやっぱり眩しかった。暗くなっていたことには気づいていたけれど、それで安心していたんだ。


その頃、同じ委員会の子があまりに数学が出来ずに酷い点数を取っていたことを見かねた僕はその子に数学を教えることにしたんだ。下手な教え方だったと思うけどね。


それでかは分からないけれど、僕がその子の事が好きなのではないかという噂が流れたんだ。


それからだ、また幼馴染はよそよそしくなって、話す機会も減って行ったんだ。


誰かが噂に踊らされて要らぬ気を使って排除したのか、アイツ自身が噂を聞いて離れていったのか、、もう分からずじまいなんだけれどね。


また離れられるのは嫌だったから、僕から何とか距離を詰めて行ったけれど、やっぱりよそよそしかった。


その頃に聞いてしまったんだ。彼女がいじめられているって噂を。


詳細は省くけれど、そこそこ前から陰口を叩かれていたりしたみたいだ。僕が鈍すぎただけなんだろうね。

それが原因で暗くなっていたのに。


それを知ったところでもう遅かった。何とか前みたいに明るくなって貰えないかと頑張ったけれど、時間が足りなかったんだ。


もう受験前まで時間は過ぎてしまっていたんだ。


僕は適当な高校に入ろうとしていたけれど、彼女はそこそこ偏差値の高い高校に入ろうとしていたんだ。


ただ、アイツは落ちちゃった。入試でやらかしたらしい。


らしいと言うのは、僕はそれから幼馴染と会話していなかったからなんだ。卒業式でも、ね。


小説の主人公のような勇気も、運も、行動力もない僕にはハッピーエンドも何も無かった。あのマシュマロの事もいじめられていることを知らなかった事も、沢山謝りたいことがあったのに。


その時の僕が本当に好きだったのはアイツだったのに。








もう言えないだろうけどね。

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