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第0話 プロローグ

新作! ……と言うか、スピンオフです!


あらすじにある通り、「魔物使いの弟子」本編のスピンオフとなります!

一応本編を知らなくても楽しめるような作りにしていますので、気軽に一読していただけると嬉しいです!

 

 空は厚い雲に覆われて、時折稲妻が迸る。

 冷たい雨に身体を打ち付けられながら、一人の青年が森の中を疾走していた。


 藍色の髪は雨に濡れてしっとりと水気を含み、前髪が額に張り付いている。

 そして金色の瞳には、憔悴の色が窺える。


「くそっ……僕がいながら……」


 そう一人ごちる青年の周りには、数体のワイルドウルフがいた。

 ワイルドウルフ達はこの森に住まう魔物ではあるが、青年の敵ではない。

 この魔物達は、青年が仮契約をして使役している魔物に過ぎなかった。


 そう。

 青年は―魔物使いであった。

 それも、『魔王』と呼ばれるほどの実力を持つ者でもあった。


 そんな彼は焦りを滲ませた表情で、森の中を駆け抜ける。

 そして森の中を突っ切る街道まで出たところ、そこには惨劇が広がっていた。


 馬車は横転し、一組の男女が互いに覆い被さりながら血塗れの状態で事切れていた。

 青年はフラフラと覚束ない足取りでその遺体の下まで辿り着くと、力が抜けたように濡れた地面に膝を着き、項垂れる。


「ごめん……姉さん、義兄さん……。僕がいながら、三人・・を……」


 青年が後悔を滲ませた一人言を呟いていると、赤子の泣き声が彼の耳に届く。

 青年はハッとした表情を浮かべて顔を上げ、声のする方へと向かっていく。


 声は横転した馬車の荷台から発せられていた。

 青年がその中を覗くと、毛布にくるまれた赤子が雷鳴にも負けないほど大きな声で泣いていた。


 青年は赤子の傍まで歩み寄ると、その赤子を雨に濡れて冷えきった両腕で抱き上げる。

 すると彼の腕に、赤子の温かさがじんわりと広がっていく。


 その温かさを噛み締めるように、青年は赤子をしっかりと抱き締めながら、涙ながらに告白する。


「ごめんな……僕が不甲斐ないせいで、キミから両親を奪ってしまった。だからこれからは……僕がキミを守るよ――ソロモン」


 青年―ダビデはそう、未だに泣き続ける赤子―ソロモンに向かって誓った―――。








次からこの物語の本当のスタートです!




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