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エイル村とアルス村2

 窓から、ピクシーを眺める。

 ピクシーに向かって棍棒を振り上げていたゴブリン達7匹の様子が、おかしくなった。頭を左右に振ったり、後ろにひっくり返ったり、棍棒をあらぬ方向にぶん回していたりしている。

 ピクシーの幻術だ。効果範囲が広がっている。7匹いっぺんに混乱させる事に成功したようだ。

 一匹のゴブリンが、適当に棍棒を振った先に、味方のゴブリンがいた。殴られたゴブリンは、殴った方のゴブリンに掴みかかる。仲間割れだ。


「ペンドラ、群れを囲んで」


 掴み合いの殴り合いしているゴブリン達を、ペンドラ10匹が取り囲み、徐々に距離を詰めていく。そして、毒液を吐きかけた。毒状態になった対象は、時間経過で体力が減少していく。ゴブリンのステータスを確認する。ポイズンのスキルレベルが上がったお陰で、体力の減りが早くなっている。

 ペンドラもピクシーも、スキルの質が確実に上がっていた。


 スキルレベルについてコアに質問してみた所、やはり討伐時に獲得する経験値とスキル経験値は別物だから、スキルレベルアップを目指す時、低レベルの魔物を相手にしていても、魔物とのレベル差は障害にならないようだ。


 ゴブリンのステータス画面に、メッセージが重ねられる。


『討伐に成功しました』


 タップして、メッセージを消す。もう一度ステータスを見ると、ゴブリン達の体力ゲージは真っ黒に削れていた。

 ゴブリン同士の討ち合いで死んだ場合、ピクシーの幻術で混乱状態に陥っていれば、討伐にカウントされるようだ。


 メッセージが届いた。今度は、わざわざ消さない。放置して、メッセージが勝手に消えるのを待った。

 ウィンドウが無数に重なっていく。


『討伐に成功しました』

『討伐に成功しました』

『討伐に成功しました』

『討伐に成功しました』

『討伐に成功しました』

『討伐に成功しました』

『討伐に成功しました』

『討伐に成功しました』

『討伐に成功しました』

『討伐に成功しました』

『討伐に成功しました』

『討伐に成功しました』


 ゴブリンの数に合わないメッセージ量だ。多過ぎて見切れない。暫く経って、自動で全て消えたことを確認する。自分のステータス画面が開かれた。村人が死んだ分だけ、討伐報酬が入っている。経験値やポイント数値がえげつない位に伸びている。


 最終的に26レベル、ポイントは109865貯まった。新しい称号を獲得した。開いて確認する。

 称号『100人斬り』。


『称号が更新されました』

『称号が更新されました』


 メッセージを消して、確認した。


称号『見習いダンジョンマスター』パッシブスキル『ダンジョンマスターレベル2』

称号『200人斬り』アクティブスキル『十把一絡げレベル1』

一日に200人殺した(現在267人)。

半径5メートル以内の敵を対象に、単体攻撃を全体化させる。


 討伐量の多さから、阿鼻叫喚となった村を想像してみる。

 猛毒を流した川は、二つの村に繋がっている。西の方は一度損害を受けているから、本来なら事態の収束も早くなる。でも、今は有事対策の指導をする自警団が抜けている。東の村は、今回が初めてだから対処に追われていると予想する。

 実際の現場の様子を聞いてみよっと。念話を使って、奴隷達の脳内に直接話しかければ、余程ビックリしたのか、二人共声にならない声を上げていた。


 東の村は混乱状態。そして西の村は、男衆が武器を持って、東に進軍している所だった。

 オークが待機している場所に、ピクシーを向かわせる。


『イトは村の外に避難』

『オークは、西から人間の群れが来たら、私に教えてね』


 これから、西の村の民が東の村に攻め入る。混乱中に襲撃を受けると、東の村は対応に手間取る。甚大な被害が出る事が、予想される。

 このままイトが村の中にいると、戦禍に巻き込まれてしまう。人間の協力者はまだ失いたくない。


 ピクシーが、オークと合流した。

 暫く経って、オークから念話が届く。民兵が門番と揉めている最中らしい。しかし、多勢に無勢。長くは持たないだろう。

 門番が倒された。西の兵が入り口を抜ける間、ピクシーに幻術を掛けて貰う。

 これから人間同士が殺し合う。こちらが関与しなくても死者が出るが、それでは困る。討伐判定を受けないからだ。だから、ピクシーの幻術にかける。混乱状態のまま、彼らが人を殺せば、討伐にカウントされる。


『ご主人。人間の群れ、村に入ってった』

『全員?』

『うん』

『じゃあ、村の入り口前に待機して。あ、真ん前に立っちゃ駄目だよ。見つかって警戒されるから。入り口の死角に隠れて』


 オークが、指定の場所に着くのを待つ。


『移動した?』

『うん』

『ちゃんと、村の中からだと見え辛い場所?』

『うん』

『よしよし。村から逃げてきた奴がいたら、退治して』

『殺せばいいの?』

『そーそー』


 十分も経たない内に、メッセージの嵐が届く。


『討伐に成功しました』

『討伐に成功しました』

『討伐に成功しました』

『討伐に成功しました』

『討伐に成功しました』

『討伐に成功しました』

『討伐に成功しました』

『討伐に成功しました』


 メッセージが切れるまで待つ。称号が更新され、『600人斬り』になった。

 東の村をあらかた荒らし尽くせば、兵は自分の村に引き上げる。しかし、入り口はオークが塞いでいる。オークに、一人残らず迎撃して貰う。


 落ち着いたら、イトを村に入らせ、残党の処理に当たらせた。

 残党狩り自体はオークでも出来るが、後々この村に来た人間が、不審に思ったら困るから、魔物の痕跡を村に残したくなかった。だから、人間のイトを使う。

 役目を果たしたイトから、念話が届いた。念の為、ピクシーに村を回って貰い、生存者がいない事をもう一度確認する。

 オークが直接手にかけた死体を、川に流させた。

 撤収だ。


『アルス村の征圧に成功しました』

『10000ポイント入手しました』

『5000経験値入手しました』

『レベルアップしました』

『テリトリーを拡大しました』


 初めて見るメッセージだ。帰ったらダンジョンコアに聞いてみよう。


「という訳でコア、征圧って何?」

『敵の領域を占領、及び消滅させる事で征圧となります。ポイントや経験値、テリトリーを獲得出来ます』

「テリトリーを拡大したらどういうメリットがあるの?テリトリーとダンジョンの違いって何?」

『テリトリーを持つメリットは、より遠くの侵入者を感知出来る等、地理的優位性を得やすい所にあります。テリトリーはダンジョンを含めた貴方の陣地です。ダンジョンとほぼ同じルールで機能していますから、敵をテリトリーの外に追い出す事で撃退となります。また、テリトリーにいる味方全体のステータスがアップしたり、敵を隷属させ易くしますが、ダンジョンと比べれば効果薄です。テリトリーの範囲や数に制限はありませんが、所有出来るダンジョンは一つのみです。また、コアが正しく機能出来る場所は、ダンジョンだけです』

「分かった、ありがとう」


 森にいる魔物を全滅させて、森もテリトリーに入れようかな。

 いや、その前にまだ、やるべき事が残ってる。


 西の村だ。東の村は滅ぼしたけど、西の村はまだ残っている。川には毒が流れ、若い男衆は消えた。あそこも大分弱まっている。私一人で攻略出来そうだ。

 斧を片手に、ナイフを腰に提げる。新しいスキルを試したかったのよね。

 深夜、オークにダンジョンの見張りを任せて、ピクシーをつれて西の村へ向かった。ヤスには、東の村と同様、逃げ場を無くす為に入り口を塞いで貰う。ピクシーは、ヤスと一緒に入り口で待機。

 寂れた村の中を歩く。家に灯りもついていなければ、煙突から煙も出ていない。村は完全に寝静まっていた。一番近くの家の窓を、斧で割り、侵入した。玄関のドアのノブを、叩き落とす。大きな音に気付いた家の住人達が、ぞろぞろと部屋に集まってくる。

 危機を察して、ドアに向かって走っていく背中に、目を向けた。

 ウィンドウを開いて、ステータスを確認してみる。レベル4。次にコマンド画面を開いて、スキルを選択した。

 ドアノブが無いのに気づき、立ち止まったその人の腕を引いて、振り返らせる。すかさず、ナイフを突き刺した。刺されたその人は、何が起こったのか理解出来ないような顔で、私を見つめていた。腹から、血が流れる。すると、周囲の人間にも同じ傷跡が出来た。スキル『十把一絡げ』の全体化効果だ。重い肉の感触を引き摺りながら、ナイフを抜く。足から力が抜けた村人は、肩に凭れかかってくる。同時に、周囲の人間も、床に倒れた。

 一家心中に見えなくもない。


『討伐に成功しました』


 メッセージを消していく。


 入り口に近い家から入り、隈無く村人を殺していき、段々奥へと押し進める。

 逃げ口が混雑すれば、ヤスだけで対応しきれない。私の目を盗んで村の外に逃げる人が、なるべく出ないよう、配慮して路を選ぶ。

 裏口から逃げようとしていた村長を捕まえ、裏口に引き戻す。狼狽えている村長の家族や、刺股や袖搦を持って、出方を伺っていた役人の前で、村長を刺した。同時に、その場にいた家の住人全てが、血を吹き出して倒れた。

 村の入り口へと引き返し、ヤスに向かって手を振る。逃亡者はいなかったか聞いた。ピクシーのフォローもあって、上手くやれたようだ。


『エイル村の征圧に成功しました』

『10000ポイント入手しました』

『5000経験値入手しました』

『テリトリーを拡大しました』


 これで村の攻略が完了した。

 ステータスを確認する。


名前 ???

レベル 38

体力 3500

筋力 2195

知力 3315

敏捷 1245

魅力 759

運 1569

称号『柔軟』パッシブスキル『情報吸収』

卓越した適応力と理解力を持つあなたに。情報整理能力と知識吸収率が大幅にアップする。

称号『見習いダンジョンマスター』パッシブスキル『ダンジョンマスターレベル2』

ダンジョン内では自分及び味方のステータス値に補佐が入る。召喚した魔物、隷属した者が従順になる。コアの元へ瞬間移動出来る。

称号『侵略者』パッシブスキル『侵略行為レベル1』

同業者ダンジョンマスターを陥れる者。他所のダンジョンに入る事で相手のスキル『ダンジョンマスター』の補佐より1.5倍、自軍のステータス値を引き上げる。

称号『斧使い』パッシブスキル『斧術レベル1』アクティブスキル『断ち割り』

斧を装備すると筋力上昇。

切る・割る攻撃威力上昇。

称号『木こり』パッシブスキル『木伐きこる』アクティブスキル『伐り倒す』『薪割り』

植物系特効。斧を何度も振るい当てる事で威力が上昇する。

背骨に斧刃を当てる事で『伐り倒す』発動。クリティカル率高。

頭頂部に垂直に当てる事で『薪割り』発動。クリティカル率高。

称号『900人斬り』アクティブスキル『十把一絡げレベル2』

一日に900人殺した。

半径10メートル以内の敵を対象に、単体攻撃を全体化させる。


実際、900人より討伐人数は多い筈だが、日を跨いで、カウントがリセットされたんだろう。


種族 ピクシー

レベル 34

体力 975

筋力 710

知力 2280

敏捷 895

魅力 2165

運 3175

称号『悪戯っ子』アクティブスキル『幻術レベル2』

相手に幻を見せて、迷わせる。

称号『幸運を招く者』パッシブスキル『幸福』『愛されレベル2』

目を合わせた人間に多幸感を与える。人間に守られ易くなる。

称号『癒す者』アクティブスキル『ヒールレベル1』

レベルボーナス。対象を小回復させる。


種族 オーク

レベル 36

体力 4230

筋力 1980

知力 620

敏捷 950

魅力 331

運 1680

称号『豪腕』アクティブスキル『投げ飛ばすレベル1』

腕力に物を言わせて、対象を強引に投げ飛ばす。高確率で敵を仰向けに倒す。

称号『色欲』パッシブスキル『興奮』アクティブスキル『持ち帰るレベル1』

同種異種族問わず、異性を見るとステータス値がアップする。仰向けになった雌を低確率で隷属させる。


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