準備2
ステータス確認。
種族 ゴブリン
レベル 3
種族 スライム
レベル 2
自軍に属さない相手のデータは、能力値や称号が隠れている。
斧を振りかぶりながら、走り寄って、叩き割る。ダンジョンマスターはそれなりに強く設定されているようで、割とあっさり倒せた。
短いファンファーレが鳴り、レベルアップを知らせる。日が暮れるまでずっと、森中の魔物を討伐していた。
『称号『斧使い』を入手しました』
『称号『木こり』を入手しました』
ステータスを開示する。コアから離れた所為でコアと連動していない為、召喚、ショップ等の特別機能は使えないが、ウィンドウ自体は開ける。
称号『斧使い』パッシブスキル『斧術レベル1』アクティブスキル『断ち割り』
斧を装備すると筋力上昇。
切る・割る攻撃威力上昇。
称号『木こり』パッシブスキル『木伐る』アクティブスキル『伐り倒す』『薪割り』
植物系特効。斧を何度も振るい当てる事で威力が上昇する。
背骨に斧刃を当てる事で『伐り倒す』発動。クリティカル率高。
頭頂部に垂直に当てる事で『薪割り』発動。クリティカル率高。
能力値を見る。
名前 ???
レベル 14
体力 1650
筋力 900
知力 1095
敏捷 690
魅力 300
運 692
称号『ひよっこダンジョンマスター』パッシブスキル『ダンジョンマスターレベル2』
六時間はレベル上げに勤しんでいたお陰で、大分レベルが上がった。ダンジョンマスター以外の称号はスキルレベルが上がっていない。討伐する事で入る経験値とは別に、何らかの経験を積む必要がありそうだ。
続いてピクシーのステータスを確認する。
種族 ピクシー
レベル 11
体力 250
筋力 150
知力 750
敏捷 225
魅力 850
運 1200
称号『幸運を招く者』パッシブスキル『幸福』『愛されレベル2』
ステータスの伸びがいまいち。私とレベル差付いちゃってるのは、キルボーナス入ってないから?
愛されレベルは上がっている。村人に可愛がって貰ったのかもしれない。体力と素早さの伸びは期待出来そうにないから、せめて生存率を上げられる幻術を鍛えよう。
まだピクシーは帰っていない。体力は減っていないから危険な目に合っていないようだ。
所持ポイントは100075。大量に余っている。これで部屋改造しよう。一度、ダンジョンに戻ることにした。
ウィンドウを開くと、コアの機能が戻っていた。コマンドで味方に指示を出せるようで、詳細を見てみると『念話』機能があった。ピクシーに、ダンジョンに戻るよう命令を飛ばす。
「ショップ。家に改造して」
一目でダンジョンと判る装いだから、偽装しよう。
間取り図が開かれた。折角だから浴室、脱衣場、寝室、トイレを造る。ドアも購入して仕切って。
『12700ポイント消費します。本当によろしいですか?』
ダンジョンごと改造するのは、やはりお金がかかる。
「はい」
『改造しました』
「テーブル、椅子二つ、ベッド、クローゼット、バスタブ、便器、全身鏡購入」
『1550ポイント消費します。本当によろしいですか?』
「はい」
図を見て、配置設定する。
『購入しました』
日常に必要な浄化スキルと、水、火系統スキルを購入する。適性はあるようで、問題なく使えそうだ。
鏡を見て、見た目は普通の人間と相違ないか確認。耳と犬歯が若干尖ってる。後、目に赤みが増してる。擬態スキルとローブを購入することにした。フードをしっかり被り、顔が隠れていることを確認する。スキル系はやはりお高め。残り77765ポイント。
ピクシーが帰ってくるまでの間、時間をもて余す。
その間、ダンジョン攻略の手順を考えてみた。自力でダンジョンを探し出す程、非効率的な事は無いから、ギルドを利用しようと思う。ギルドなんて入る機会無かったから、詳しくないけど、ダンジョン攻略の依頼があること位は解る。ソロでやるか、パーティに入るか。安全なのは確実に後者。私にはまだ実戦経験が無い。ダンジョンマスターの先輩方にソロで挑むのは、無謀というもの。
パーティに加入するとして、しかし、気になる点が一つ。
「パーティ組んだら、メンバーに称号公開されない?」
『初期設定では公開されるようになっています』
私の称号に『ダンジョンマスター』がある。ダンジョンは人間にとって忌むべき存在。この称号をギルド員に見られるのは非常に不味い。
うん?初期設定?
「非公開に出来るの?」
『50レベルから可能です』
今のレベルの3倍以上はある。このまま近辺の魔物を討伐しまくっても、レベル差が開いているから獲得経験値はぐっと減る。今みたいなハイペースで、50レベルに到達出来る程甘くはない。まだまだ先は長い。ダンジョン攻略は後に回そう。
玄関から、小さい物がぶつかる音がする。
『ますたー、あけて!』
帰って来たようだ。ドアを開けると、ピクシーが外から勢いよく飛び込んできた。鳥の様に、鏡の上に止まって、二対の羽を休めている。六時間も偵察に行っていたのだ、流石に疲れたようだった。
「近くに村はあった?」
『うん!2つあった』
「ここからの距離は?村と村の距離は?村の周辺には何があった?」
『南にとんで30ぷんくらい。1ばんちかいむらと、となりの西のむらのあいだは、60ぷんかかる。むらのまわりは、かわとやまいがい、なにもなかった』
「村は川を利用してた?」
『うん!東のむらにも西のむらにも、かわはながれてる。みんなつかってたよ』
「村は何で囲ってる?」
『すごくたかい、木のへい』
「入り口はどっち向きにあった?」
『東のむらは、西がわ。西のむらは東がわにあるよ。どっちのむらも、やさしいおじさんが、いりぐちのそばに2人たってた』
「おじさん達のレベルは?」
『15くらいだったとおもう』
ピクシーの言うおじさんとは、門番だ。ピクシーの言動から察するに、可愛がって貰ったらしい。 村の戦闘職は最低でも15レベルと考えると良さそうだ。
「お疲れ様。よくやったね」
人差し指の腹で、豆粒大の頭を撫でくる。ピクシーは気持ち良さそうに目を細めていた。お腹が鳴る。
そういや何も食べていなかった。ご飯にしよう。ウィンドウを開き、ショップで食品を見ていく。消費ポイントは10~50と、非常に良心的。生活必需品系はどれも安い。
「何食べたい?」
『はんばーぐ』
白飯と一緒に購入。巨大な肉塊が湯気を立てて、テーブルの上に現れる。勿論ちゃんとお皿に乗っていて、フォークとナイフ付き。でも、ピクシーには大き過ぎて使えそうにない。私は、肉を適当な大きさに切り分け、差し出した。
妖精の小さな腹に、どれだけ収まるだろうか。フォークに突き刺さっていた肉は、もう食べきっている。両頬を膨らませて、幸せそうに食べているピクシーを観察する。さらに切り分け、ちまちま与えた。
ピクシーが拒否る頃に、ハンバーグは半分以上減っていた。小柄の割に大食いだ。私は割と少食な方で、残りを食べるともう満腹だった。
明日の村攻略に備えて、召喚する魔物を選ぶ。今日はもう早めに寝よう。