小学生
第三話
野原小学校、一年生。ロボットである秀夫は無事、視力検査や体重測定等を終えて、入学に成功。
自律成長型人間【ロボットー小学生編】開幕だ。
彼の最初の友人は、大久保くんだった。
「大久保くん、ぼくと友達になりませんか」
オフィスの監視者たちは拍子抜けした。だれも自分から友人を誘うシステム、プログラムを組んでいなかったからだ。オフィスからはスタンディングオベーションが始まった。
その日の小学校はオリエンテーションで終了した。帰り際、PTAの目つきの悪い白髪混じりのお母さんに、久遠孝広にたいし、こっそり近づいて
「秀夫くん、でしたっけあの子、なにか少し変わっているわ」
秀夫は
「アッハハ、幼稚園時代からよく言われてきたんですよ」
「そうなんですね、大変失礼いたしました」
〈この白髪混じりのお母さんは後の秀夫の初恋の人物の母であることを、まだ誰も知ることはなかった〉
帰りに秀夫は
「ぼくにお友だちができたんだ、まだ覚えてないんだけど、大久保くんだ」
「あと、もう少し長く小学校にいたかったな」
秀夫は母と父両方にこう伝えた。
「よかったな、ヒデ、その友達は大事にしなよ」
うん、と頷き、その一日をルーティンで終わらせた。
小学生編の開幕である。
ようやく面白くなりそうだな、と監視を目的としている某国のオフィスは固唾を飲んだ。
頑張ります。