適当男の末路
やあ。皆おはこんばんちは。君達がいつ見てるか分からないから一応全部の挨拶をしてみたよ。
まぁそんなことはどうでもいい。助けて。
『イィィィィヤァァァァアアアアア!!』
「死ねぇ!」
「殺せ!」
「腸引きずり出してその口に(ピーーー)」
今のこの状況?うーん…俺にもよく分からないけど頭の整理も兼ねて説明するね。
今俺がプレイしている全感体験型立体仮想世界、まあ所謂VRゲームのめっちゃ凄い奴って思って?
それの最新ソフト『HELLOWORLD』って言うなんか凄いゲーム。らしいよ?
友達が『おめぇもこれやれ。暇だろ?』って言ってネット回線やら専用の機材やら色々工事して出ていった。
そいつの家から俺の家は近くないし金も安くないだろうに…よくやるよ。
ああ、ごめん。話逸れた。
そんなわけで中世ヨーロッパ風の世界観で剣や魔法を使って悪者や魔物と戦うを『HELLOWORLD』を起動したんだけど…俺って悪役が好きだからさ?魔物として『HELLOWORLD』を遊ぼうとしたわけよ!
設計を簡単に弄ってさ?規約とか読み流して始めてみたらね?
最初の村の住人が総出で俺を殺しに来るの
「射殺せぇ!」
「刺し殺せ!」
「喰…掻…裂…削…」
『ヒィエエエエエ!!』
飛んでくる鎌や鍬に弓の雨を掻い潜って必死に走る白い人影。あっ、この白いのが俺ね?一応人の形はしてるけど体毛は無いしのっぺらぼう、大きさは1メートルあるかなぁ?って感じ。足は速いみたいだけどそれ以外は分からない。ゲーム始めて五分でこの状況だし。
て言うか何時まで追ってくるのコイツら!!
周りは遮蔽物のないだだ広ーい草原、多分だけど2分位走ってるんじゃない?体力ヤベーな村人!?もっと弱く設定しろよ運営!!!
そう思ってるとピロリンと言う効果音と共に視界の左端に文字が浮かび上がった。
[更新!]
走破距離が一定まで達しました。最高速度を更新します。
『なんかキタァ!!!!今俺が最も欲しいやつ!』
どうやらこのゲームはプレイヤーの行動によってステータスが上がるものらしい。
[更新!]
更新できませんでした、更新するには立ち止まって下さい。
『クソゲーかぁぁああ!!』
その後俺は村人が帰るまでの5分間ひたすら走り続けましたとさ。ちゃんちゃん
草原で手を付いて項垂れる俺。魔物だけあってスタミナはかなりあるし実際に体を動かした訳じゃないけど精神的疲労がね?いやー怖かった…
『て言うか!何であんなに最初の村人が好戦的なの!?』
この時俺は知らなかったが魔物は基本的に凶悪な人類の敵だと言う設計で最初のチュートリアルでも説明文があり注意書きもあった。説明文を流し読みした自業自得である。
[更新!]
全ての更新を取得しました。更新情報からご確認してください。
『ん?あぁ。そう言えばあったな更新情報』
さっきまで逃げるのに必死で忘れてたが最高速度を更新とかあったねー。
左端に『!』のマークがあったので意識を向けると記録された更新情報が視界に浮かび上がった。
走破距離を一定距離達成!最高速度上昇
直進距離を一定距離達成!歩幅上昇
走行時間を一定時間達成!スタミナ上昇
スタミナ上昇は取得済みの為ステータスポイントに還元
ショボッ…まあ真っ直ぐ走ってただけだしこんなもんか。だけどステータスポイント。これは少し嬉しい、俺の種族よく分からないけど始めたばっかりで弱いだろうからヒットポイントとか防御力とか少しでも上げとこう。
早速意識をステータスポイントに向けてポイントを割り振ろうとしたけれどそこで分かってしまった。
『え?ヒットポイント9、アタックは攻撃?が4!?他もスピードとスタミナ以外は軒並み10以下ぁ!?』
そう。スピードは24。スタミナは42と割りと高水準なんだけど…それだけ。
『え!?え!?弱いって言っても限度あるじゃん!何でなんで!?』
すかさず自分の種族の欄に目を向ける。
『魔導生命体』
[古代の時代に作成された人口生命体の子孫。非力で柔らかく大量の経験値を保有しており他者に狩られ絶滅寸前の貴重な魔物。コレクターに高値で取引されている]
…
……
………詰んだわ