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眠れる王  作者: 慧瑠
見えてくる意思

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魔王ガゴウ・シュゴウ

呼吸を整え前を見る。


さっきまで降り注いでいた石の破片は地面に刺さり、その破片の間には無数の羽根が高速で移動している。その更に奥、石の雨を身に受けていたはずなのに、傷一つない肉体を持つ魔王ガゴウは、羽根に切り刻まれていくショトルの事など気にせずに私達を見据えていた。


「艮、希望はあるかい?」


後ろから安賀多さんが私に聞いてくる。この場合の希望は、きっと曲の事だろう。

だけど、私はあまり曲に詳しくないし好みの曲も……ないなぁ。家ではお父さんに合気道を叩き込まれていたし、勉強もあったし。


「選曲は田中君と佐々木君に任せます」


私には決められそうにないから、二人に任せることにしよう。


「アップテンポ希望」


「テンション上がりそうなの」


「あいよ。沙耶香、理沙、JAZZアレンジでいこうか。スキルは使っても、音に魔力を乗せないように気をつけな!」


安賀多さんが一回大きく音の鳴らすと、それが開始の合図みたいで曲が始まった。同時に中野さんかドラムを鳴らしてスキル'ブレーメン'の動物達が姿を見せる。

九嶋さんもベースで演奏を始めて、'ベメルクバールスポット'で自分達をライトアップしていく。


それで数体のショトルがこちらに注意を惹きつけられて向かってくるけど、安賀多さん達の役目を知っているジーズィさんが見逃す事はない。

私達を取り巻く無数の羽根は数を増し、迫ってくるショトル達を微塵切りにしている。


増えはしないけど再生はしているショトルを横目に、私は田中君と佐々木君に目配せをして合図を出した。


二人も頷き、奥で立って私達を待つガゴウに集中する。そして、ジーズィさんが牽制してくれているおかげで空いている道を駆ける。


「三人か。全員でも構わねぇんだが……まぁ、いいだろ。簡単にくたばってくれるなよ!!」


近付く私達を見たガゴウは、肩から力が溜まり振り下ろした。


私のスキル'柔と剛の合'では体術スキルに補正がある。そして今着けている手袋も、スキルで生み出したモノで、耐久性もあれば、これを着けていると多少大きな岩ぐらいなら私でも持てたりする。スキル効果を見ていた岸君曰く、肉体強化でもされているんだろうと言っていた。


それも十分に私は凄いと思ってしまうけど……何よりこのスキルの真髄は、力の流れが見える事にあると私は思っている。


いつも以上に動かせる身体と補正が入った力に加えて、私は武道を嗜んでいる。

お父さんの家が代々受け継いできた合気道。お父さんは引き継いで欲しいと言って小さい頃から遊びに織り交ぜて叩き込まれた技は、力の動きが見えるこのスキルと相性が良かった。


ゆっくりと流れる視界には振り下ろされるガゴウの拳。

そして、溜められている力と流れている力。


私は、その流れている力に手を添える。


きっと受け止めると、いくら補正のある私では相当なダメージになる力。だから受け流す。

ただ受け流すだけだと、相手は体勢をすぐに整えてしまう。だから……私は相手の力に少しだけ加勢をしてあげて、制御を狂わせる。


「おっ?」


私の加勢で勢いを増しながら流される力は相手の感覚を狂わし、少しの隙が生まれた。そこを私は見逃さない。

不発のまま振るう先を失った力は溜まり続け燻っている。ソレに私は外から少しだけ押してあげる。すると、自分の力に振り回された相手は、身体を回して空を見上げた。

傍から見れば五秒と無い動作だけど、いつも私と訓練をしている二人は予測して追える。


「まずは一撃だ」


炎を纏い、文字通り火力を上げた佐々木君の拳がガゴウの顔にめり込み


「二撃でしょ」


炎そのものとなった佐々木君を通過して、一本の雷の矢の様な田中君の蹴りが追撃をした。


体勢を完全に崩してからの不意打ち。確実に入った二撃。

力を流す隙も、受け身をする余裕もないはず。


なのに…。


「まぁまぁだな」


どうして何事も無かったかのように立ち上がるの。


「さぁ続きだ。メニアルが負けたってんだから、こんなもんじゃねぇだろ?」


驚く私達を他所に立ち上がったガゴウが振り上げる拳には、先程の何倍も…何十倍もの力が込められていた。





「はぁ…はぁ…はぁ…」


「クソッタレ…僚太、手ぇ抜いてねぇよな?」


「そんな余裕があれば、ここまでなってないでしょ」


呼吸を整える事に集中している私は、佐々木君と田中君の会話に混ざる余裕はない。

私の体感では何時間かと思うけど、きっとまだ数分か数十分か。大した時間は経ってないだろう。


手が出せないわけじゃない。

受け流して、体制を崩して、そこに確実に二人が攻撃をしているにも関わらずガゴウは未だ無傷。それに、こちらが対応して見せる度に力が上がり、全てを完全に受け流せずに手が痺れている。


決して田中君や佐々木君の攻撃が弱いなんて事はないはず。スキルを全開で使われると、田中君と佐々木君と同時に相手するなんて事、私には難しい。

変則的で、それでいて高火力なのはクラスの全員が納得はしている。ただ、性質や性格上予測できる行動も多くて、クラスメイト同士の模擬戦では当たらない事もあった……だから私が隙を作って確実に当てているはずなのに。


「お前ら、本当にメニアルを負かしたのか?

メニアルを殺ってねぇって事も気になってたが、メニアルの奴もあまちゃんだから和解なんてのは納得できる。だが、それでもメニアルがお前らに負けるとは到底思えねぇな」


ポリポリと顎を掻きながら言うガゴウには答えず、私は痺れる手の感覚を確かめながら呼吸を整えて踏み込んだ。


受けが得意だけど、こちらから攻められないなんてことはない。こっちから手を出す事で、相手の行動を誘発する事ができる。

そうなれば、別の場所に生まれた隙と、防ぐ為に行動した力を利用する事も。


「特にテメェだ」


喉元を狙った手刀を防ぐ事もせず、ガゴウは私に向けて丸太の様な腕を横に振るった。


ゆっくりになる視界。

腕の流れ、溜められている力、それらの行く先。全てが私には分かっているからこそ、この何気ない攻撃を受け流してはいけないと脳が警笛を鳴らした。


元より受け止めてはいけない。だから受け流していたのに、これは受け流してもいけない…この攻撃は…。


脳で分かっていても癖がある。何より、私は合気道が嫌いじゃない。お父さんから教えてもらった技が、劣るなんて思いたくない。

そんな意地に従った私は、振るわれた腕に身体を合わせ、潜る様に回転を加えて内側へ――瞬間、自分の体内を鈍い音が駆け巡った。


「ああああああああ!!!!!」


二、三と回数を重ねて響く鈍い音。

完璧なタイミングで、相手の呼吸に合わせたにも関わらず、私の腕がガゴウの力に負けて折れた。


痛さのあまりに叫び声を上げてしまったけど、すぐに歯を食いしばり、声を抑え、力の流動に手を加えてガゴウの体制を崩す。


「そこまではいい。その気力も、まぁ及第点だ……だが」


そう私に向けて言うガゴウの言葉を遮る様に、私を避けて通過した雷撃がガゴウを襲い、ワンテンポ遅れて赤黒い炎がガゴウを包む。


「艮!下がれ!」


佐々木君の言葉に従って、ダラリと力の入らない腕の痛みに耐えつつ下がると、白い炎が私を包み、更に温かい光が私の腕を包んでくれる。


白い炎は治癒の炎。温かい光は東郷先生の回復魔法。二人のおかげで痛みは退き、力も入るようになる。


「やっぱり、テメェからは全く貪欲さを感じねぇ。勝利を手繰り寄せようとする貪欲さ、俺を殺すって気概がねぇ」


ふと聞こえた声。

見上げると、赤黒い炎を纏ったまま平然と私の前に立つガゴウの姿。


「なっ!」「早っ!」


佐々木君と田中君は、そのガゴウの速さに対応ができず、私でも力の動き以外でガゴウの姿を追えてはいなかった。


「貪欲さ……」


小さく呟く私の視界には、ガゴウが振り上げている腕が映り、今までよりも一層込められた力が見える。


そんな中で、私は思い出していた。

昔にお父さんが私に言っていた言葉を。


―いいかい?合気道とは、勝敗の無い武道だ。共に負け、共に勝つ。相手と呼吸と気を合わせるのが合気道であり、そこに勝利への渇望は存在しない。

制し破壊する武道ではなく和を導き活かす武道である事を忘れるな。


だが、和の武道であっても武道である以上は敵が生まれる事がある。勝たなければならない瞬間というもの出てきてしまう。

負の感情を生むという矛盾に、合わせなければならない―


耳が痛くなるほど聞いた言葉。言っている意味は分かっていた。

試合のない合気道でも、護身術として広めている以上は身を護るモノ。相手を制する事に変わりはない。

並べられた言葉に意味はない。と聞き流していたけど、まさかこんな時に思い出すなんて……。


―あぁ、それと奇冴(きさ)、武道というのは基礎となる型がある。だが、それは基礎というだけで終わりじゃない。無理をしてお父さんの技を覚えようとしなくていい。

我家の流派と言えど、奇冴に合うものとは限らない。合気道にも剛と柔があり、身体に合ったモノがある。それを見つけ出した時、きっとそれは奇冴だけの型だ。

それは自然と合わさった極地の一つ。誇りに思いなさい―


自然に合わせた極地。私の型。

いきなり連れてこられた世界で、命を落とす危険があって、今まさにその時で。


武道一筋のお父さん。そんなお父さんに惚れ込んだ無口なお母さん。

お母さんの手料理が食べたい。

お父さんの稽古をもう一度受けたい。

……帰りたい。


その為に、私は死ねない!


スローモーションで流れる間延びした時間、入り乱れる思考が一瞬にして晴れていく。

今更勝つ事への渇望なんかはないけど、生への執着ぐらいはあるんだ。だから私は……負けられない!


眼前に迫った拳に手のひらを合わせた。決して力を入れてはいけない…押さずに押してもらう。

手のひらは拳に押され、身体はそのまま半身をズラす様に動き、今度は自分の力で身体を回してガゴウの内へ内へと入り込む。


まだ力は流れている。そしてガゴウの力は溜め込まれている。でも魔王ガゴウ……それは私の力でもあるの。


きっとガゴウは気付かない。ゆっくりに感じるのは私だけ、そしてこれは一瞬の出来事。


「だからお前には…「勝ちに執着が無い。でしょ?」…!?」


そんな事は分かっている。勝ちに執着がなければ、私には魔王であれど殺す覚悟はない。だけど生きることには縋り付く。


ガゴウの死角から、その顎を横から弾く様に手刀を振るう。


私の力だけでは難しいだろうけど、ガゴウ自身の力で事足りる。


「視界…が…」


「いくらタフでも、これは効くだろ!」


自身の力の勢いと私の手刀による衝撃。揺すられた脳はガゴウの感覚を狂わせる。そして、しっかり私の動きを見て合わせた佐々木君は、ガゴウの側頭部への一撃。


「おぉぉ…?」


しかしそれでもガゴウは倒れず、声を漏らすだけだった。けど、この隙を田中君は見逃さない。


「いい加減倒れろ!」


佐々木君とは逆から、その顳顬に向けて雷速の一撃。

空気の破裂音を響かせて、反対側に燃える炎を雷撃が突き抜ける。


「これは……」


焦点が合わなくなった目で必死に耐えていたガゴウだが、数秒で前に倒れ込んだ。


「はぁ…ッ…」


私は倒れたガゴウを見て気が抜けたのか、手刀に使った手に痛みが走った。

遠くで見ていたにも関わらず私の表情に気付いた様子の東郷先生は、すぐに私の手に温かい光が。


ガゴウは一時起きないはず……これでジーズィさんが終わるまでは――…


「今のはキいたぜ…おい」


「そん…な…」


「マジかよ」


「ははは、今すぐ逃げたいなぁ」


流石に佐々木君も、田中君の弱音発言を咎めるなんて事はできない。私だって、その気があったとしてもできるわけがない。


倒れたはずのガゴウが、軽く頭を揺らしながら起き上がる姿に恐怖を抱いて当たり前だもの。


「やりゃできるじゃねぇか。

ほら、続きだ。別に俺を殺したって構わねぇぜ」


私達が真っ先にしたのはガゴウと距離を取ること。


ガゴウは私達を追う事はせずに、手のひらを閉じ開きして感覚の確認をしているみたい。ということは、きっと効いてはいるはずだけど…。


「完全にテンプルにブチ込んだんだがなぁ」


「俺だって、結構いいの入れたと思ったんだけどねぇ」


「効いてはいるはず。じゃなきゃ、倒れるなんて事はしないと思う」


そう…思う。


「待ちが得意なら、こっちから行くぞ」


「ッ!」


また力の流動だけを残して眼前に移動してきたガゴウに驚き、私は一瞬動きが鈍る。


流しきれないっ。


そう思い、腕一本覚悟で受け流そうとすると、僅かな時間だけどガゴウの気が私から逸れた。その僅かな時間は、私にとっては救いだ。

鈍った力を叩き起こす様にガゴウの腕を払い、軌道のズレた拳をそのまま地面に打ち付けさせる。


「僚太!上は任せた!」


「おっけいっ!望!」


二人の言葉を耳に、私は思いっきり地面を蹴ってガゴウから距離を取る。次の瞬間、ガゴウは下から吹き上げる業火と、上から降り注ぐ豪雷に襲われた。


私が離れた事で二人も最大限の火力を振るえているはず。流石のガゴウでも、大なり小なりダメージを追うはず。


そのはずなのに、ダメ……過るのは無傷なガゴウの姿ばかり。


さっきは九嶋さん達のおかげでガゴウの気が逸れたけど、次もそうできるとは限らない。あまり安賀多さん達に頼ると、近くに居る東郷先生や鴻ノ森さんにガゴウの敵意が向くかも知れない。


「チラチラとうぜぇな」


やっぱりだ。

炎と雷で姿は見えないけど、その声は確かに聞こえた。しかも安賀多さん達を狙ってる!


不自然に流れる力からガゴウの動きを察した私は、ガゴウと安賀多さん達の直線を遮る様に立つ。それを見計らったかの様に、炎と雷の中から巨石が顔を出し、凄まじい速度で迫ってきた。


私は焦らず、呼吸を整え、巨石が眼前に迫ると同時に身体を逸らしながら、巨石を横から押した。


「やっぱりいなし方がうめぇなぁ……こういう場合はどうすんだぁ?」


まただ。

一瞬気を逸らした瞬間に、ガゴウが私の眼前に移動してきている。

きっと、ガゴウは攻撃の起点が私であることを理解して、わざと私から狙っている。怖いし逃げたいけど、それができる相手じゃない。だったら何度でも受け流してみせる。


そう思って呼吸をガゴウに合わせようとすると、ガゴウは腕を振るう前に一つ動作を増やしてきた。


踏み込み。

ただの踏み込み。

笑っちゃう程の力が込められた…ただの踏み込み。


それだけで地面がひび割れ、揺れ、私の体勢が搖らいだ。


力任せの震脚もどきに、少しだけ乱れた呼吸と主軸。それはガゴウ相手では致命的なミスだと言うことを、私が一番理解していた。


踏み込みの力が乗った拳は、今までの中で一番の力が込められている。

これを今の状態で受け流そうとすると……多分、骨が折れるどころじゃ済まない。


地面が割れる音で、ガゴウが攻撃の中から移動している事に気付いた田中君達が助けに来ようとするけど、多分間に合わない。

田中君なら間に合うかも知れないけど、これを避ける事はできても防ぐ事はできない。


……それでも、生き残る為なら腕の一本ぐらい!


私は、意を決して不完全な体勢のままガゴウの攻撃を受け流す覚悟を決めた。


「良い眼だ!!!」


嬉しそうな笑みを見せるガゴウは振り下ろす腕を加速させる。


瞬きの暇はない。

しっかりと見据え、最小限の被害で最大限に力を流す。


目は逸らさない。一瞬でもタイミングが遅れれば、腕どころの問題じゃない。


最大限の集中で一瞬でも見逃さない様に……そのはずだったのに、私は見逃した。


「逃げる」


目の前ではジーズィさんがガゴウの拳を片手で受け止め、その衝撃で吹き荒れる風の中で私に向けてそう言った。


「テメェ……」


「鬼の相手は、また今度」


ジーズィさんは一切ガゴウを見ずに、私を抱えて移動した。

その移動先では、既に田中君と佐々木君も待機していて、安賀多さん達も驚いた顔をしている。何にそれほど驚いているのか……皆の視線の先を辿ってみれば、今までどうして気付かなかったのか分からない程の光景に言葉を失う。


荒れ狂う竜巻が全てのショトル達を巻き上げ、空から大きな風の球体が魔法陣を大地ごと削り、ジーズィさんを追ってきたガゴウは…腕を切り落とされていた。


「今のうちに逃げる」


いつの間にか戻ってきていたジーズィさんが腕を振るうと、風の刃が私達の周りを一周したと思えば、次にジーズィさんは巨大な鳥に姿を変えて、私達が立っている地面に足を突き立てると……そのまま持ち上げて飛び上がる。


あまりに連続で起こる現象に頭を抱えてしまい、気が抜けてしまった。だから…というわけじゃないけど、ついでに聞いてみる事に。


「ジーズィさん、あのままガゴウを倒しても良かったんじゃないですか?」


「……それは難しい」


既にそれなりの高度まで上がっていたジーズィさんは、ふと首を下に向ける。私も釣られて下を見て驚いた。


切り落とされたはずの腕が生えているガゴウが、飛んでいる私達に向けて巨石を飛ばしてきた。


もちろん、それが当たる事は無い。

巨石が近づいた瞬間、無数の羽根がその巨石を切り刻んていく。


「もう、ショトルに私の魔力を覚えられた。これ以上時間を掛けると不利になる……それに、あの鬼はまだ本気じゃない。

続ければ、この中の誰かは再起不能になる可能性がある。そんな事になれば、私が兄ちゃん達やレーヴィ姉ちゃんに怒られるし、何より我が王がお望みじゃない」


ジーズィさんはそれだけ言うと大きく羽ばたき、更に少しだけ高度を上げて飛んだ。


----

--


「チッ…逃げられたか。

おい、どうせ見てんだろ!アーコミア!」


「もちろん見てたよ。無論、来たのは今だけどね」


残されたガゴウが声を荒げると、いつの間にか瓢箪に腰を掛けている男が一人。


「テメェ、次にこんな手を使ったらテメェから殺す」


「いきなり拉致した事に起こっているのかい?それについては謝るよ。でも、中々に面白かっただろう?」


「転移で飛ばした事に怒ってんじゃねぇ。俺の戦いにショトルを使ってきやがったのが気に食わねぇ。

テメェの目的を邪魔する気はねぇが、俺の闘争を邪魔すりゃ敵だ。……だがまぁ、今回は見逃してやる。中々に期待できそうな連中だったアイツ等に感謝するんだな」


「ハハハ。もちろん感謝はしているよ。

おかげで私の目的も順調だ」


ガゴウから殺気を向けられて尚も余裕な振る舞いを見せるアーコミアは、軽く指を鳴らした。

すると、荒れ狂う風が嘘の様に静まり返り、二回目の音が響くとガゴウ達を取り囲む風景が変わる。


そこは先程までいた草原などではなく、円卓が用意された豪勢な部屋。無数に用意された椅子には、既に座っている者達がおり、アーコミアが姿を見せると全員が立ち上がる。


「さて、ガゴウも座るといい。また彼等と戦いたいのであれば、聞いていて損はない。

君たちも座っていいよ」


アーコミアの一言で立ち上がった者達は座り、ガゴウも不機嫌なまま近場の椅子に腰を下ろした。


全員が座ったことを確認したアーコミアは、一番奥にある椅子に腰を掛け、用意された紅茶を一口飲むと、ゆったりとした空気のまま口を開いた。


「さぁ、報告を始めてくれ」

満足のいく描写が、中々書けません。

難しい。



ブクマありがとうございます!

誤字脱字誤変換、中々減らせていませんが、どうぞこれからもお付き合い頂ければ嬉しいです。

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