出席を取ります
常峰君視点ではありますが、簡単な人物紹介です。
名前を考えるの……やっぱり大変ですね。
「僭越ながら、俺が出席を取らせてもらう。あぁ、別に返事はいらないから、手でも上げてくれりゃいい。ただもし、組を移動したい場合や質問があったら呼ばれた時に教えてくれー。
それと、各組のリーダーは、俺が名前を呼び忘れていたりしたら教えてくれ」
一応俺の頭の中には、クラスメイトの名前ぐらいは入っている。そして、頭の中で振り分けも一応できているはず。
ユニークスキルも頭に叩き込んでいるが、頭の中で確認しておくか。数も種類も分かっているし、余った場合は聞けばいいだろう。
「それじゃ、まずはログストア組男子からだ。
新道 清次郎」――勇者
名前が呼ばれ、新道が手を上げた事を確認して次の名前を呼ぶ。
ここからは、ささっといこう。
「江口 正輝」――地形掌握
俺好みのスキルで、最近ではレベルも上がって掌握できる広さも、早く広くなっているらしい。
「十島 晃司」――神鎗
自称皆傘親衛隊筆頭。
こと鎗に関しては、ゼス騎士団長を越えていると聞いた。ゼス騎士団長のメイン武器は剣だが、それでもある程度の武器は感覚と経験で扱えるらしく、全員の指導が出来ているんだとか。
「湯方 慈」――残り消えゆく才能
自称皆傘親衛隊壱番隊隊長。
本人が確認したスキルを真似る事ができるスキル。ストックできる制限は無いが、二十四時間という期限付き。
期限が過ぎれば、もう一度確認してストックしなければいけない。確認方法はスキル発動を目視するか、対象に触れた場合にスキル情報だけは分かるらしく、一応それでも確認扱いだと聞いた。
「篠崎 玄信」――夜叉の血脈
自称皆傘親衛隊弐番隊隊長。
三種類の夜叉の面を持ち、三つの面はそれぞれ用途が違うとか何とか。
実際に見たことは無い。
「秋末 玲司」――万ポテンシャル
自称皆傘親衛隊参番隊隊長。
このスキルには、職業と言う設定が存在しているらしく、それの切り替えで所有するスキルが変更される。
スキル未使用時に所有しているスキルは消えないらしいが、ユニークスキルの恩恵でスキルレベルに補正ははいるらしい。
「以上がログストア組の男子だ」
……。新道と江口以外、皆傘親衛隊じゃねぇかよ。
いやまぁ、多分、きっと大丈夫だとは思う。新道と江口は苦労しそうだが、皆傘にもそれとなく自由しすぎない様に伝えとくべきか?
それは後で考えるとして、新道から付け足しが無い所を見ると、漏れも無さそうだな。
次は女子だ。
「えー、次は女子だ。
皆傘 園」――花の楽園
言わずもがな、あらあらうふふの女子生徒。そして、皆傘親衛隊の長。
さっきチラッと耳に入ったが、シーキーに服の要望をしていた気がするが……気のせいだろ。
最近では、ユニークスキルの扱いも上手くなってきましたぁ。と、豪邸の要望をまとめている時に話していたな。
「武宮 恵美」――鍛冶神
安藤は驚いていたが、江口の彼女である事を俺は知っていた。
武宮のスキルは、本人の理解力とかも必要らしく、最近では江口が自分のスキルを使って鉱石集めに協力していると聞く。
さっき武宮に渡された要望書には、鍛冶場が欲しい。と書かれていたな。
「以上がログストア組の女子で、男子も合わせてログストア組だ」
新道、なんかすまん。
今、こうやって再確認すると……蚊帳の外感が否めない。強く、頑張ってくれ。
さて、気を取り直して次だ。
「問題無さそうだし、次に行くぞ。
次は他国巡り組。今度は女子からいくぞー。
東郷 百菜先生」――聖女
俺達の先生で、俺の考えでは帰還組の要。強要はしないが、できれば東郷先生には帰るという心構えを無くさないでほしい。
多分、リュシオン国に行けば、東郷先生のスキルはより強力になるだろう。その辺りのサポート面は考えておかないとな。
そして、リュシオン国内に入ってしまった場合、東郷先生は皇女の図らいでリュシオン王都に長期拘束され兼ねない。かなり負担を掛けてしまいそうだから、できるだけサポートはしていきたい。
「艮 奇冴」――柔と剛の合
東郷先生と仲のいい女子生徒で、家が合気道の道場だとか聞いたことがある。
ユニークスキルも合気道寄りらしく、説明を受けた限りでは、力の流れが分かるというもの。他にも色々と便利だとしか聞いていない。
安藤の筋肉が見える。というのも分からないが、本人曰く、もっと流動的なモノらしい。
「鴻ノ森 清華」――終始望む幻想
物静かなイメージの女子生徒だ。話してみれば、普通に話せる相手なのだが、その時に加えられた印象は冷静。
俺は、鴻ノ森が驚いたり動揺したりした所を見たことがない。
ユニークスキルは、洗脳……というより、催眠系の効果を持っている。対象に夢を見させるというもので、悪夢か望む夢かは鴻ノ森のさじ加減ひとつ。
「中野 理沙」――音楽隊
あまり喋った事はなく、イメージでは無口な女子生徒ではあるが、模擬戦の時のドラムをする姿からはパワフルな印象を受けた。
ユニークスキルに付属しているスキルの'ブレーメン'は、楽器が弾ける動物を喚び出すというもの。中野のユニークスキル自体にも、音に効果を乗せる事はできるらしい。
「安賀多 縁」――音楽隊
姉御の一言に尽きる。
なんだかんだで協力もしてくれるし、基本的にしたがらないがリーダーシップもある。
音楽隊三人のリーダーである事は間違いないだろう。
付属スキルの'アンプリファイア'は、案外長距離にも展開できるものらしく、事前に喚び出して持ち運ぶのも可能だという事を発見したと聞いた。
安賀多のアンプリファイアを通せば、中野の効果も増長できるのも確認済みなんだとか。
「九嶋 紗耶香」――音楽隊
三人目の音楽隊で、ポジティブガールだ。失敗を恐れない姿勢は、俺も見習わないとなと思う。
九嶋の'ベメルクバールスポット'も、最近新しい発見があったと教えてくれた。それが、演奏していない者にもスポットを当てられるというもの。もちろん、スポットを当てれば、音楽の加護である光と音の膜を付与する事も。
最近では、音楽隊の三人は新曲作りに忙しいんだと。
「んで、ここからギナビア国に行く四人だ。
市羽 燈花」――勇者
他国巡り組ではあるが、市羽に関してはギナビア国担当になるだろう。レゴリア王が何もしないとも思えない。現在、クラスメイト達の中でトップの戦闘能力を誇る市羽。そんな人材を見落とすとも思えないしな。
「漆 彩」――血姫
幼馴染と言えば幼馴染で、知っている事が多い分、最近の大人しいという事が心配だ。ギナビア国に行った時に暴走をしなければいいが……。
ユニークスキルで、血からスキルを回収できるっていうのがもう……変なスキルを手に入れない事を祈るしかない。
「藤井 藍」――死の支配人
藤井は、結構一人でいる事が多かった女子生徒だな。クラスが一緒になった時、藤井が落としたなんか珍しい変わった本がきっかけで少し話すようにはなった。
自作だったのか売っているのかは知らないが、黒い本で、内容は魔法陣が書いてあったり悪魔の名前が書いてあったりと、随分ファンタジーで面白かった記憶がある。
ユニークスキルは、死体を操れたり、死にかけの命を無理矢理繋ぎ止めたりと、色々できるらしいが、個人的には扱いにくそうだと思った。
「城ヶ崎 月衣」――大怪盗
一言で言えば、エンターテイナーだ。レクレーションやらイベントで出し物がある時は、率先して色々とやってくれた。
九嶋や古河と同じ様に明るい女子生徒だが、見て思うよりは慎重派。綿密な計画を練って行動している様な印象を受けた時もしばしば。
ユニークスキルの大怪盗については、分かった時のお楽しみということで本人があまり教えてはくれなかった。教えてくれた分では、条件さえ揃えば、対象のスキルを盗めるらしい。
当然、他にもあるらしいが並木曰く、説明が長すぎる。スキル名に恥じない。と教えられた。
正直に言って、なんかギナビア国組に対しては心配が絶えそうにないが……市羽に頑張ってもらいたい。
「次、他国巡り組男子。
田中 僚太」――雷帝
ノリがいい。そんなイメージが強い男子生徒。あまり自分の意見を主張せず、流れに任せている事が多い。まぁ、嫌な事はハッキリと言ってくるから、何も考えていない訳でもないはず。
ユニークスキル雷帝は、スキル名から察せた通りだった。
雷を操り、本人が雷になる事もできる。単純故に強力なスキル。下手な攻撃は、雷になる事でダメージを受けず、更にはカウンターまで。
俺を除いて、麻痺に絶対的な耐性を持っていたのが田中だ。
「佐々木 望」――炎帝
田中の幼馴染で、古くからの友人……親友らしい。
よく田中と一緒になってバカをやって、東郷先生に注意を受けている所を見ていた。
ユニークスキルも雷帝の炎版。
ただ少し違う所があるとすれば、炎にも種類があり、傷を癒やす事も可能だと聞いた。
上限温度の確認はまだだが、本人から聞いた次第では、鉄は融解させられたらしい。
「以上が他国巡り組だ」
男が二人、女が十人。偏っている気もするが、女の内四人はギナビア国だし、東郷先生はリュシオン国中心になるだろう。
そう考えれば、こんなかもしれないな。
「それで、次が異世界巡り組。
安藤 駆」――筋肉騎士
名前を呼ばれた安藤は、軽く手を上げている。
そういえば、安藤はモクナさんに、主の証になるとかのスキルのヤツを渡したんだろうか。頼んだように、市羽と新道と東郷先生には渡してくれているようだが……。
まぁ、俺が思っていたより二人の仲は進展している様だし、時間の問題か。
気にするだけしておこう。今は、次だ次。
「岸 永禮」――パーフェクトテイマー
今後、岸のスキルは輝くんだろうな。
リピアさんの一件で再認識できたが、触れるだけで使役できると言うのは普通に脅威だ。だが、普通に心強い。
人間にしろ魔物にしろ、数が必要になる時は来るだろう。岸次第だが、軍隊も夢じゃないな。
「佐藤 真」――フラジール
自称能力無し。
真実を知っているクラスメイト以外には、しっかりとその認識で植え付けられている。その分、知識と訓練を人一倍努力をしているらしく、スキル無しでの戦闘であれば上位に食い込める程。
実際、そのユニークスキルも発動されているのを気付くのは難しいだろう。
任意で脆くする。範囲の調整や、限界があるのかは知らないが……本人の感覚では、人間相手でも触れただけで崩れ落ちるぐらいにはできるらしい。
「長野 源次郎」――黄道十二宮
自称精霊使い。
基本的に、安藤が精霊として使用しているのは、リピアさんの監視に使っていたという…ぬいぐるみっぽい牛らしい。
実物を俺は見たことがないが、幼女が抱きかかえられるサイズで、恥ずかしがり屋で物陰からひょこっと顔を出すキュートなマスコット。だと言うことを安藤から聞いた。
実際蓋を開ければ、長野のスキルはその牛も含めて十二体の星座で構成されているらしい。それぞれが強力であり、マスコットの牛も実は強いのだとか。
今後、岸達の判断力は頼り甲斐のあるモノになると思う。事前にある複数の可能性が浮かぶ知識、それの対処法。全てが知識通りでなくとも、近いものさえ分かれば可能性は開ける。
「さて、次が異世界巡り女子組。
並木 桜」――鑑眼
最近並木は、スキルに合わせて弓の腕を鍛え始めたと聞く。
この鑑眼というスキル、知っての通り視た相手のスキルやその詳細、状態異常が掛かっているかの有無は当然の事、実は戦闘でも利用ができる事が訓練中に分かったらしい。
利用できる理由が以前聞いていた'モノの綻びまで見える'……本人が言うには、魔法やモノには欠点になる部分が存在しているらしく、正確にその点を射抜ければ、向かってくる魔法を消したり、装備を破壊したりが可能なんだと。
全ての魔法に存在しているのかは分からないが、訓練中に見た魔法には確かに存在していたと言う。そして、佐藤のフラジールの影響を受けた後は、その点の数は増え、尚且大きくなった事も確認済み。遠距離で援護する為にも、今は遠距離攻撃を鍛えている最中だと話してくれた。
「古河 朱麗」――魔術改造
古河は、佐藤や長野と一緒に情報収集に勤しんでいると聞いた。異世界での常識を集める事を優先しているようだ。
自由奔放ではあるが、常識内での行動をする古河にとっては重要なんだろうな。俺もその判断はいいと思う。
古河のユニークスキル魔術改造は、補助スキルに近い。発動後の魔法と言うのが前提で置かれている。
大規模な魔法に試した事はないが、肉体強化などにも干渉はできるらしい。だが、事前情報の不足が今のネックで、どういう魔法にどういう効果が合うか。複数の魔法に対して、それぞれ付与する効果を決める。
結構頭を使うと、模擬戦の後にぼやかれたのを覚えている。
「橋倉 妃沙」――魔導帝
安藤の話では、橋倉はリピアさんやゼス騎士団長、数日だけだがラフィの指導のおかげで、かなりの数の魔法を使えるようになっていると聞く。
接近戦に関しては、受け流しや防御面を重点的に訓練して、岸の訓練の相手を務める事が多いらしい。
俺は、橋倉の魔導帝が帰還の確立に必須だと思っている。俺達が喚ばれたのも召喚魔法の一種であるならば、魔法によって帰ることも可能ではないかと考えて、それを行うのであれば魔導帝というスキルは必須だと思う。
魔法だったら…の話だが。仮に何かしらの特殊スキルだった場合は、少し考えを変えなきゃいけない。ともあれ、一番の可能性としては橋倉の存在は大きい。
しかし……異世界巡り組は、随分と戦闘能力が高いな。バランスも悪くない気がする。
「以上が異世界巡り組だ。
次、ダンジョン組。
畑 恭司」――鉄人
どちらかと言えば冷静なタイプの男子生徒だ。面倒見がよく、クラスの中では、安藤に次いで身長が高い。元の世界では、東郷先生の力仕事を手伝っている事が多かった。
比較的話す機会もあって、その時に中学生の妹と弟が居るとか言っていたな。面倒見の良さは、そこから来ているのかもな。
そんな畑には、できれば定期的にクラスメイトに料理を作って欲しいと考えている。
保存が効く料理ならば願ったりだが、料理に関してチャーハンとパスタぐらいしか作れない俺が我儘を言うわけにはいかないだろう。
それでも、リピアさんと相談して耐性に関する料理は用意して、どうにかして配達をしたいと思っている。
「中満 奏汰」――複合空想
クラス男子の中では一番身長が小さく、器用に立ち回って面倒事を逃れているようなイメージだ。
線引も上手く、踏み入らない立ち位置をキープして、愛想のいい印象を受けた。
それでも根っこからは信用をしない。
その事を俺から聞いた安藤に言わせれば、中満は腹黒タイプらしいが、俺からすれば世渡り上手。好感すら抱けるタイプの人間だ。
だからこそ、中満にとって複合空想は使いにくいユニークスキルだと思う。
一人で完結できないスキルは、信用して頼れる対象が一人は必須だ。こっちに来てから何があったかは分からないが、中満的に信用できるのが畑で、畑がダンジョン組だから来たと考えていいだろう。
「柿島 永愛」――言霊
家は……地元の神社の娘だったはず。言うならば清楚系。
あまり本人とは話したことはないが、安藤が、新年に神社に行ったら巫女服の柿島が居た!とか、なんかテンションが高かったのを覚えている。
そんな柿島のユニークスキルは言霊。
さっき聞いた'言葉が目に見える'っていうのは、もしかしたら嘘か真かが分かるという事なんじゃなかろうか。もしそうなのであれば、交渉事の際には手伝いを頼みたいと考えている。
「そして最後に、俺。
異世界巡り組とダンジョン組の常峰 夜継だ。
以上三十一人。欠席は……居ないよな」
俺の言葉に小さな笑いが起こる。笑い声だけで何か言葉が返ってこない所を見ると、名前の呼び忘れも無いな。
よし、組分けの確認も取れた。そろそろ俺もセバリアスに相談したい事があるし、今日は一旦お開きにするか。
「んじゃ、確認も取れたし、今日は解散!
さっき言ったように、皆は一先ずログストアに泊まって、明日から三日はこっちに帰ってくる。その後は、各自自由行動だ。
明日は昼頃に迎えに行くから、こっちに持ってくる物があったら準備はしといてくれ。
最後に、しっかり寝ろよ」
「「「はーい」」」
うん、良い返事だこと。
俺は何人かの元気な返事を聞きながら、あのVIP待合室に扉を繋げて喚び出した。
一区切りとして、章を変えるか悩んでいます。と言うより、下手をすればここまで冒頭なのでは?とすら思っています。
ブクマ、本当にありがとうございます。
どうぞこれからも、よろしくおねがいします。




