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眠れる王  作者: 慧瑠
水面下の波
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泳がせる

下層。基本的にレーヴィが管理している水没区画。

多少の陸はあるものの、更に下へといくには長い長い水の中を潜り続けなければならない。その先は、エリアボスであるレーヴィの寝床があり、更にその先にやっと俺のダンジョンマスターとしての玉座がある。


まぁ、そんな風に考えて造ってはあるが、水域を好む魔族達が今は住み着いている。


「さてと」


その中でも住人が居ない水中洞窟に扉を繋げた俺は、適当に椅子を三脚喚び出し、連れてきた聖騎士団員を椅子に縛り付けた。

残りの二脚は、俺とラフィ用だ。


「ここなら声も外には聞こえない。間違っても誰かが来る事もない。ラフィ、その手荒な方法を聞かせてくれ」


「このまま隷属魔法を解除してしまうと、精神崩壊を引き起こしたまま解除されてしまい、廃人になってしまう可能性があります。ですので、痛覚を利用し意識を少しでもいいので引きずり戻した後に、崩壊の原因である隷属魔法の解除を行います」


手荒と聞いて予想はしていたが、そういう手か。

殺しはしない……しかし、程度に合わせて痛めつけなければならない。やっぱり城から離れて良かったな。


あそこでやってしまうと、もしかしたら誰かクラスメイトが来てしまうかもしれない。

せっかく気が緩んでいるのに、こんな事で引き締める必要はない。

ここに居るときぐらいは、今ぐらいは緩く気楽に居てもらいたい。


「意識が戻れば、隷属魔法の解除はすぐにできるか?」


「我が王がお越しになる前に、刻印の場所の確認は終えております。ただ、隷解符では少々難しいので、私が(じか)に解除する予定です」


「そうか。意識を戻すのは俺がやろう。ラフィは、できるタイミングになったらすぐに解除を」


「よろしいのですか?」


「問題ない」


大丈夫だ。分かっているさ。ビンタなんて方法ではダメなんだろう? 相応の痛みを与えなければならないのだろう? 分かっている。

今から俺はこの人の意識が戻るまで拷問まがいな事を続けなければならない。もちろんそんな趣味も経験も無いし、ある程度の引け目も感じるのに……困ったもんだ。躊躇いがない。


手始めに、拘束に使っている魔力を操り聖騎士団員の手に纏わせ――ガントレットの上から人差し指をへし折った。


「がっあああああ!!ッッッさま、聖女様!皇帝様!お言葉を、お言葉が、あああ」


反響する声を耳にしながらラフィを見るが、どうやらまだ足りないらしい。


なら次だ。


俺は聖騎士団員の対面に腰を下ろすと、痛みに声を上げながら聖女様皇帝様と言葉を口にする彼の親指は、鈍い音を立ててあらぬ方向へとへし曲げられる。

同時に悲鳴を上げてはいるが、どうやらまだ引き戻す事はできていないようだ。


であれば次、次、次。


五本全部曲がった指を眺め、まだ戻らない精神だか意識だかの頑固さ……隷属魔法の面倒さに溜め息を漏らしつつ、一気に折れた指を正常の位置まで戻して魔力で固定。


「正気に戻せたら回復魔法頼めるか?」


「かしこまりました。戻らなかった場合は」


「とりあえず、もう片方と足が残ってる。それでもダメだった場合は全部回復させてからもう一度だ」


ショック死をしない様に、俺なりに気をつけつつ一本、また一本。五本終われば、位置だけ固定して次の部位。

悲鳴が大きくなるばかりでラフィが動く気配が無いな……と思いつつ、鈍い音を鳴らしながら折った指の位置を戻して、残る片足も魔力で纏い親指から。


「! 我が王、失礼します」


聖騎士団員が悲鳴を上げた瞬間、隣に立っていたラフィが男の前まで移動して着ていた甲冑など物ともせずに指を胸へと突き立てた。


「がっ、あ、ぁ、あ」


声にならない声を上げている男は痙攣をしているが、ラフィが更に指を胸に押し込むと、淡く胸元が発光してゆっくりと収まっていく。

ソレに合わせ、男の雰囲気も変化を見せ始める。


隷解符だと難しい場所と言っていたが……まさか心臓に刻印があるなんてな。


俺がさっき頼んだ通りに回復魔法で胸に空いた傷と指を治療していく様子を見ながら、俺も拘束に使っていた魔力を手元まで回収しておく事に。

何か行動するのなら抑えればいいだけだし、本当に隷属魔法だけが問題だったのなら話を聞くのに拘束はいらんだろう。


「お、俺は……それにここは」


「お目覚めですか?」


「眠王様!? お、私は一体」


俺のことが分かるか。なら、一応意識はしっかりしてるな。


「その説明をする前に、指とか違和感ありませんか?」


「指……ですか? いえ特に……」


ラフィの治療も完璧だな。

それに、俺に対する反応を見るに、記憶も抜け落ちている感じか。そうなると、あんまり情報に期待できないか。


「そうですか。現状に混乱していると思いますが、ひとまず説明をしますね」


「お願いします」


「えーっと」


やべぇ、名前しらねぇ。


「あ、私はサロルド・トコラと申します!」


俺の表情で察してくれたのか、サロルドが名前を教えてくれた。見た感じ爽やかな青年だな。


「サロルドさんに配慮をすると時間が掛かってしまうので単刀直入に言いますが、モルドさんが亡くなりました。その原因がサロルドさんにあると判断して、こうして隔離させてもらっています」


「は? モ、モルドさんが亡くなった? 俺が、失礼しました。私が殺したんですか?」


「言葉使いは気にしなくて結構。その場に俺は居ませんでしたが、見ていた者が説明すると」


「貴方が耳元で囁いた次の瞬間には死亡が確認されました」


「という事らしいんですよ」


ラフィの説明と俺の言葉を聞いたサロルドは、慌てるというよりは混乱した様子で頭を抱えている。


やっぱり、モルドが喋るか何かをトリガーに発動する命令か何かか。しかし、だったら何故サロルドが手を下したのだろうか。

隷属魔法の事を理解しつくしているわけではないが、'喋ろうとすれば死ぬ'という契約もできただろうに。現に、リピアさんの隷属魔法はそうだったらしいし。


「お、俺は本当にモルドさんを殺したんですか? その、何も覚えていなくて、だって、モルドさんは同じ隊でお世話になっていた恩人で……」


モルドの死体でも持ってきた方が良かったな。ちょっとイライラしてて、こういう面倒を予想できなかった。それに多分、サロルドは本当に何も知らない。これ以上は時間の無駄……いや、もう一つ聞くことがあった。


「サロルドさんがそう仰るなら、それを俺は信じましょう。コニュア皇女やガレオさんの目の前で起こった事ですが……そうですね、俺からも一応二人には説明をしておきます」


「はい……」


すっかり意気消沈してしまっている所に申し訳ないが、もう一つだけ質問に答えてもらう。


「ところで、モルドさんもそうだったのですが……サロルドさんに隷属魔法の刻印が見つかりました。聖騎士団では普通なのですか?」


「俺に隷属魔法? あ、ありえません!」


「もしもの心当たりも?」


「無いです! 奴隷商と接触した記憶もありません!」


「そうですか……」


うーん。本人に気付かれず隷属魔法を掛ける事が可能なのか?

分からんな、隷属魔法に対しての知識が少なすぎる。ただ、サロルドに隷属魔法を掛けた人物には、解除された事が伝わっている可能性は高い。


……泳がすか。


「わかりました。発見はできたのですが、隷属魔法の解除はできなかったのでお気をつけください。ですがコニュア皇女に恩義がある身として放置しておくわけにもいかないので、気休めにしかならないとは思いますが精神保護用の魔道具を後でご用意します」


「そんな事までしてもらっていいんですか?」


「感謝をするならば、こんな若輩者にも手を貸してくれるコニュア皇女に感謝をしてください」


「は、はい!」


こんなもんでいいか。これでモルドの死が本当である事を知れば、隷属魔法の事も真実だと考えるだろう。まだ疑った所でモルドの死は、あの場の全員が証言してくれるだろうしな。


この世界の常識的に、隷属魔法が解除されてるなんて考えはまず持たないはずだ。だけど大本が解除された事を知った場合は、俺の存在を疑い、情報欲しさにサロルドに接触をする可能性が高い。

動きが無いのならそれでもいい。サロルドはもう、コニュア皇女側だ。


「ラフィ、俺は少し調べる事がある。話は聞いていたな?」


「皆様へのご説明と、保護用魔道具のご準備。終え次第、サロルド様にお渡しすればよろしいですね?」


「頼む。説明の時に俺の名前を出してもいいから、サロルドさんは操られていた事をしっかりと伝えてくれ。結果がどうであれ、このまま疑われるのは不憫すぎる」


「かしこまりました」


「眠王様……こんな一介の兵の言葉を信じていただきありがとうございます! それにこんな沢山のことをッ」


「困った時にはお互い様です。もし俺が困った時には、よかったら力を貸してください」


「もちろんです!! このご恩は必ず!」


我ながらよく舌が回る。


扉を喚び出しながらラフィに目配せをすれば、察したラフィはサロルドを連れて洞窟を出ていく。

二人を見送った俺は、一度扉を閉めて寝室へ繋ぎ移動すると……。


「あ、戻ってきた」


先客が居た。


「なんで俺の部屋にいるの」


部屋には並木、鴻ノ森、皆傘が談話をしながら、皆傘の後ろには十島が控えている。

人口密度が高いな。


「私はメニアルさんから伝言預かってたから」


「メニアルから?」


「うん。なんか、魔力の揺れ?が気になるから出かけてくる的な事を」


シェイドも言っていたやつか。

魔力波で魔力の流れが少しおかしいとか言っていたが、メニアルが気にする程の事だったのか。


「分かった、ありがとう。まぁ、日頃からちょこちょこ居なくなるから、居ないことは問題じゃないんだが、メニアルが伝える様にってことは気にかけていた方がいいだろう」


「シーキーさん曰く、多分オズミアルだと思うけどって」


「なるほど、オズミアルね」


前に小さい地震があった時に、メニアルもそんな事を言っていたな。うん、考えても分からん。何かあればメニアルかシェイドか……事情を知ってる誰かが察するだろう。

その時に動ける様にしとけばいいな。


「それで、鴻ノ森は?」


「私は並木さんの付き添いです。あわよくば、東郷先生の事を聞ければと思っていますが」


「東郷先生の事か。一段落はついたから、東郷先生本人から聞いた方がいいと思うぞ」


「……わかりました。どこまで聞けるかは分かりませんけど、東郷先生に聞いてみる事にします」


鴻ノ森にとって東郷先生の様子と行動は、よっぽど不審に映っていたんだな。

鴻ノ森の視線が痛いが、俺が言うよりは東郷先生が自分で説明した方がいいだろう。その後で納得できなければ、きっとまた俺の所に来るだけだ。


「んじゃ皆傘は」


「ふふふ。私はキングさんにお礼を言いに来たんですよぉ。お願いを聞いてくれたので……後、少しお話しておきたい事が」


「俺はお嬢様の付き人だ」


皆傘はチラッと並木と鴻ノ森を見た。それで二人も察したようで、自分たちの用事は終わったしーと部屋を出ていく。

そして部屋には三人だけになり、にこにことしている皆傘は俺が座るのを待っている様子だ。


「その話、長くなるならなんか飲み物を用意しよう」


「あらあら、でしたら果実系がいいわぁ」


「今、果実系の飲み物置いてたっけか……十島は?」


「水でいい」


「うい」


ダンジョンの機能で近くに居たシーキーに飲み物を頼むと、一分も掛からずにシーキーは台車に乗せて飲み物を持ってきてくれた。


「お待たせしました」


「ありがとう。アラクネ達の方は、問題無さそうか?」


「皆、裁縫に関しては良いセンスを持っております。もうしばらくお時間を頂ければ、我が王のご期待にも応えられる様になるかと」


「シーキーのお墨付きともなれば、俺も楽しみだ。任せっぱなしになってしまうが、頼むな」


「おまかせください。必ずや我が王のご期待に添わせましょう」


軽くシーキーとの会話を済ませ、シーキーが部屋を出ていく時に皆傘と十島も礼を告げ見送ると、皆傘はさて……と口を開いた。


「ふふっ、まずは頼まれていた物を渡しておきますねぇ」


そう言うと、隣に座っていた十島が二本の紙筒を俺に渡してくる。

中を確認してみれば、それは市販されているログストア王都の地図と、皆傘が独自で調査してくれていたログストア王都の地図。


「この張り巡らしてある赤い線は?」


「城を中心に広がっている地下だ。お嬢様が調べてくださった。地上は俺達が調べた分になる」


「ふふふっ。地図を描いてくれたのは、晃司達ですけどねぇ」


「うん、分かりやすい。ここまで詳細に地下を把握しているってことは、スキルか」


「えぇ。蔦を張らせてもらいましたよ。ふふっ」


ハルベリア王が知ったら顔を引き攣らせそうな事をサラリと言ったな。

まぁ、内緒にしておこう。城を中心にとなると、もしかしたら脱出用の通路なのかもしれないし……あまり俺が知っている事を言いふらして良い気がしない。


「地図は助かった。んで、まずはということは、俺に何か話しておきたい事があるんだろう?」


「お嬢様、本当によろしいのですか? 言わずとも、コイツは気にしないと思いますが」


「あらあら、晃司ダメよ。今はキングさんはキングさんなんですから、ちゃんと話してからにしないと」


「お嬢様がそう判断なされるのなら、文句はありません」


今から話そうとしている内容を十島は知っているのか。

一体何を話そうというんかね。できれば、面倒ごとじゃない事を祈るばかりなんだが。


「ふふふ。前の世界での話ですけど、キングさんは寿(ことぶき) 喜久二(きくじ)議員を知っていますかぁ?」


寿? 議員、議員……あー、なんかニュースで聞いた名前だな。なんだったかな……。


「国会議員だよな?」


「ふふっ、そうですよぉ」


「確か、横領と不倫発覚でニュースになってた人だっけか」


「はい~正解です」


嬉しそうにパチパチと手を叩く皆傘。

俺が言い当てられてご機嫌になったのはいいんだが、その議員さんがどうしたんだろうか。


「うふふ。私の父が、その寿議員で、晃司の母が寿議員の不倫相手なんですよぉ」


「へぇ~……は?」


「晃司の父と寿議員は旧知でして、私と晃司が生まれる前から晃司の母は私の家の家政婦さんだったんですよぉ」


「あー、うん?」


「ふふっ、発覚する数年前から、私と晃司はあの二人が不倫している事は知っていまして、その頃には晃司は住み込みで私専属の使用人みたいな立場だったんですけどねぇ……どうやら横領していたのが他所にバレたという噂がありまして、寿議員は色々と処理をする過程で晃司の母をクビにしようとしたんです」


一応頷いて返しておくけど、驚きで言葉がでないだけだ。

ここまで皆傘が喋るのも中々に貴重だけど、何よりも議員の娘だったっていうのが驚きだ。え、何、皆傘ってマジモンのお嬢様だったの?


「でも晃司が私の元を離れる事を嫌がったのでぇ……私が晃司の父に、晃司が私の母に不倫の事を話したんです。そうしたら、あらあら。あれよあれよと話が広がり、不倫の事も世間に知られちゃいましたぁ」


あらあら。って、ましたぁ。って……寿議員の不倫発覚したきっかけって自分の娘に暴露されたのかよ。


「そして私は母に、晃司は父に巻き込まれたくないと頼んで引っ越しをさせてもらったんです。皆傘というのは、母の旧姓なんですよぉ。ふふふ」


「俺の親父とお嬢様のお母様が話し合った結果、お嬢様も俺が居た方が安心だろうと考えて同じ学校に通える場所に二人とも引っ越した。一人暮らしだが、マンションは隣同士の部屋だったんだよ。家の事は東郷先生は知ってるが、お嬢様の素性まで知ってるのは、こっちに来た中ではお前だけだ」


「へ、へぇ~……」


その話を聞かされて、俺にどういう反応をしろと言うんだコイツ等。

帰りたくない、帰らないなら別にそんな話をする必要はないはず。一体、何が目的だ。


「そんな話をわざわざしたって事は、なにかソレに関する頼み事があるのか? 言っとくけど、元の世界に戻った時に政治をどうにかしてくれなんて無理だからな」


「ふふふ、そんな事は言いませんよぉ。元の世界に帰る気なんてサラサラありませんから」


「じゃあ何を頼みたい」


「皆さんが帰るまでのある程度はお手伝いはしますが、それ以降は一国民として切り離していただきたいなぁと」


「政治に巻き込むなと」


「私はただ、晃司とお花屋さんをしたいだけなので。この国がどうなってもいいとすら思っているんですよぉ……でも、それではもしもの時に私にも被害が来ますよねぇ? ですから、必要最低限はキングさんのお手伝いもしますよ。ふふふ」


元々残った皆には、後の事は好きにさせるつもりだったんだが……そうか、皆傘は俺に釘を差しに来たんだな。

確かに少し困ったことになったら頼む事もあるかな?と思っていたけど、皆傘はそれすら拒否をしたいから、こうして話した。


できるだけ国の問題に自分達を巻き込むなと。


ありがたいな。こうしてちゃんと言ってきてくれるのは、本当にありがてぇ。逆に言えば、自分達も積極的に関わろうとはしないという事で、互いに頼み事をする時はギブ・アンド・テイクが成立しやすい。


「分かった。もしもの時には頼むかもしれんが、それ以外は極力関わる事はしない。ただの客として店に足を運ぼう」


「ふふふ、お客様なら大歓迎ですよ。ついでに、今回のお手伝いのお礼として店舗を一つ用意してくれると、足も運びやすくなるかとぉ」


「外から客を招く準備とかまで終わったらな」


「あらあら、ダメもとだったのに嬉しい言葉が聞けましたねぇ、晃司」


「思わぬ副産物でしたね。お嬢様」


へぇ、十島もそんなイラズラっ子みたいに笑うんだな。初めて見る表情だ。


「ふふっ、とても良い笑顔ですよ晃司」


「からかわないでください」


んー、一緒に居る姿は前の世界でもチラホラと見てはいたんだけど、身の上話を聞いたからか今の様子を見て思う。

やっぱりアレなのか?


「二人はそういう関係なのか? 恋人同士みたいな」


「さぁ、どうなんでしょう?」


「俺は付き人だ」


「あ、そう」


良く分からん関係だな。

友達以上恋人未満というのは、この二人みたいな関係性を指すのかもしれん。


不思議なもんだ。と思いながら皆傘と十島を見ていると、そういえば…と思い出したように皆傘が口を開く。


「安藤君の彼女さんの事なんですがぁ」


「モクナさん?」


「そうそう、モクナさんです。そのモクナさんなんですがぁ、最近どうも城下町に足を運んでいるようなんです。こちらへ来る前も運んでいたようですが、今日は安藤君とデートらしいですから、下見でもしていたんですかねぇ……」


「どうだろうな。まぁ、安藤にデートプランを考えろってのは酷だろう。それに、今はエマスもログストアに残ってくれているし、何かあれば報告があるさ」


「ふふふ。そうですね、えぇ、何かあれば言ってくださいねぇ。お手伝いぐらいならしますから。ねぇ、キングさん」

不思議と関節が痛い。



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どうぞ、これからも宜しくお願いします!

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