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眠れる王  作者: 慧瑠
水面下の波
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新道と常峰の情報交換

「セバリアス、エルフの人達はどうしてる?」


「はい、現在は簡易的な要望を聞き終え、レーヴィ及び岸様達にご案内を頼んでいます」


「コニュア皇女は? ガレオさんが話に行ったはずだが」


「東郷様と共に東郷様のお部屋にて待機しております。ガレオ様はラフィが東郷様のお部屋まで、ロバーソン様はリピアが聖騎士団の皆様の所までご案内をしております」


「そうか。なら、エルフの人達が住む予定地に荷物を移動させておけば、少し時間はできるな」


エルフの里からダンジョンへと戻り、自室で一息つきながらセバリアスに現状を聞いて予定を決めていく。


本来ならばコニュア皇女の件をさっさと終わらしたいんだが、ガレオさんたっての希望で報告はガレオさんにしてもらう事に。リュシオンの聖騎士団さん達には、俺がするよりもまずはロバーソンさんにしてもらうことにした。


「シェイド」


「はい!」


「護衛ご苦労だった。色々と助けられたな……魔力波の件は、間違いないんだな」


「勿体なきお言葉! 先程の魔力波に関しては間違いないと思われます。方角的にはリュシオン国側が発生源かと」


「より詳しく分かったらまた教えてくれ。それまでは、エルフ達のことを頼んでいいか? ケノンもシェイドの事を心配していた様子だったし、今は別件を頼んでいるが戻ってきたら顔を見せてやるといい」


「妹のお気遣いまで……ありがとうございます。ではケノンが戻るまでは、エルフのサポートをしてまいります」


「疲れたら休むようにな」


「はっ!」


サッっと現れたシェイドは、深々と頭を下げてから影に溶け込む様に消えていく。

それを見送り、ちょっと深めに息を吐くと同時に、部屋の扉がノックされた。


「新道です」


「開いてる」


「失礼します。 っと、戻ってきたから顔を出しておこうと思ったけど、随分とお疲れのようだね常峰」


「そう見えるなら変わってくれるか?」


「アハハ、俺には無理だよ。今だけでも結構精一杯なんだ」


「その話を聞かせてくれ。セバリアス、新道の分の飲み物を頼む」


返事をしてから手早く飲み物の準備をしていくセバリアスを横目に、新道用に椅子を喚び出して座らせ、ログストアでの事を聞くことに。


ログストアの報告は、基本は皆傘親衛隊の誰かが行い、新道達の報告はエマスからルアールを通じて俺にされる。合間合間でまとめてくれているから簡潔に報告されるので、楽っちゃ楽なんだけど、こうして本人から聞くのも悪くない。


「一応報告は聞いてたが、なんだかんだで外には出てるんだな」


「ゼスさんがギルドから依頼を持ってきたり、周辺警備とか定期調査に同伴させてくれてね」


「スキルも……そうか、剣聖になったのか」


「やっとって感じだけどね」


この事はエマスからは聞いていない。おそらく、かなり最近に'剣聖の可能性'が'剣聖'になったのだろう。元はEXスキルがユニークスキルとなった……よく見れば新道の掌はマメだらけで、ゴツゴツとしている。

それに、チラッと見える体つきは、随分と筋肉質になったもんで。短期間でEXスキルをユニークスキルまで鍛え上げるのに、どれだけ訓練したのかなんて俺には分からん。


ひとえに才能の言葉で片付けられる事ではあるんだろうが、その才能を開花させるのは新道の場合、人より何倍もの行う努力だ。それを才能の一言で片付けるのは、ちょっと違うと思う。


「すごいな」


「エマスさんやゼスさん達の手伝いがあってこそさ。俺一人だと、もっと行き詰まってたよ」


「そう言える事自体がすげぇと思う。どれぐらい訓練とかしてるんだ?」


「ギルドの依頼や騎士団での調査がなければ……んー、一日六時間の睡眠時間以外は、基本ずっとかな。登れば登るほど、更に理想が高くなって、それが楽しくて仕方ないんだ」


その答えに、俺の顔は間抜けなものになっていると思う。

こいつ、一種の努力中毒なんじゃねーかな?って思ってしまうぐらいには、俺には共感も真似もできない。言っちゃ悪いが、したくもない。


「よくやるもんで」


「うんまぁ、なんだろうね。俺も、褒められると調子に乗っちゃうタイプだったみたい」


「…………あぁ、女で努力に磨きが掛かっちゃった感じか?」


「間違いなく一つの要因ではあると思う。自分でも驚くぐらいには訓練が苦に感じなくて、安藤の気持ちが分かったよ」


おうおう、なんですか。ログストア勢は、なんとも色恋が花咲いてるなぁ。


「でも、しっかりと断ったよ。俺は帰るから」


「ん?そうなのか」


「だけどリーファ姫も見かけによらず頑固でさ、帰還方法が見つかるまでの間に落としてみせますって宣言された」


母親の方は知らんけど、父親の方はあのハルベリア王だからな。タダでは転ばんだろうし、譲らない所は譲らないだろう。多分、一度決めたらめちゃくちゃ頑固だぞ。


「リーファ王女には悪いが、帰還方法の目処は立ってきた。落とされるなら、早くしとけよ」


「そうなのかい?」


「先に新道には話しておこう」


俺の言葉に目を丸くして驚く新道に、集まってきた情報と、そこから俺が予想している事、可能性と予定を伝える。


コニュア皇女の事には触れずに、シューヌさんと爺関連の事まで。


本来なら、あまりまとめきっていない事を伝えたくはないんだが、如何せん多すぎる情報を俺だけで処理するよりは、新道にも頼んだほうが視野が広がるだろう。

それに、帰還方法は全員に関係する事だから、もう少しまとめられたら伝える気だったし、新道には手伝ってもらう事にした。


「なるほど……常峰のお爺さん達が」


正確には彩の爺さんなのだが、そこは触れなくていいか。


「俺達が元居た世界の座標ってのがコレで、爺達は召喚魔法にも小細工をしたらしい。情報は集まってきてるが、それを形にするのには時間がかかりそうなのが現実だ」


「予想ではどれぐらいだい?」


「分からん。あくまで目処は立って、ピースは集まってきてる感じはするが、まだ完全に集まってはいない。爺達の資料も読み終えていないし……それこそ、シューヌさんが言っていた福神 幸子さんが俺に接触するのもピースの一つだと思ってる」


爺は俺に向けて帰還方法の資料をまとめているはずだ。岸達が持ってきた資料の中から、それを見つけるのもしなきゃならん。

だけど、そればかりに気を取られては、今回の様に魔族や他国の動きを見落としてしまう。今回は東郷先生達が帰ってきているタイミングで動いてくれたから良かったものの……今後もそうであるとは限らない。


「難しいね。あまり良い状況とは言えない。今、この国は三大国との繋がりを深め始めている。常峰的には、そこを蔑ろにはしたくないだろうし、俺もするべきじゃないと思う。

でも、このタイミングで帰還方法の模索の手を休めるのは愚策だろうし、常峰からの共有情報に加えてゼスさんやハルベリア王、リーファ姫から聞いた話だと、魔族の動きが大分活発になってきてもいる」


「あぁ、一度に複数をある程度こなす事になるだろう」


「大国との繋がりが安定して、中小国家が中立国に出入りするようになるまでがタイムリミットかな」


「今はできるだけ大国のみで何とかできているが、粗探しで蹴落とそうとするにしろ、媚売りにしろ、友好関係を求めてくるにしろ、大国を通さなくなったら俺が動けなくなるからな」


「ハルベリア王も薄々気付いていたよ。常峰が大国を窓口にしているだろうからって、色々と回りには手を回していた」


「ゼスさんが新道達を連れて調査や警備とかに連れ出したのは、それも理由の一つか」


「まぁね」


最近はハルベリア王と連絡を取っていなかったが、察して根回しをしてくれているみたいだな。新道達にもだが、ハルベリア王にはかなり迷惑を掛けてしまっている。

表立って贔屓をする事は今は無理だけども、恩を返すチャンスがあればしっかりと返そう。その時が来るまでは、現状に甘えさせてもらわなきゃ手が回らんか。


「それ以外にも問題が起きれば対処をしないといけないし、帰還方法一筋ってできないのはもどかしいわ。落ち着いて考えれば考えるほど、俺が動ける時間はあまり無さそうだからな」


「常峰のおかげで俺達は自由に出来てる所もあるから、そこは持ちつ持たれつでしょ。今も何か頼みたい事があるような顔をしてるよ」


「んじゃお言葉に甘えて。さっき新道に話した事を帰ってきている皆に話してて欲しい」


「常峰がしないのかい? 正直、今は俺がするよりも常峰がしたほうが、色々と納得はしてくれると思うけど」


「ちょっと俺は俺で片付けておきたい事があってな……少ししたらセバリアスに帰ってきてる奴等を呼び集めて貰うから、その時に先に説明しててほしいんだ。その間に、俺は俺で用事を済ませてから合流するからさ」


俺の用事……コニュア皇女の件が終わってからでも良いんだが、その前に新道が伝えてくれることで、他の皆も考えて自分の中でまとめる時間ができるだろう。


全員が全員、自分の動きを逐一報告しているわけではない。新道から話を聞いて、あれ?もしかして関係あったかも。って内容が出てくるかもしれない。

何かとバタバタしてしまっている今は、互いに情報を出し合ってまとめる時間が必要だ。


「あ、それと……コレを古河か九嶋に解読してもらっててくれないか?」


「封筒……手紙? 読んでも?」


「読めるなら是非」


懐から取り出した怪文書を新道に渡すと、新道は封筒を開けて手紙に目を通す。その瞬間、パチパチと瞬きが早くなり、そっと手紙を封筒に戻した。


「読めたか?」


「この暗号を古河や九嶋が読めるのかい?」


「間違いなく俺達よりは精通してると思ってるよ。っと、ちょっと貸してくれ」


困惑気味の新道から手紙を一旦返して貰った俺は、中にある手紙の裏を見る。


自分で読んだ時には、そこまで見る気にならなかったが、新道が目を通してくれた事で裏に描かれている魔法陣に気付いた。

んー……気付いた所でなんの魔法陣か分からんな。見覚えがあるような気もするんだけど、魔法陣というもの自体が似たり寄ったりで気の所為なのかもしれんし。


「魔法陣だね」


「どういう魔法陣なのかサッパリだ。幸い橋倉もいるし、並木やそれこそ古河も居るから、この魔法陣がなんなのかも調べてもらって――セバリアス、これが何か分かるか?」


新道も分からないみたいだし並木達に聞けばと思った所で、この場で魔法にも精通しているセバリアスに聞けばいいじゃんと気付いた。


俺と新道の話の邪魔をしないようにと端で待機し、飲み物が無くなればサッと追加をしてくれていたセバリアスは、失礼しますと俺から手紙を受け取って魔法陣を見る。


「岸様達が持ち帰った収納用の魔法陣のようですね。確認しました所、中に十通ほど手紙が収納されております」


「出してもらえるか?」


「かしこまりました」


セバリアスの言ったとおり、魔法陣の中からは束になった可愛らしい封筒が十通分。まぁ、俺も新道も予想はできているけど、取り出された新しい封筒を開けて中を確認する。


「だよな」「ですよね」


うん。予想通りに読めない。

普通に読める部分が全く無いわけではないんだが、それだけではあまりにも支離滅裂な場所が多すぎる。もしや……と思ってセバリアスにも内容を確認してもらったが――。


「申し訳ありません。何かしらの定義があるようにも感じるのですが、私ではお力になれそうにございません」


「謝る必要はない。異界の言葉に加えて、更に捻られてるモノだ」


セバリアスでも無理だった。


「でも、所々に'帰還'みたいな単語もある所を見ると、この手紙を書いた人も調べてたのかもね」


「シューヌさん曰く、爺達の資料に触れられた数少ない人物なんだと」


「それに凄く頭が良かったみたいだね」


そう言って新道が見せてきた手紙には、何かの手順と濃度5%と10%の分量が描かれていた。

必要素材に並ぶ名前は知らないモノの方が多いが、その結果から生まれるモノの名前は普通に知っている。


「保湿クリームって、保湿クリームだよな? なんでまた保湿クリームなんだ」


「多分、俺達の知ってる保湿クリームで合ってると思うよ。常峰は、この世界の化粧品価格を知ってる?」


「いや知らん。肌荒れとか、回復魔法でどうとでもなるんじゃないのか」


「一概に回復魔法と言っても、皆が皆、橋倉や東郷先生レベルじゃないって事さ。貴族達の間では、口紅や薬品リップなんかが随分と根強く人気なんだよ。俺の知ってる限りでの最低価格は金貨一枚」


「は?本気か?」


前にリピアさんから聞いたのは、ログストア国民の月収は金貨三枚が平均だぞ? 価格設定がぶっ壊れてるどころの話じゃないだろ。


「本当の事さ。常峰はすぐにダンジョンマスターになったから知らないだろうけど、そもそもこの世界には石鹸は存在しているけど、その品質は知らないよね」


「まぁ、俺はダンジョンの機能で生産はしてるからな」


「貴族や王族が利用しているものと、一般国民が利用しているモノには雲泥の差がある。なんなら、利用しない人達の方が多分だけど多い」


「生産方法を知っているのに……いや、そうか、環境がないのか」


普通に考えれば分かるだろうに、なんですっぽ抜けてたんだろうな。

前に市羽が言っていた。ギナビア国が蒸気機関を利用している理由は、魔力というファンタジーパワーがあっても大量輸送にはそれなりに課題があって、効率を考えた結果がソレだ。


一般的に使われているモノでも、巨大な生産工場を用意しなければならんものも当然ある。アラクネさんの所の仕立屋だって、一つ一つが手作りの現状だ。


「この世界のエネルギーの根本は魔力で、それの効率利用が尤もできるのが魔法。仲介を機械に頼むには、科学が足りてない。話を戻すけど、だから嗜好品関連は値がどうしても張るし、保湿クリームなんて相当高価だ」


「今よりも発展していないであろう環境で作るとなれば、相当苦労しただろうな」


「本当にスゴいと思う。この人は、上手く魔法で代用しながら科学を再現してるみたいだ。あ、それとだけど、貴族御用達の化粧水の中でも高品質で取引されてるのは、エルフ産らしい」


新道が絶賛しているこのギャルが、エルフと関わりが深かった可能性はある。あのヘアスタイルに、この手紙が白玉さんや別の誰かではなくシューヌさんが持っていた事を考えれば……エルフと友好関係にあり、生産方法を伝えていてもおかしくはない。


里で見た武装したエルフの装備。今考えれば、かなりしっかりしていた。防具や剣は、ちゃっかり鉄製だったな。

魔法で生産可能なのかもしれんが、外部との取引の可能性の方が高い。


不可侵条約があるとは言え、あくまでリュシオン国としてで、それが行商人にまで当てはまるとは限らないってことか。ギルドに依頼を出すぐらいだし、それぐらいの関わりがあってもおかしくない。


「それにしては異世界の連中は、元の世界よりも造形整ってるのが多いな」


「美的感覚の違いはあるだろうし、手入れをせずとも平気な体質とか遺伝子なのかもしれない。まぁ、魔力の影響である事が一番それらしい理由かな」


美的感覚とかセンスとか俺にゃ縁遠いモノだけど、だからって知ったからには利用したい所だ。


言い方はアレだが、思わぬ副産物としてエルフは金のなる木だった。今後の貴族との友好関係を結ぶに当たっても、一役買ってくれる事もあるだろう。

でもなぁ、元々そのつもりじゃなかったから、準備が足りていないな。エルフに生産を頼んだとして、売りに出すとなってしまうと中立国のエルフ産になる。


そうなると、他のエルフ達の反応が分かったもんじゃないし、もしも全エルフが中立国にとなった場合は他国との関係維持に手が回らない。全エルフは言い過ぎかもしれないが、多少は中立国に来るエルフは出てくるだろう。


「これ以上自分から問題を増やすわけにゃいかないから、エルフに頼み事をするのはまだ先になるなこりゃ」


「予定はできたんだね」


「連れてきたエルフ達の反応と今後次第だけどな」


他国や、別の場所へというのならそっちを手伝うつもりだ。だがまぁ、シューヌさんの言葉がある以上、きっと連れてきたエルフ達は中立国民になるだろう。


「はぁ、頭がパンクしそうだ」


浮かんでくる案を実行するにも準備が必要で、それを準備するための手順とかまで考えると、本当に頭がパーンってしそうだ。


そんな俺を見て、新道はクスクスと笑いながら新しく淹れられた紅茶を一口飲み、俺に言う。


「困ったら市羽にも頼ると良いさ。きっと、俺よりも良い答えを彼女は持ってるし、常峰の頼みなら応えてくれると思う。市羽は残るだろうしね」


「そうなのか?」


「なんとなくね。本人に聞いたわけじゃないけど、今の俺は何となくそう思うだけ。常峰が思っている以上に市羽は常峰に信頼を寄せている。逆に言えば、常峰ぐらいしか信頼してない……とはちょっと違うか。まぁ、あくまで俺の予想さ」


新道の言いたい事は察したが……はて、そんなフラグを俺は立てた記憶がない。それに、仮に新道の予想が事実だったとしても、それに応えてやる余裕も体力も無い。


「そんな面倒くさそうな顔をしなくてもいいだろうに」


「面倒なわけじゃなくて、そういう矛先を向けられるのに慣れてないんだ。あくまで新道の予想だろうけど、そうであった場合がどうしたもんかねと」


上手く言葉が出てこない俺を見て、新道はアハハと笑いながらカップを空にして席を立った。

視線をずらして時計を見れば、それなりに時間も過ぎていたらしい。


「本当だったとしても、別に特別な事をする必要は無いと思うよ俺は。市羽の中では、もう常峰は十二分に特別だろうから」


「えらく言い切るな」


「俺の予想は当たるんだ。

さて、そろそろ常峰も時間だろう? そう困った顔の常峰を見れて、中々に新鮮だった。これ以上は市羽に悪いから続きは今度だね」


「煽ってくれるな」


「たまにはね。また困ったことがあったら遠慮なく言ってよ、できる限り俺も協力する」


机に散乱してしまっていた手紙をまとめた新道は、そのまま部屋を出ていってしまった。


まぁ、たまには楽しいもんだ。俺の浮いた話なんて、初めてで新鮮なのは確かだしな。この場に安藤が居たら、そりゃニヤニヤとムカつく顔をして見せてくれただろう。


「我が主よ、少しお聞きしたいのですが……」


「ん?いいぞ」


セバリアスが恐る恐ると質問してくるのは珍しい。何か問題でも発生したか?


「大変無礼な問いである事は承知しておりますが……我が王に御子息様ができた場合、お世話やお仕えする事はお許し頂けるのでしょうか?」


思わぬ所からの右フックな問い。


うんまぁそうだよね。俺に子供ができたら、そういう心配も出てくるのかもね。継がせるかも分からないし、ダンジョンとかと関わりは持たせない!って言うかもしれないしね。

心配だわな。うん。


「俺が親父になっても、ぐーたらな反面教師しかできんだろう。その時には、嫁とセバリアス達で俺みたいにならんように頼むわ」


「おぉ! 必ずや我等が王の様な優しき王へとお手伝いさせていただきます!」


そんな嬉しそうにする前に話を聞きなさい。ってか、なんでこの若さでこんな話をしなきゃいかんのか。

頭痛いよ。もう、寝たいよ。


「我が王、ラフィから連絡があり、どうやらコニュア様が我が王をお呼びのようです」


切り替えも流石だよセバリアス。


「あいよ。それじゃあ行こうか」


何はともあれ目先の問題を片付けないと、落ち着いて今度の事を考える暇もない。冗談を言い合う時間を作るためにも、熟睡するためにも、もうひと踏ん張りと行きますか。

友人の子が中学生ながらにしっかりとしたビジョンと結婚願望を私と友人に語ってくれて、おぉ……と二人で変な声を漏らしながら感心しました。




ブクマありがとうございます。

今後も、ぜひお付き合いください!!

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