表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
眠れる王  作者: 慧瑠
見えてくる意思
125/236

ギナビアからの使者

常峰君視点です。

ランナーボアがどの程度なのかを確認し終えた俺は、グレイ達から少し離れてから寝室に戻ってきていた。

今日、今から使う用の資料をまとめた俺の口からは大きな溜め息が漏れ……。


「本当にギリギリだ」


普段着から、以前贈呈式の時に着た正装へと着替えつつ独り言を漏らす。

今頃レーヴィがグレイ達を案内しているか、終えたか辺りだろう。本当、ランナーボアで終わりでよかった。


あのランナーボアは俺がダンジョン機能を使って喚び出した魔物であり、明日グレイ達が調査する予定のダンジョンに放つ魔物の一種類。

コア君達やセバリアス達に相談しながらピックアップしていった魔物の一種類であり、俺は一応ピックアップした魔物達がどの程度かを確認するために、一体ずつは倒している。


そして、今日のランナーボアで全てと戦った事になる。


「後は大地の爪痕の皆さんの意見次第だな」


冒険者ギルドのクランという組織である'大地の爪痕'の事は、だいぶ前に安藤達から話は聞いていた。

チームだとか、クランだとかのシステムが存在している話の流れから、安藤達がゴレアさん達に聞いた話をそのまま。


'グレイ・ヴァロア'と言うクランマスターの名前と、クランの象徴である紋が覚えやすくてよかったわ。

あのアンシェさんと言う女性が着ていたローブに縫われていた紋は、案内に向かわせたレーヴィからの報告も無い所を見ると、大地の爪痕のモノで間違いなだろう。


明日は明日でグレイ達と謁見しなければいけない事を考え、気怠さと溜め息が止まらなくなっていると、部屋の扉がノックされた。


「我が王。ルアールです」


「入っていいぞ」


「失礼します。ご報告が遅れてしまいすみません。

ギナビア国よりルアール・ルティーア、只今帰還しました」


部屋に入ってきたルアールは、何やらデカい荷物を抱えたまま頭を下げている。


「おかえりルアール。長旅ご苦労さま……それと、彩達の面倒を任せてしまってすまない。助かった」


「我が王からご命令を受けられた事、心より嬉しく思います」


爽やかに笑い答えたルアールは、それと…と言葉を続けて、デカい荷物からズルッと肌触りが良さそうな布を引きずり出した。


俺はソレが何かひと目で分かった。

袋の中で圧迫されていたであろう縦長のソレは、引きずり出されると同時にぽふんっ……と膨らみ、オレは柔らかいゼ。と見るだけで分かる主張をしていくる。


「ル、ルアール……そいつぁ……」


思いもよらないブツの登場に、俺の声も興奮を隠せない。


「聞いた話になりますが、城下町に留まらず貴族間でも好評の寝具店の本店を見つけまして……。最近発売し始めた'長枕'なるモノを購入してまいりました。

枕も良し、抱くのも良し、最高の夜を…と謳っていましたが、我が王のお気に召せば幸いです」


「高かったんじゃないか?ほっぉ」


スッとルアールに差し出され、口ではそんな事を言うものの、既に俺の手は枕の質感を堪能してしまっている。


「貴族用らしく値が張るモノではありましたが、ニルニーアの一件で俺と柿島の顔と、漆や藤井とも関係があると店主が知っていまして、恩人でもあり、今後ともご贔屓にとの事で譲られました」


「なるほどな。そうかそうか」


生返事になってしまっているけど、ちゃんと話は聞いている。

正装に着替えたにも関わらず、だめ人間製造クッション試作型に沈み、受け取った長枕を脇に抱えていようとも聞いている。


「ん~…良き」


「ありがとうございます」


寝れる。

脇にある程よい柔らかさ。時間が経てば、俺の体温に近付き更に心地よさを増す。

確かに普通に頭に敷いてもいいが、抱き枕としても一級品だな。


《夜継、ちょっといい?緊急事態》


《……彩か。今から会議があるから、手短に》


《今の間は何?》


《気にするな》


至福の時間を堪能していると、彩から念話が飛んできた。

正直、無視したい気持ちが圧倒的に勝るのだが……緊急事態と言われては仕方がない。それに、このまま寝てしまって会議に遅れるわけにもいかん。


《まぁいいわ。単刀直入に言うわね。そろそろ私の欲求が暴走爆発しそうなんだけど》


「ありがとうルアール。最高の贈り物だ。今日にでも堪能するとして、ギナビアの使者達は?」


「現在は食事をしている最中かと。

食事が終わり、会議の準備が整い次第、リピアが我が王をお迎えにあがるそうです。それと、こちらが今回連れてきた者達の詳細になります」


「助かる」


《パーンッ!ってイきそうなの。本能的にも物理的にもパーンッって。ちょっと、夜継?聞いてる?》


《……とりあえず、続けてどうぞ》


緊急事態と言うから身構えたというのに、斜め上すぎる発言によって無になった俺は、ルアールから受け取った詳細資料に目を通しながら彩の話を聞き流すことにした。


《もうさ、分かる?》


分からん。


《目の前でたゆんたゆんがボインボインだよ?新築した屋敷で保護してるスラムの子達も将来有望過ぎてもう……。確かに細かったり、少し肌荒れはあったけど、やっぱり違うね。

磨けばツヤツヤ。ぷにっぷに。水まんじゅうを突いてるみたいにぶるんぶるんなの》


なるほど。フラウエースを入れて十六人全員分の隷属権限は、全てこちらに譲渡か。

購入者が決まっていた奴隷が居た可能性もあったが、その辺はレゴリア王が何とかしてくれたのかねぇ。


《しかもさ、この世界ってブラが無いんだよね。サラシなんだよ。女性用のパンツはあるのにブラはないの!

お風呂上がりに、巻いて―って寄ってくる色白ボディがもうぅ……新しい扉開けちゃって、手が出そうになっちゃって、まだ巻かなくても平気よ―って言っても心を開いてくれた子はピトッって抱きついて来るもんだから、危うく鼻血の門が開いて噴水ショーを披露する所だったわ》


ともなれば、一旦隷属権限はラフィ辺りに引き受けて貰って解放するか。いや、念のためにすぐに解放はしない方がいいのか?

見た限り違法奴隷ではないし、何らかの理由があって奴隷になっているんだろう。しかし、フラウエースに関して、ギナビアが違法奴隷だったと記載していない所を見ると……そこら辺の規定にも抜け穴があると考えるべきか。


《でも私は堪えたわ。ぐっとね。そこでうら若き幼女達に無理矢理手を出すほど落ちぶれちゃいないわ。向こうから誘われたらノンストップだけど、今回はぐっと踏みとどまってみせたの。

その日の夜は、月衣の胸を揉みしだこうしてビンタされたから、先に寝てた藍ちゃんのパイサンドゥに挟まれて寝る事で事なきを得たわ……》


一度隷属権限を使って、罪状があるならソレを聞いてから判断していく方向が無難だな。んで次は、働いてもらうから役割分担と給金に関してか……。


《でもね。ソレが間違いだったと気づいたのは朝になってからよ。

藍ちゃんのたわわな双丘は私を狂わせてくるのよ。揺れて、私が埋ろうとするたびに、藍ちゃんから漏れる艶めかしい声がね。私の理性を突き崩してくるの。藍ちゃんの貞操に私の毒牙を突き立てろ!と囁いてくるのよ――》


種族が人間だけじゃなく獣人も数人、一人は半魔という種族も居る。他国の奴隷事情がよく分からないからなぁ。

統一給金でいいのか、差別化があるのか。その辺の認識も当人達の話を聞きつつ、この国では……を決めていかないといけない。


奴隷を容認して、下手に高待遇で奴隷を受け入れてしまうと、奴隷とそうじゃない者達との差別化も大変だし、最悪の場合奴隷で溢れかえる可能性すらある。そうなったら、金銭導入が疎かな今じゃ破綻する。

うまく調整をしていくしかないか。……さてと。


《まとめると、つまり?》


《欲求不満が爆発寸前。被害甚大の可能性あり》


止めなければ、加速してシモを連発で喋り続けそうな彩を遮り要望を聞く。だがまぁ、知ってた。

俺じゃどうしようもできない。


《お前、よくこの十六、七年犯罪を犯さずに生きてきたな。そういう処理とかどうしてたんだよ》


《夜継……流石にソレはセクハラよ》


《失言だった》


お前が言うな。と言いたい所だったが、俺は寸前の所で飲み込み、ふと思ったことを聞く。


《てかさ、俺によくそんな話ができるな》


《私と夜継の仲よ?ツーカーの仲じゃない。それに、私に禁欲させてるくせに、よくまぁぬけぬけとそんな台詞吐けるわね。

あー、夜継が吐き気するぐらいイケメンだったら良かったのに》


《なんで》


《そしたら夜継に近付いてきた女の子を、私がつまみ食いできた。どうせ淡泊で面白みもない夜継の事だから、女の子を満足させるなんて無理でしょ?》


コイツ、本当に言いたい放題だな。まぁ事実だろうから否定も出来ないし、彩も彩でよほどフラストレーションが溜まっているんだろう。

だからと言って、良い打開策があるわけでもない。どうしたもんかね。


詳細資料に目を通している最中にルアールが用意してくれた紅茶を飲みながら考えていると、部屋の扉がノックされて考えを一旦止めた。


「常峰様、リピアです。皆様の準備が整いましたので、お迎えに上がりました」


「あぁ、今行きます」


どうやら詳細資料に目を通している間に時間が来てしまったようだ。彩の件は……一旦保留にしておくか。


《とりあえず、もうちょい我慢でもしといてくれ》


《野郎に焦らしプレイされるなんて、気持ち悪すぎて暴走ゲージが上がっていくわ》


《って市羽が言ってた》


《へ?んー、もぉ、それなら直接言ってくれればいいのに》


すまん市羽。


《俺からは、両者同意の上なら文句は言わん。それでも藤井や城ヶ崎に迷惑掛けない程度に》


《分かってるわよ。だから我慢してるんだしね》


《まぁ、なんか良い打開策があったら、また連絡するよ》


《私なら何時でもどれだけでもウェルカムよ。何人でも女の子なら囲ってあげる》


《ハハハ、頼もしいことで。……あぁ、後もう一つ。爺の影響で使ってるのかは知らないが、ツーカーの仲って表現はちょっと古すぎるからな》


《え、うそ!ま――》


俺は彩との念話を一方的に切り、ルアールに礼を言ってから、部屋の前で待つリピアさんと合流して会議室へと足を運んでいく。


-


会議室は、俺等の城の庭の一箇所に急遽建設した。外観は美術館みたいになってしまっているが、中に入ればデカい長机と相応の数の椅子が並んでいる。


「おまたせしました」


俺は正面からではなく、俺専用の控室に扉を繋げて会議室へと入っていく。すると、軍服姿が二人座っており、その二人の後ろで待機している武装しているのが数十人。

そしておそらく奴隷であろう質素な服装の十五人が、武装兵の後ろで身を寄せ合っている。


……フラウエースっぽいのが居ないな。


「貴殿が眠王か」


「はい。常峰 夜継と申します。以後お見知りおきを」


「私はレゴリア王の使いで来た、ギナビア国軍空軍所属 ペニュサ・パラダだ。将軍の位を預かっている。そしてコイツが――」


「ハッ!ギナビア国軍空軍所属 ヒューシ・フォポトリアと申します!ペニュサ将軍の補佐官をさせていただいています」


周囲を軽く見回しながら座っている二人に近づくと、女性の方が先に名乗り、後からもう一人の男性が敬礼をしながら名前を言った。

俺はペニュサさんとヒューシさん両方と握手をした後、話しやすい様に対面へ移動して椅子に腰を下ろす。


「どうぞ座ってください」


「失礼する」「失礼します」


二人が座ったことを確認して、まずは掴みから……というより、畑が気にしていた感想を聞くことにした。


「食事は口に合いましたか?」


「あぁ、美味かった。私はあまり食に拘りが無いが、久々にああしたモノも良いと感じた。初めて口にしたが、レパパのデザートにも驚かされたよ」


「この後に頂けるというお酒も期待させて貰っています」


「それは良かった。レパパのデザートに関しては、持ち帰り用が必要であれば言ってください。用意させましょう」


レパパを用意したのは正解だったかもな。

俺が予想していたより印象強く残ってくれたようだ。


畑はババロア風とか言っていて、シーキーも関心していたみたいだけど……俺はババロアを食ったことがないから分からん。が、まぁ好印象だったのは良いことだ。


「それは嬉しいな。食わせてやりたい子が居る。是非頼むとしよう」


「分かりました。手配しておきましょう。では、食事の話もこの辺で……本題に移っていいですか?」


俺から始めた話だが、適当に切り上げて視線を奴隷達へ向ける。

どの種かは分からんが、獣人が五人。人間が九人と、少し離れた場所で孤立している者が一人。体が壁になって一瞬気付かなかったが、その者をよく見れば、背中に小さな羽がある。


「まずは奴隷の件からだ」


ペニュサさんが言うと、後ろで控えていた武装兵の一人が紙束をリピアさんに手渡し、俺はそれをリピアさんから受け取る。


「十六人分の隷属権限移行書だ。今はヒューシが全員分の隷属権限を持っているが、これを誰に渡す」


「ラフィ」


「お呼びですか?我が王よ」


俺が名を呼べば、ラフィは当然のようにリピアさんの後ろから姿を現した。ふと脳裏をセバリアスが過り、何となく居るかなーと思って呼んでみたのだが、本当に居た。


「リピアと一緒に、特技などを聞き、以前話したように振り分けを頼む。権限は二人で受け持ってくれ」


「かしこまりました」


人前という事もあって、リピアさんに敬称を付けない様に注意をしつつ隷属権限移行書をラフィに渡す。


「ヒューシ」


「ハッ!」


会話を聞いていたペニュサさんが名前を呼ぶと、ヒューシさんは返事をして席を立ち、リピアさんとラフィに近付いていく。


「隣の部屋を使っていい。

皆さんも、どうぞ隣の部屋へ。適当にお茶でも出すので、気軽に質問に答えてください」


「お前達もついて行け。私は一人でも平気だ」


武装兵も全員行くのか。

ペニュサさんの思わぬ指示に、俺は慌てて隣の部屋を全員入れる様に少し拡張する。


俺とペニュサさんの二人になるという事でか、ラフィの目が一瞬冷たいモノになったが、軽くラフィに頷き返せば納得したように全員を連れて移動していく。

そして部屋には俺とペニュサさんの二人だけに。


「眠王、私に問いたい事があるんじゃないのか?」


「そうですね。まぁ、気になっていることはありますが、質問があるのはペニュサさんの方では?」


確かにフラウエースの事を聞きたいが、実際ダンジョンの機能を使えばダンジョン内であれば何処に居るか分かる。後で本人から聞いてもいいと俺は考えている。

それに、この状況にしたのはペニュサさんだ。俺の意を汲んだ結果だというのならそれでいいが、流石に怪しすぎる。


「そうだな。私の方は複数ある。先にあるのなら、そっちから答えよう」


複数ね……。部下達にも聞かせたくない事なのか、ペニュサさんの雰囲気は少し急いている様にも感じるな。

先に答えるから、こっちの質問にも答えろ。という事か。なら遠慮なくさっさと聞いてみますかね。


「十六人と聞いていたのですが、先程見た限りじゃ一人足りなかったようですが」


「アレがフラウエースだという事は、私は知っている。他にはヒューシのみだ。種族が種族だけに色々と知られれば厄介でな。当人には悪いが、庭の方に止めたドラゴン達と共に居てもらっている。

眠王の部下達には気付かれているようだがな」


……ふむ。

ダンジョン機能を使って調べると、確かに城の庭に複数の反応がある。それに、ダンジョンメイドの一人が監視するような位置で待機もしているな。


ルアール達が報告しなかったのは、する必要が無いと考えたのか?

まぁいい。


「それでしたら問題ありません。こちらから聞きたい事は終わったので、次はそちらからどうぞ」


報告の有無については後ででいいや。実際、ダンジョン内に居るのならどっちでもいいのは確かだしな。

それに、今はペニュサさんの質問の方が気になる。


俺の言葉に小さく頷いたペニュサさんは、しっかりと俺を見据えて問いかけてきた。


「一つ目はレゴリア王からだ。

リュシオン国、ログストア国の炙り出しは終えたか?」


俺は問いを聞いて、なるほど…と人払いをした理由を察した。

ナールズ・グレンドは……確か、英雄扱いで大々的に葬儀を行ったとか報告があったな。連れてきた部下の大半は、真実を知らないメンツか。


「まだですね」


「隠すべきではない」


「失態を隠した側の台詞とは思えませんね。と言っても、本当にまだ分からないんですよ。

随分と巧妙に根を張ったようで、長年気付かれなかった事を考えてしまうと、どうしてもぽっと出の俺が突っ込むわけにもいかなくて。

今は様子見中です」


レゴリア王の言葉か、ペニュサさん本人の言葉かは知らないが、少し嫌味を混ぜて返させてもらう。

俺からすれば、そっちがもう少し注意を払っておけば今回の様な事態は起こらなかった。

それを俺が利用したのは確かだが、そうもせっつかれ疑われては気分がいいものではない。


「ふっ。一応我が国は大国ギナビアであり、その手を借りて何かしようとしているのに、随分と強気な物言いだ」


「事を荒らげない様にこうして机の上で片付けているんです。力尽くで何かをしたくないのは、俺もそうですがギナビア国も同じでしょう。

大国であるギナビア国が、現状の敵を見誤る様な事は無いと思いたいですね」


優位を取りたいのだろうが、それは譲らない。

ギナビアに臆して優位を取らせてしまうと、それはログストア国やリュシオン国にもそうしなければならなくなる。

中立国という肩書がある現状、どっちつかずでどちらも利用するべきだ。それを分かりやすく表現するのならば、大国相手であれど対等で接さねばならない。


優位を与えるのと、融通を利かすのは違う。


「なるほど……レゴリア王が高く評価をするわけだ。口も頭もよく回る」


「褒め言葉として受け取っておきます」


「無論、褒め言葉だ。私が眠王の年頃は、剣を振っていてそこまで頭を回さなかっただろう」


「そのおかげで、今は将軍の地位を預けられるまでになったのでしょう?俺からすれば、ペニュサさんの若さで将軍とは驚きですよ」


「褒め言葉として受け取っておこう」


「偽りのない褒め言葉です」


まぁ、俺はペニュサさんの年齢を知らないから、嫌味になってしまっているかもしれない。だが、見た感じでは三十路前ぐらいだろう。

ギナビア国の内情を詳しく知らんが、その若さで将軍の地位は凄そう……と安直な感想が出てきたのは本当だ。


「では、レゴリア王にはその様に伝えておく。次は私事になるのだが、聞いてもいいか?」


「どうぞ」


私事の質問か。一体何を質問されるのか、人払いをしたかったのはこっちの理由もありそうだ。

なんて考えて問いを待っていると、ペニュサさんの口から出た言葉には、実に俺にはタイムリーな名前が出てきた。


「漆 彩について問いがある」


「……どうぞ」


将軍様直々のご指名。

アイツ、マジで何をした。


きっと引き攣っている顔をキープしながらも、俺の胃はキリキリと音を立て始めていた。

胃が痛い。

ギリギリ日が変わる前に間に合いました。

誤字脱字報告助かります。


ブクマありがとうございます!

どうぞ、今後もよろしくおねがいします!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 同性愛者であるのに偏見は無いけどそういう目をノーマルの人に向けるのはくっそ迷惑だし気持ち悪いよな 同性愛者同士でイチャつくのは勝手にすればいいけど自分の家族が無理矢理迫られてたら最悪じゃん…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ