彼女は『異世界小説』がきらいだった
無職の人が異世界に行って活躍する話が好きだ。
高校生が異世界に転移して、何度も死に戻る話も好きだ。
女子高生が蜘蛛になって異世界で暴れ回る話も好きだ。
僕は小説家になろうが大好きだ。
小説家になろうという投稿サイトにあふれる無尽蔵の小説を読んでいるだけで、いくらでも時間をつぶせた。
「あなたってちょっと変わっているわね」
同じ病室に入院している女の子に変わりもの扱いされる。
彼女はベッドのテーブルの上に置かれたパソコンをクリックすると、僕オススメの小説を開く。
「この小説サイトはたくさんの小説があるけど、どうして異世界に行く話ばかり読むの?」
彼女は尋ねてくる。
正直に答える。
「僕、小さな頃から身体が弱かったんだ。入退院を繰り返してたから、こことは違う世界で元気に冒険をする人たちに憧れるんだ」
「なるほどね」
と彼女は納得してくれたようだ。
でも――と、続ける。
「今はもうその小説も読むことはできないわね」
「そうだね、うん、そう。だって……」
と、僕は言葉を句切る。
そして目の周りに巻かれた包帯に軽く触れる。
僕の目は光を失っていた。
とっくの昔に小説を読むことができなくなっていた。
でも、大丈夫、と虚勢を張る。
僕には記憶がある。
まだ目が見えた頃、何度も何度も繰り返し読み返した小説家になろうの小説たちがあった。
まぶたをつぶるだけで一字一句を思い出せる――、とまではいわないけど、有名な小説はすべて頭の中に入っていた。
だから、辛くはないし、退屈はしない。
ここ最近、家族は見舞いにきてくれなくなってしまったけど、それでも寂しくはなかった。
僕の頭の中には小説の主人公たちがいる。彼らと一緒に異世界で活躍することを夢想するだけで、心は満たされる。
それに――。
最近、僕には友達ができた。
僕の大好きな小説たちを、低俗でくだらない、と切り捨てる、毒舌の女の子。
彼女は名前さえ教えてくれないけど、それでも僕の大切な友達だった。
だって彼女はとても優しい。
家族が見舞いに来ない僕を人一倍、気に掛けてくれる。
病院内でひとり、殻に閉じこもっている僕に優しく話しかけてくれる。
僕はこの長い人生において作ることができなかった友達を作ることができたのだ。
あるいはそれは面白い小説に巡り会うよりも幸せなことなのかもしれない。
そう思った。
名前も知らない彼女、彼女もまた病気で入院していた。
彼女はあっけらかんと言う。
「私、肝臓癌なの」
「肝臓癌?」
「そう、肝臓癌」
「君ってまだ若いんだよね?」
「うん、ピチピチ。でも、若いからこそ癌は大変なの。若いうちに癌にかかっちゃうとあっという間にがん細胞が広がっちゃうのよ。そして気がついた頃にはもう手遅れ」
彼女はステージⅢという言葉を知っている?
と言った。
そんな言葉知らなかった。
「まあ、ステージⅣが一番ヤバイのだけど、Ⅲでも十分ヤバイの。つまり、私の余命は残り僅かってわけ」
「そんな……、いや、だよ、君が死んじゃうなんて」
「人間いつか死ぬよ。早いか遅いかの違いだけ。それに私は太く短く生きるからもう十分だよ」
「十分?」
「家族と色々なところに旅行に行ったし、中学生の頃には男の子とも付き合ったよ」
「……キスはした?」
「したした。だからもういつ死んでも本望だよ」
「そうなんだ……。僕は家族と旅行もしたことないよ……」
「チューは?」
「まさか、女の子と手をつないだこともないよ」
「じゃあ、私とする?」
「え……」
突然の提案に言葉を失ってしまうが、彼女はすぐに笑う。
「冗談よ、冗談、なに真剣に考えているの。ちなみにチューも嘘だよ。私はまだユニコーンの背中に乗れるよ」
彼女はそう言うと病室のカーテンを開けた。
「私は若い身空で死んでしまう。でも、神様はそんな私に役目を与えてくれたんだと思うの」
「役目?」
「あなたの目はいつか治るんでしょう?」
「うん、直るって父さんが言ってた。手術をすればもう一度、目が見えるようになるって。また小説が読めるようになるって」
「うん、だから神様は私にこう言ってると思うんだよね。あんたの残り少ない人生は、目が見えない病弱の男の子のために使いなさい、ってそうしたら、きっと来世では健康な身体に転生させてくれるかも」
「僕のために使う?」
「そう、今日から私はあなたの目の代わりになる。この目はあなたの代理となるの。だから遠慮せずにこき使って」
「そんなことできないよ」
「あ、さては私に徳を積ませず、来世をカマドウマかなにかにするつもりか」
「ま、まさか」
「じゃあ、遠慮せずに言って。来世で私を健康体にするために」
「……もしかしたら異世界に転生しちゃうかもよ」
「そうなったらそうなったでいいよ。伯爵令嬢でも、悪役令嬢でもなんでもいいよ。元気に楽しく過ごせるならば」
「なら大丈夫、異世界はとてもいいところだよ」
僕は自分でも分かるくらい頬を緩めながら微笑んだ。
その顔を見て、彼女は言った。
「あなたって笑うと可愛いね、なんか女の子みたい」
その言葉を聞いた僕は顔を真っ赤にさせた。
その日以来、彼女は僕の目になってくれた。
彼女は病院の外に行く、と一言言うと、そのまま本屋へ行った。
なぜに本屋なのだろう? と思っていると、小一時間後、ベッドの横にどさあっと本が置かれる。
「これはなに?」
「あなたの好きな小説家になろうの小説よ」
「え? わざわざ買ってきてくれたの?」
「まさか、店員さんがいなかったから、紙袋にそのまま入れてきちゃった」
「……それって泥棒じゃ」
「違う違う。ちゃんと万札をおいてきたよ。あ、でも、小説家になろうの本って高いわね、ちょっと足出ちゃったかも」
僕が顔面を蒼白にさせたからだろうか、彼女は冗談冗談と笑う。ちゃんとお金を払ったとレシートを出す。僕には見えないけど。
「まあ、いいわ、読むね。ええと、ある日、36歳のニートの引きこもりオタクがトラックにはねられました……」
「どうしたの?」
「……出だしから頭痛がする文章だったのよ。これだから小説家になろうは嫌い」
「そうかな、文学的で格好いい出だしだと思うけど」
僕がそう言うと、彼女は大きなため息をつきながら、本を読み進めた。
彼女が朗読する僕の大好きな無職の人の小説は、何度聞いても素晴しいものだった。
僕はわくわくしながら早く続きを読んで、と彼女に頼んだ。
彼女は、はいはい、と読み進めてくれる。
このペースだと数日後には読み切ってしまうかもしれない。
そう思っていると、看護婦さんの声が聞こえる。
「こら、ふたりともなにをやっているの? もう消灯時間よ」
彼女はやばい、と自分のベッドにもぐり込む。
申し訳なさそうに言う。
「続きは明日の夜ね」
彼女は小声で言うと、明かりを消したようだ。
次いで看護婦さんがやってくる。
「ふたりともちゃんと寝ましたか?」
僕は狸寝入りを決め込む。
看護婦さんは立ち去っていった。
看護婦さんがいなくなると、僕は彼女に尋ねた。
「ここ最近、やってくるのはいつもあの看護婦さんだね」
「そうね、きっと私たちはマークされているのかも」
「あの看護婦さんの声、少しだけ君に似ているね」
「そう? 私の声ってあんなにいやみたらしくないわよ」
「そうかなー、似てると思うけど」
「それ以上言ったら、もう本を読まないわよ」
「ごめんごめん、もう言わないから許して」
そう言うと彼女と僕は同時に笑う。
もちろん、小声で。
無職の人が異世界で冒険をする小説はすぐに読み終わってしまった。
WEB版の原作は何百万文字もあるけど、書籍版の方はまだ完結していないのだ。
「どうしよう、他の本買ってくる?」
「それもいいけど、僕は最後まで読みたいな。まだ完結していないかもしれないけど、WEB版を読んでくれると嬉しい」
難しい提案のつもりではなかったけど、彼女は難色を示す。
「ねえ、やっぱり新しい本を買ってきましょう。その方が面白いわよ」
「なろう小説は面白いから完結作が少ないんだよ。僕が好きなのはどれも連載中なの。だからWEB版が読みたいな。どうして駄目なの?」
「パソコンがないのよ」
「この前、パソコンをいじってたような」
「私は小説を横文字で読むのが苦手なの」
「大丈夫、最初はなろう小説は頭が痛くなるって言ってたけど、今じゃ、ふーん、結構面白いわね、っていってるじゃないか。きっとなれるよ」
珍しく僕が強く主張したせいだろうか、彼女は折れる。
「もう、しょうがないわね。書籍版とWEB版の展開が違ってても文句言わないでよね」
「いわない、いわない」
むしろ、そっちの方が楽しめるかも。
そう言うと、僕は彼女がノートPCを開くのを待った。
彼女はノートPCを開くと、「ちょっと待って、ここネットが繋がりにくい。看護婦さんにクレームを入れてくる」
と彼女はナースセンターに向かった。
結局、無線LANとかいう機械の故障は直らず、WEB版の朗読会はしばらく延期となった。
しかし、それは全然苦ではなかった。
その間、彼女は色々な話をしてくれた。
病院の窓を開ける。
そこから流れる一陣の風。
彼女はまるで小説家のようにその風の色を、空の情景を僕に教えてくれる。
「とてもとても綺麗な青よ、蒼い絵の具を清流で溶かしたかのような青い空がどこまでも続いているわ。それに風がとても心地いい。まるで風の精霊が運んできてくれた風みたい」
彼女は翌日も、その翌日も、ずっと窓から見える景色を教えてくれた。
「ああ、庭にある大きな桜の木のつぼみが膨らみだした。あと数週間で満開になるかも。とても綺麗な桜吹雪が見られそう」
「桜の木に小鳥がとまってる。二匹だからつがいね。なんて種類かしら。図鑑で調べたら分かるかしら」
「あ、あそこにいる入院患者、どうやら彼女を連れ込んだみたい。手をつないで中庭を歩いてる。リア充爆発しろ」
日々、彼女はうつろいゆく窓の外の景色を教えてくれた。
目が見えない僕にも伝わるくらい、情感たっぷりに、詳細に教えてくれた。
あるいはそれは小説を朗読してもらうよりも楽しいことだったのかもしれないが、ある日、彼女は唐突に言った。
「じゃーん、ようやくこの病室にもネットが繋がりました。これであの小説の続きが読めるよ」
「ほんと!? 嬉しいな」
と、喜ぶ僕。彼女はそれじゃあ、読むわね、と前置きすると、ノートPCを開く、彼女は先日読んでくれた最終刊の続きから読み聞かせてくれた。
無職の人の冒険譚の続きが読める。
僕は心をときめかせた。
彼女が読み聞かせてくれる無職の人の冒険譚は思ったものとは違った。
それまであった読みやすさがなくなり、壮大な設定も影を潜めたような気もする。
心なしかキャラにぶれも感じる。
僕は冗談で、
「もしかして違う人が書いたのかな」
と言ったが、彼女もそれに同意のようだ。
「きっと、書籍化で忙しくてWEB版をおろそかにしてるのね」
「かもしれないね」
そう言ったが、それでも彼女の読み聞かせてくれる物語はとても面白かった。
僕は毎晩、彼女に物語を読み聞かせてくれるようお願いをした。
彼女もこころよくそれを引き受けてくれた。
ただ、その幸せな時間にも終わりがやってくる。
ある日、彼女は唐突に言った。
「ごめんなさい、もうあなたに物語を読ませてあげることはできないの」
「…………」
あまりのことに言葉を失ってしまう。
「……どうして?」
彼女は淡々とした口調で言った。
「もう、私、死んじゃうんだ。長くはないと思う」
「そ、そんな? どうして、昨日まであんなに元気だったのに」
「そうだね、元気なふりをしていた。でも、それも限界みたい」
彼女は辛そうに声を絞り出す。
「わ、わかった。もう物語はいいから、静養して。医者に身体を見てもらって、身体を直して。少しでも長く、ううん、僕より一秒でも長く生きて」
「それは難しい相談かな。やっぱり、私の方が先に死ぬと思う」
「いやだよ、そんなのいやだ」
「大丈夫、安心して。私は先に死んでしまうけど、その代わり、あなたへプレゼントを残してあるから」
「プレゼント……?」
「うん、私、時折、病院を抜け出していたでしょう? 実は病院を抜け出して、異世界に行ってたんだ」
「異世界? なにを言っているの?」
僕は彼女の気を疑った、もしかして癌の転移が脳に始まっているのかもしれない。そう思った。
「私は病院を抜け出して、エルフの森に行っていたの。そこでエルフから目を治す霊薬をもらったんだ。だからこれを飲めばあなたの目は治る」
「僕の目なんてどうでもいいよ。手術すれば直るから。それよりも君の癌の方が」
「そうだね、私の癌も治したかったけど、異世界の魔法でも無理みたい」
彼女はやっとの口調でそう言うと、僕に謝る。
「……ごめんね。私はあなたにたくさんの嘘をついてきた。これからあなたはこの異世界でひとりで生きていかないといけなくなるけど、でも、時折、思い出して。一緒にこの異世界にやってきて、同じ時間を過ごした女のことを。でも、本当に時々でいいよ。あなたはこの異世界を堪能して。きっと、この世界はあなたの好きな小説のように優しさで包まれているはずだから」
彼女はそう言うと、僕にコップを押しつける。
「それを一気に飲み込んで。すごい苦いけど、数時間後にあなたの目は治るから」
「君は? 君はどうなってしまうの?」
「ねえ、私って猫みたいだと思わない?」
「どういう意味?」
「きまぐれで孤高な性格とか、このつり上がった目が猫に似てると思う」
「わからないよ、君の顔を見たことがない」
「じゃあ、猫を見かけたら私のことを思い出して」
彼女はそう言うと、二度と口を開かなかった。
その場からいなくなったようだ。
猫は終末を迎えるとどこかにふらりと消え去るらしい。
そして誰にも悟られることなく死に、土に帰るという。
無論、それは猫の話だ。末期癌の患者が病院を抜け出せば、騒ぎになるはず。
僕はその騒ぎを拡大するため、大声で叫んだ。
いつもやってくる看護婦さんの名前を大声で叫び、異変を知らせた。
声がかれるまで、声帯が動かなくなるまで叫び続けたが、誰も僕の声に気がついてくれるものはいなかった。
――数時間後、奇跡が起こる。
僕の両眼に光が宿る。
手術をしなければ見開くことができないはずの目が開かれる。
なにが起こったのだろうか。
困惑する。
僕は数年ぶりの視界をおそるおそる確認する。
僕がいたのはやはり病院だった。
ただし、真っ暗である。常備灯さえついていない。
近くにあったスタンドに触れるが、スイッチを押してもなんの反応もなかった。
部屋の回りを確認しようとするが、病室のドアは木で打ち付けられていた。
外からである。
病室の窓は内から打ち付けられていた。
ドンドンと叩いてもなにも反応がない。
窓も同じだった。
いや、窓を叩くと外から、「ぐぎゃあ!」と聞いたことないような鳥が鳴くような声が聞こえた。
なにが起こったんだ?
真っ暗な病室。誰の気配もない病院。
恐ろしくなってしまった僕はそのまま布団をかぶり、朝まで震えていた。
窓の隙間から陽光が漏れ出てきたとき、朝が訪れたことを知る。
視力と視界を取り戻した僕はあらためて病室を見渡す。
「なんだこれ……」
思わず漏れ出る言葉。
ここはたしかに病室であったが、僕の知っている病室ではなかった。
真っ白なシーツに消毒液の匂いがする室内。
真っ白な壁に清潔感ただよう空気。
それらが一切ない。
まるで廃屋のようなところに僕はたたずんでいた。
僕は真っ先に隣のベッドにあるPCを開いた。
ブラウザを開き、情報を得ようとするが、ブラウザが開かない。
このPCはネットに繋がっていないと表示される。
外部への連絡を絶たれた僕は落胆するが、僕はデスクトップにとあるフォルダがあることに気がつく。
そのフォルダのタイトルは私の友達へ、と書かれていた。
フォルダの中身は、小説だった。
僕の大好きな無職の人が活躍するWEB小説の続きだった。
オフライン用にダウンロードしたものなのだろうか。
最初はそう思ったがすぐに違うと気がつく。
僕は病室の窓に打ち付けられている木の板を取り去った。
そこから見える窓の風景。
もしも彼女の言葉が真実ならば、そこから見える風景は――。
病院の窓から外を見る。
そこには青い空も、桜の木もない。中庭もなければ中庭を歩く入院患者もいなかった。
ただ、荒涼とした荒れ地が広がっていた。
……ほんとだったんだ、彼女の言っていた言葉はすべて本当であり嘘だったんだ。
ここは異世界だった。
看護婦さんなんて最初から存在しなかったんだ。
彼女が僕を怯えさせないために、ひとり二役を演じていたんだ。
窓から見える景色も僕を怯えさせないため、元気づけるために嘘の景色を僕に教えていたんだ。
持ってくる病院食が、お菓子やレトルト食品ばっかりだったのも納得いく。
もう、この世界に文明はないのだろう。僕と彼女以外いなかったのだろう。
だから彼女は、ひとりで異世界を徘徊し、食料を調達していたんだ。
だから夜しか本を読んでくれなかったんだ。
だから彼女の読み聞かせてくれるWEB小説は稚拙で面白くなかったんだ。だって素人の彼女が書いたものだから。
すべての点と線が繋がり、理解した僕。
理解はしたけど、納得はしてなかった。
僕は彼女を探すことにした。
彼女はもうじき自分は死ぬと言った。
猫のように死んでいくさまを見られたくないと言った。
だが、そんなことはこっちの知ったことではなかった。
彼女からもらった大切なものの数々。
彼女と共有した大切な時間。
僕はひとつも彼女に恩返しをしてない。
一回も彼女を助けることができなかった。
ならば今度は僕が彼女を助ける番だった。
彼女の病気を治す秘薬を見つける。
それができないのならば、彼女を蘇らせられる方法を探す。
それは不可能ではないはず。
なぜならばここは異世界なのだから。
僕があれほど、憧れ、冒険したいと願った異世界なのだ。
人を、大切な友人を蘇らせられない異世界など異世界ではない。
僕はそう心の中で結ぶと、病室を出た。
そのまま朽ち果てた外観の病院を進むと、途中、落ちていたモップを掴む。
ここは異世界、この先、なにが待ち構えているか分からなかった。
だが、どんな困難が待ち構えていても僕はくじけることはないだろう。
「どんなことがあっても彼女を助ける」
それが異世界にやってきた僕の夢だった。
病院の外は、荒涼とした大地が広がっていた。
一陣の砂塵が吹きすさむ。
初めてやってきた異世界は僕を拒まなかった。
ただ、無視をするだけだった。
僕は猫に似た少女を探す旅に出る。
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