引きこもりですわ
この国の貴族は16歳になると学園に通う事になっている。
学園で学ぶ内容は…正直大した事は無いのだが、貴族にとっての婚活の場なのだ。
婚約者が居ない私は当然通うべきなのだが、私は迷っていた。
学園に、名前も思い出せない元婚約者様がいる。
元婚約者様にくっ付いていたピンク色の令嬢が居る。
そして凄く評判が悪いのだ。
ピンク色の令嬢が高位貴族の男性を侍らしていたり、
高位貴族の婚約者と対立していたり…
そう、乙女ゲームの逆ハー展開がリアルで起きている。洒落にならない。
私は病弱を理由に、自宅に引きこもっていた。
学園が落ち着いたら留学手続きもありかもなあ。
自宅に引きこもっていると言っても…
淑女教育、外国語教育、趣味の庭いじりにお菓子作り等結構忙しいのだ。
あと地元の技術者と協力して、Tシャツ、パンツ、ブリーフ、トランクス、オシャレステテコ、ゴム底サンダルを開発、生産、販売してみた。
この国にも四季がある。
夏はうだるほど暑いし、冬は冬で寒い。
庶民向けに売り出してみたのだけど、密かに高位貴族にも人気らしい。
うちの兄も寝るときにはTシャツにステテコを愛用し始めた。
要は良い物は良い!と言う事なのである。
夕方の涼しい時間帯に、庭でリュートを弾く。
最近、リュートを弾いていると、それに合わせるかのようなフルートの音が聞こえるようになった。
誰だろう、イメージ的にはレコードで見たような、ルネサンスっぽい女性が良いなあ。
密かに、デュエットを楽しんでいるのだ。






