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追い返しましたわ

ノックの音がする。

「ジョアンナ様、開けてもよろしいでしょうか」

返事をすると、タオルとお茶を持った次女が入って来た。

後ろからは心配そうな顔をした兄が入ってくる。

「アン、大丈夫かい?」

「ええ、大丈夫ですわ。ただ、昨日お風呂に入れなかったので体を清めたいのですけれども」

「そうか、実は先ぶれも無くアンの婚約者がやって来たのだが追い返した方が良いか」

「タバコにお酒の匂いもついていて、たとえ浄化の魔法を使ったとしても、このままでは人に会いたくありません」

「そうだね、そうしよう。君の婚約者にはきちんと先ぶれを出してくるように伝えておこう」

兄がニッコリと笑って部屋を出て行った。


ガヤガヤと外で人の声や、馬の鳴き声が聞こえる。

私の婚約者様はどんな容姿だったか思い出せない。

ゲームでは水色の目に水色の髪だったけど…

窓の外を見ると、厳しい顔つきでこちらを見る、若い男性が見えた。

ごく普通の金髪…水色じゃなかった。


昨日は社交界デビューの日だった。

婚約者がいる令嬢は婚約者がエスコートをする。

予め、使用するアクセサリー等のプレゼントを行う。

例え、令嬢側の家が裕福で、男性側の家が経済的に苦しくても

大抵の場合は男性側は何とか形を整えるものだ。


私のデビューにはエスコートもアクセサリーも無かった。

そういう事なのだろう。


侍女の手伝いでお風呂に入り、髪の毛を整える。

ワインが髪にかかっていた。

デビュッタントの白い衣装…

時間をかけて少しずつ編んだ白いレース飾りをつけていた。

ワインで汚されてしまった。

頑張って編んだのに…涙がこぼれる。侍女たちが慰めてくれた。


その日は優しい味のお粥を食べて、すぐに寝た。

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