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プロローグ
この国には『復讐屋』という職業がある。
正確に言えば、『特別司法執行官』という職業だ。依頼者の話を聞き、対象者が受刑後や、逃走中であった場合、警察と別れて独自のルートで対象者に対して相当した刑罰を与えることができる。
いわば『法の執行人』である。
しかし、全国に何万人といるわけでもないし、当然ながら法律の範囲でしか刑罰を下せない。
それでも気分は晴れない、報いはこんなものではないはずだ。という者も一定数いる。
そして生まれたのが、『クロツメ』と呼ばれる法外の復讐屋である。
名前は特別司法執行官がシロツメクサのバッヂを着けているのに由来する。
そして、この国で『クロツメ』を営む久嶺 鉄の下に今日も依頼者達は募る。
確実に、残虐に、秘密裏に、
今日もひとり、屑が処分されていく。