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気持ち悪い笑顔と気持ち悪い喋り方をしながら見せてきた紙を、めんどくさいそぶりを見せながら受け取る。そこには「巫女能力使用の報告書」と書かれてあった。
紙に目を通した後、意味がわからないといった表情を浮かべながら、目の前の男の問う。
「これは一体どういう意味だ」
その問いに対し、快心は目を細め、おかしそうに笑う。
「前にさぁ、うちの皆華ちゃんの能力借りたでしょ~。なんかすっごく大変な任務?とかで。その報告書がほしいわけ。ほら~皆華の能力って、予知みたいなもんじゃん。難しいことわかんないけど、神様の声?が聞こえるときはほぼ100%の的中率らしいけど、そうじゃない場合って、確立減るらしいのよ。だからどれくらい予知にズレがあったか、調べたいらしいから、報告書提出してほしいんだって~。わかったぁー?」
巫女の能力や内部状況など、裂翔には全く異次元のような感覚なのだけれども、この国の宝とも呼ばれる存在で、その者たちからの要望とあっては断ることなど出来るはずがない。
「わかった。期日までに報告書を書けばいいのか?」
「うん。そうそう~。あっ!でも~」
「?」
「なんか直接、話を聞きたいとかなんとかで~報告書とともに裂翔も神殿の方まで来て、とかなんとか言ってたよ」
「神殿って、あの奥にある、巫女達がいると云われている場所のことか?」
「そうそう~。ついでいうと、俺ん家の近くねぇ~」
「・・・・・あそこは神聖な場所として、普通の奴らは立入禁止ではなかったのか」
「う~ん。俺もよく知んないけど、来いって言ってんだし、いいんじゃん?それに神聖って言っても、ただの森の中みたいな感じだし、母さんいわく、声を聞くために静かであってほしいから、制限もうけてるだけっぽいこと言ってたし」
「まあまあ。うんな、睨まなくても、怖いこともないし、大丈夫 大丈夫。ほら~裂翔くん。目の前に山積みの書類があるんだし、お仕事しなさい。君の大好きな快心くんも頑張ってお仕事するんだから~。んじゃあねん~。がんばってねぇ~」
恨みがましく睨みつけていた裂翔を、相変わらずのちゃらんぽらんなテンションで諌めると、飄々とした態度で執務室から出て行った。