表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴシック・ロジック  作者: もみもみじ
4/4

第四話 死神と誘拐とキルズアウト

これまで謎のあとがきを書いていましたが、やめます

疲れましたww


で、流石に何もなしはいやなので、裏話をして行こうと思います

よろしくお願いします

「これまでありがとうございました、ユイヤさん」

 アマルがユイヤに丁寧にお辞儀をする。とても綺麗で、作法のビデオの例みたいな感じにも見える。

 が、俺はその光景を見て複雑な心境になっていた。

 アマルとの契約が切れた、とユイヤは言っていた。俺はユイヤに説明を求めると丁寧に冷静に答えてくれた。

「死神とは、契約することによって初めて下界に存在することを許される。ただ、それにも期間があってね。ボクはアマルと二年間契約を結んだんだ」

 最初はただ人手がほしくなって契約したらしい。条件は人を狩る行為の手伝いだった。そして、女になってもその契約は続き、そうやって二年が過ぎたようだった。

「じゃ、じゃあ。契約が終了したらアマルはどうなるんだ?」

「ボク達の前から消える。詳しくはボク達が認識できなくなる。主無き死神は、例え下界に降りてきても存在が認められない」

 ユイヤが淡々と、声を落ち着かせながら言っている。それを聞いて俺はユイヤを睨んだ。たぶん、初めてユイヤを憎んでしまった。

「なんで仲間がいなくなんのに、そんな平然としていられるんだよ!」

 俺は彼女と出会ってまだ数週間だ。でも、少なくとも仲間という意識はあった。この数週間で俺とアマルは少なくともそう呼べる関係になっていたと思う。

 それなのに、俺以上に長く彼女を知っているユイヤが平然と言っているのが憎かった。でも、

「へい……ぜんで…いられるわけ、ないじゃないか」

 ユイヤの声が少しずつだが弱くなっていく。少しずつ嗚咽が混じり、最終的には何もしゃべられなくなっていた。

 俺はその時、あの冷たい声をしたユイヤを思い出した。またこいつは感情を押し殺していたのだろう。でも、ユイヤには悪いが彼女の精神は脆い。少しでも責めると崩れてしまう。仮面を被りきれていない。ただ、つけているだけなんだ。

 俺は罪悪感を感じながら、ホホの山を降りたのだった。

 そして現在に至る。俺は状況を知り、尚且つ何もできないことを知った。

 ユイヤにアマルをここにいさせる方法を聞いた。でも、契約は一人一度きり。ゆえにユイヤは無理である。俺は、魔術的素質がないからか無理だそうだ。

 手詰まり。詰んだ。そして、契約が終わる日がやってきてしまった。

 このあと、彼女が外へと繋がる扉を開けると、彼女の存在を感じられなくなる。記憶にあっても、例え側にいても判らなくなる。

 でも、それが規定なのだ。世界がそう創った規定なのだ。だから、俺達小さき人間には破ることができない。そう、俺は思い込む。そうしないと、泣き出しそうだからだ。泣いてもよかった。でも、泣いたらアマルに悪い。アマルが折角出ようとしているのだ。引き止められるわけがない。

「結城さん。悲しまないでください。私は死神。いつかこういう日が来るんです。それは二年前から覚悟していました。……たった二週間でしたが、ありがとうございました」

 アマルはそう言って、黒いローブについている帽子を深く被った。もうしゃべる気はないらしい。いや、これ以上しゃべったらいけないと判断したんだろう。それは俺も一緒だった。

 アマルが扉を開ける。そして最後にこっちを振り返る。その表情は――――


「さようなら」


 そうつぶやいて、扉が閉まった。向こうにいるはずの彼女はいない。いや、いるが俺達は認識できない。

 ユイヤが小さく呟いた。

「さようなら……アマル」

「あぁ。さようなら、アマル……」

 俺も一緒に呟いた。彼女の最後の涙を思い出しながら。





 アマルがいなくなってから6日が経つ。俺は少し寂しい気持ちを何とか心の奥底に押さえつけ、いつもの日常を過ごしている。

「ユイヤ。……ユイヤっ!」

 ただ、どうやらなんだかんだで響いたのはユイヤの方であった。彼女なりに仮面を被っていたらしいが、それでも中身が変わることではなく彼女の心に深く残ったらしい。その弊害で、こうやってぼーっとしているのだ。大好きなはずの紅茶も飲もうとしない。

「ユイヤ!!」

「はっ! えっ、えっ?」

 やっと反応したか。その状態が続くうちに何とか伝えないとな。

「はぁ……。ユイヤ、予定表に書いてあるんだが、誰かを迎えに行かないといけないんじゃないか?」

「えっ、う、うん。行ってくるよ……」

 こりゃ重症だな。ついていったほうがいいか。いや、流石に大丈夫か。

 危険性を感じながらも、俺はユイヤが出て行くのをずっと見ていた。フラフラしてんなぁ~。危険だなー。でも、今更追いかけても気まずいし、いいか。

「さて、暇なもんだな」

 前まではこういう時に、アマルが来ていたら話し相手になっていてくれていた。他愛もないただの世間話。でも、なくなってからこの重さに気づいた。

 人というのは悲しいことに、無くしてしまったあとやその直後にならないと、その思い出の重さや重要性が解らない生物なのだ。愚かであるのだ。

「……コーヒーでも作るか」

 俺は寂しさを和らげるために、コーヒーに逃げるのであった。






 一時間が経過した。ユイヤが帰ってこない。遅すぎだろ。

 と、そこにピンポーンと気の抜けた音が聞こえた。そういえば、一応この事務所にインターフォンがあるんだった。利用する人がいなさすぎるんだよなー。俺も使用していないほどだから。

「はいはい」

 そして、この家の主であるはずのユイヤですら使わないほどだから、恐らくこの扉の向こうにいる人間はユイヤではないと推測できる。

「例の誰か、か」

 俺はその誰かが何者かは知らない。名前も聞かされていないのだ。ていうか、対応できるか不安なんだが。

 しかし、インターフォンは無慈悲に音を鳴らし続ける。

「へいへい。今開ける」

 俺は急いで扉を開ける。ていうか、インターフォンって連続で鳴らし続けるとただのイライラ道具だよな。便利なんだが、使いようによっては壊したくなってくるし。まぁ、壊すと壊すとで不便になるから困るが。

 そんなことを考えつつ、俺は扉を開けた。そこには――

「おぉー、やっと開いたかー。おっ、君は例の羽馬 結城君か。初めまして、僕の名前は風見鶏 ナギサ。これでも高校三年生で、君より年上だよ。あと、ユイヤ君との関係はただの情報提供などの関係だから気にはしなくていいよ。んじゃ、よろしくー」

 と、長く理解が追いつかない連続した文章をいきなり投げかけてきた。

 えぇーっと、久しぶりに脳内会議でもするか。

 1、名前を知られていた。

 2、風見鶏 ナギサと名乗った。

 3、高校三年だそうだ。

 4、ユイヤとの関係を話した。なんで?

 以上。理解。だが、困惑。

「お、おーい。フリーズは困るよー」

 風見鶏 ナギサはそんな俺を見て優しくそう言ってくる。何というか、パッと見、男だと感じるんだが、なんだか女らしくも見えるな。また、何かあって元男で今女とかありそうだな。

「おーいっ」

「すまない。前例と比較していただけだ」

 主にユイヤである。

「早速で悪いけど、上がらせてくれない? 流石に立ち話もなんだし」

「あ、あぁ……」

 まぁ、ユイヤの知り合いなら大丈夫だろう。確か、前に名言を言っていた、らしいし。

 というわけで、ナギサを事務所の中へ招き入れ、コーヒーを出す。どうやら、ナギサはコーヒーを飲めるようだな。メモッとこう。

 さて、何を話すべきか……。

「ユイヤ君は?」

「あ、えっ」

 いきなりしゃべりかけられたので言葉が詰まってしまった。

「えーと、確か一時間前ぐらいにあなたを迎えに駅前に行った筈なんですが……」

「そうか。出会ってないね。一応連絡はいれとくべきかな?」

「ユイヤはケータイを持っていませんよ」

 個人的には買ってほしいのだがな。ただでさえ連絡方法が少ないんだし。基本事務所にある黒電話(旧式。黒くて文鎮みたいなやつ。ダイヤル式。何故ある!?)しかないし。

 すると、ナギサは優しく微笑む。

「知ってるよ。ユイヤ君とは長い付き合いだ。彼女が機械音痴なのは重々承知だし」

 そうなのか!? そうかー、あいつも欠点があるんだな。

「僕が連絡しようとしているのは、この辺りの知人にだよ。ユイヤらしき人を見たら連絡をもらおうかと思ってね」

 なるほどな。そういえば、あの名言のやつって、信頼をテーマにしてあったな。やはり人望が熱いんだろうな。

 そう羨ましい半分関心半分で考えていると、ナギサはケータイをしまった。そして、ニコニコ笑顔のままこちらを見てくる。

「な、なんすか……」

 ジロジロ見られると、恥ずかしくなってくる。しかも、こんな女子と見間違えるような男(俺より年上)が見てくると、何ともいえない気持ちになってくる。

「いや。あのユイヤ君に助手が出来たとは聞いていたけど、どういう人間かなー、と観察していただけさ」

 人間観察、というやつか。あればかりは理解が出来ないんだよな。人間をそんなに見て楽しいのだろうか?

「感想は?」

 とりあえず、聞いておこうと思った。外から見たら、俺ってどう思われているのだろうか?

「八割方よかったよ。君みたいな人間は彼女に今後大きな影響を与えられる人材だ。でも、残り二割方失望かな。今の君を見ていても解るんだけど、甘い。悪いけど、今君に剣を向けると君は避けられないよ」

「……根拠は?」

「君の周りには武器になる物はない。君の刀、白朱雀もない。その懐に隠している小さい刃でも対抗は厳しい。そして決定付けは、君の考え」

 ……俺の考えか。

「言わなくても解ってるだろう?」

 あぁ。解ってる。自分のことだ。言わなくても解っている。

 そうか。確かに甘いな。心からこんなんじゃ、甘いと言われる。

 なんせ、俺は――


  ――今目の前にいる人間を、倒そうとは微塵も思っていなかったから、だ。




 警戒心が微塵もなかった。こいつがユイヤの知り合い、という理由だけで戦うことを想定できていなかった。

「まぁ、そういう甘さが彼女を変えるきっかけになる。だから、そこまで気を病むことはない。けど、忘れないように。今の君では、この先戦ってはいけないよ」

 ……少しムカついた。だから、対抗してみよう。

「あんただって、そんな余裕だとどうなんだよ」

 すると、ナギサは謎の微笑を見せた。

「確かにね。よく言われるよ。でも、少なくとも君に心配されるほど弱くない。君とは違う」

 ……ムカつく。

「是非、手合わせを願いたい」

「いいけど。なんなら表で――――」

 ナギサの声を遮るようにケータイの着信音が聞こえる。これは……アニソン?

「すまない。少し待ってくれ」

 そう言って、ナギサは少し離れたところに行った。俺は静かにコーヒーを飲む。

 あぁー。最近4チャンでやってるやつか。あれ、歌いいよなー。まぁ、アニメは見てないけど。

 数分が経った。ナギサはケータイを閉じ、神妙な表情でこちらを見てきた。

「残念なお知らせ。ユイヤ君、誘拐された感じ」

「……はっ?」

 ゆう…かい……? ユイヤ…が……?

 思考が停止したぞ。

 ユイヤが……?

「思考停止はいかがな物かと?」

「え…あっ……ん」

 思考停止するしかないと思うが。

「彼女だって、今の姿じゃ抵抗は難しいよ。“彼”のときだったらともかく、今は“彼女”だ。彼女は魔力を使えなかったら、ただの女の子さ」

 確かに。しかも、あの精神状態だ。まともに戦えるわけがない。

「……助けに行く」

「ご自由に。まぁ、僕は元々行く気だったけど」

 ……余裕の笑み。ムカつく。

 だが、今はそう言ってられないな。

 俺は刀を取りに行く。ナギサは武器を持っていないように見えるが、魔術師なんだろうか?

「場所には僕が先導しよう。何、すぐ近くさ」

 そう行って、ナギサは外で待ってる、と言って事務所の外へ出て行った。





 世間体的な意味で、未だに刀(鞘あり)を袋に入れて移動している俺は、現在ナギサを先頭に路地裏を進んでいた。

「実はね、結城君。今回ユイヤ君を誘拐した犯人は、普通の人間ではとてもじゃないが太刀打ちできない。だから、今回は助っ人にも力を借りる」

「助っ人?」

「君がよく知っている人物だ」

 俺がよく知っていて助っ人になりそうな人物……と言えば、姉さんぐらいしか思いつかないぞ。ユイヤは捕まっているし……ホホぐらいか、あとは。

「ユイヤ君から聞いたと思うけど、通常死神と契約できるのは魔術的素質がないとできない。が、その情報は嘘だ。実は、あれには一つ誤解がある」

「誤解?」

「そう。ユイヤ君が言っていたのは、有期限契約のことさ」

 そういえば、アマルとの契約では2年間だった。

「だけど、死神にはもう一つ特別な契約がある」

「特別な……契約?」

 俺は後ろで歩いているせいで、ナギサの表情を伺うことはできなかったが、少なくとも真剣な表情をしているのは判った。先ほどの余裕など感じられない。

「無期限契約。主が死ぬまで、死神に力を貸す契約だ」

 そう言って、ナギサは腰につけていたポーチから黄緑色のフレームのメガネをかけた。

「簡単に言おう。君に死神と無期限契約を結んでほしい」

 その言葉は、先ほどまでとは全く違う――詳しく言えば、別人のような低く冷たく、脅されているような錯覚に陥る声だった。






 ナギサが導いた先には、公園があった。あるものは、鉄棒と、滑り台だけだ。

 とてもシンプル。しかも、中々古い公園だと伺える。

 昼間だと言うのに、人は全くいなかった。

「ここにいるのか?」

 俺は、自分でも驚くほど緊張した声で言った。

 するとナギサは、メガネをかけながら不適に笑う。

「いるよ。今はまだ見えないだろうね。でも――」

 と、ナギサがメガネをクイッ、と優等生がしそうなメガネの整え方をすると、強烈な風が俺を襲った。砂埃が目に入りかけ思わず目をつぶる。

 ある程度弱まったところを見計らって目を開けてみると――

「しに、がみ……」

 そこには黒いボロボロのローブを着た、アマルのものより更に大きい鎌を持った青年が宙に浮いていた。髪の色は基本黒だが、所々に黄色いシャギーが入っているのが特徴的だった。ポージングとしては、空気イスをしているような感じである。

「先に紹介しておく。これが僕の無期限契約で結んだ死神、イザナ。この地区の死神長を勤めている」

「……死神のイザナだ。以後、よろしくな」

「あ、あぁ」

 なんていうか……無愛想だな。

 ていうか。死神長……って、あの死神の……長!?

「ていうか、イザナ。急でゴメンね。仕事、あったでしょ?」

「いや、ナギサ。お前の頼みならしょうがない。第一、あの死神の今後は私も気になっていた」

 と、勝手に二人で話し始めたので俺が、おい、と言うと、イザナとナギサはこちらを見て真剣な表情を向けてきた。

「さて、君には今から死神の契約を結んでもらう。契約するには死神長の許可が必要だから、イザナを呼ばせてもらった。あと、今から君のこれからの相棒を紹介する」

「名前は?」

「君がよく知っている名前さ」

 そう言ったナギサは、言葉を繋げていく。その表情は真剣そのものだ。

 俺は少しの緊張感に包まれながらも、その話を聞く。

「基本、死神は契約が切れると存在が下界で認められなくなって、その存在が一段階上がってしまう。簡単に言うと、僕ら人間がゼロとすると、死神は一となる。ゼロと一。これには大きな差がある。ゆえに、存在シフトがゼロである人間は存在シフト一になった死神を感じることが出来なくなる。だが、死神には特別に一週間猶予が与えられる。自由に下界へいてもいいと言うものだ。勿論、シフトは一だから存在は人間には感知できないけど。でも、その間だけ、死神は別の人間と契約を結ぶことが出来る。矛盾はしているけどね。でも、今回はその矛盾を使う」

 すると、ナギサは誰もいないブランコを指差し、こちらを一瞥しながらつぶやく。

「もう言わなくても解るはずだよ。名を言いな。それで君は……いや、君達は、ユイヤを救うことができる」

 全てを理解した。

 俺は、背中に背負った刀を公園のベンチに置き、ナギサが指差した誰もいないブランコへ歩く。その時、ブランコが微かに揺れた。ような気がした。

「アマル……」

 ……何を話せばいいんだ? まぁ、ユイヤが連れ去られたことは後で話すとしたら、あとは説得か。出来んのかな、俺。

 てか、話しているか判らない相手にどう話せればいいんだよ。

「えぇーとなぁ。どう話せばいいんだろうな」

 ブランコはそんな俺を見て小刻みに揺れる。うわぁ、笑われたな。

「まぁ、うん。あれだな。真面目に話すと、お前を救いたい。んで、ユイヤも救いたい。そのためには、お前の力を借りたい。俺、魔術とかそういう関係はよく解んねぇからさ。力を借りたいんだ」

 ただ純粋に、今思っていることを言う。伝えて、説得をする。いや、説得ではない。彼女はもう、解っている。解ってるはずなんだ。

「アマル、行くぞ」

 そう短く言った俺は、そのブランコへ手を差し出す。今の俺が見ても、そこには何もなく、ブランコが揺れているだけだ。だが、解る気がする。彼女が微笑んでいることが。彼女が涙を流していることが。そして彼女が、手を伸ばしたことが。



   ――――――――はい――――――――



 そう聞こえたと共に、俺の手には温もりに満ちた。





「さて、作戦概要を説明しよう」

 ナギサはそう言いながらメガネを外した。てか、なんだったんだよ、そのメガネ。

 そんな疑問を頭の中で浮かべつつも、説明に耳を傾ける。

「今回の敵は召喚術を行使する魔術師だ。死神の業界でも有名な人間でね。残念ながら、地獄行きだそうだ」

「ちょい質問だ。召喚術って、何?」

 魔術とかそこらへんの知識は皆無なので、とりあえず質問をしとくことにした。敵を知ることは、戦いのためには重要なことだ。場合によれば、それだけで死ぬからな。

 しかし、その問いはどうやらナギサの耳には聞こえてなかった(絶対聞こえてると思うがな!!)ようで、代わりに隣にいたアマルが答えてくれた。

 説明しとくが、契約をしたことでアマルは実体化している。存在も確認できるし、話すことも可能だ。契約は色々疲れたけどな……。説明したくない。

「魔術を応用して別次元や空間に存在する物質を転送することですよ。魔力を大量消費しますが、複数の物質を転送したりと中々に使えますよ」

 ようは、強敵というわけだ。まぁ、流石に地獄行きをくらっていることはある。

「さて、陣営としては、戦闘を結城君、アマルちゃんコンビで。後衛は僕たちに任せてもらおう」

「何でだ?」

 ユイヤが信頼しているほどだ。強いに決まっている。

 が、ナギサは真剣な顔でこう言った。

「今回はユイヤの心まで救ってもらいたいしね」

「はぁ?」

 あまりにキザな印象を受けるそのセリフを聞き、変な声が出てしまった。アマルがクスクスと横で笑う。あぁ、ダメージが大きい。こんな小さい子に笑われるなんて……。

「いや、変な意味ではなくてね。現在のユイヤ君はアマルを失った悲しみで意気消沈中だ。普通に救っても大きな影響はない。だから、あえてサプライズを用意しておくのさ」

 納得……していいのだろうか。いや、まぁ、うん。もうツッコまないでおこう。

 策としてはともかく、ユイヤを救うに関しては納得できた。まぁ、このためにアマルと契約した、と言っても過言ではないからな。

 しかし、不安だな。先ほどイザナから聞いた話だと、アマルは死神としては弱い方らしく、戦力的には期待できない。しかも、よりによって存在が安定したばかりだ。具現化することは、現時点では不可能らしい。

「そのための“あれ”、ですよ」

「“あれ”か……。出来るのか、俺でも?」

「“あれ”に関しては、魔力は使用しません。器となる存在があれば十分です」

 アマルは“あれ”に関して具体的に説明してくれる。

 死神と無期限契約をすることで出来る切札が存在するらしい。勿論のことだが、俺は使用したことも見たこともない。今の俺としては、どうなるか解ったもんじゃない。が、それが唯一の手でもある。

「さて、行くとしようか。“あれ”に関しては軽く説明できたようだし。流石にユイヤ君に捕まりぱなっしは酷い。救ってあげないとね」

「あぁ」

 ナギサがそう言うのに合わせ、俺は袋から刀『白朱雀』を取り出す。勿論、鞘をつけてだ。

「行くぞ」





 さて、移動し始めてから計12分。目的地に到着した。

「うわぁ……。いっぱいいるね」

「あれが召喚獣か……」

 そこには、人とも違い、獣ともとり辛い異形なる存在たちがいた。その姿を一言で表すというなら、人形。しかも、多種多様の姿をしている。人型の虎、人型のウサギ、人型のライオン……などなどだ。

「しかし、多いな。一匹ずつやるしかないのか」

 あれが魔力による物だと言うのなら、白朱雀でなら切り裂くことが可能だ。しかし、やはり量が多い。

「いや、ここは僕に任せてもらえないかな?」

 ナギサがそうつぶやいた。よく見ると不敵に笑っている。

「あの数をやるのか」

 未だにナギサの力を知らない俺は、その言葉を聞くだけでも驚いた。

 しかし、ナギサは不敵に笑いながら、

「一発だけ。僕の力を見せてあげよう」

 と言った。

 ナギサは手を伸ばし人差し指を上げ、召喚獣たちのいる場所を指差す。

「エレテル」

 と、一言だけつぶやいた瞬間、世界は一瞬真っ白になり、それと同時にその指から雷撃が走った。光の一閃が、召喚獣たちを貫いて消し飛ばす。

 そして、一本だけ道が出来た。

「行け。んで、ユイヤ君を助けてくれ」

「……了解した」

 先ほどの技が気にならないわけではないが、それでも最初の目的のため、俺はその一本道を走る。召喚獣たちが群がろうとするが、障害物のない道のおかげでそれを振り切ることに成功した。

 そして、俺は出てきた扉の奥へ入った。






「行ったね」

「行ったな」

 ナギサとイザナはそう言い合っていた。周りには再生した召喚獣たちが群がっている。

「能力を使うに値したのか?」

 イザナが問う。ナギサは、

「値はしていないよ。でも、彼に一度見せておきたかった」

 と淡々と言った。

 彼はこの状況下でも笑っていた。召喚獣たちは少しずつ彼に近づいていた。

「さて、どうしようか? 久しぶりに“あれ”、やっとく?」

「お前に任せる」

 イザナはそう言うと、姿を消した。

 ナギサは、メガネをかけた。そして、これまで以上に不敵に、人に不快感を与えるような歪んだ笑顔を浮かべた。

「さぁ、やろうか」

 彼は声を低くトーンを落とした。美しいテノールが、悪魔のようなテノールに変わる。

 その手を顔の目の前に持って行き、そして空を握りつぶした。


「キルズ……アウト」






「ふぅ……」

 召喚獣に追われるのあれほど恐怖だったのは驚いた。まぁ、元は人形だし化け物だしで怖いのは当然だが、あそこまでとは。

 しかし、ナギサが放ったあの技。何だったのだろうか? ユイヤが使う魔術には、呪文というか、そういうものを唱えないといけなかった。しかし、ナギサはそういう動作を行っていなかった。謎だ……。

「結城さん。集中してください」

 アマルの正論が耳に聞こえた。今のアマルは存在シフトを上げているらしく、俺の目からは何も見えない。しかし、契約によって声を聴くことは可能となっている。

 俺は頭から先ほどの光景を抜いておいた。いらない情報は戦闘では足枷になってしまう。

「てか、長いな」

「そうですね」

 思った以上に長い道である。あれから数分。何にも出会っていないし、何も変化はない。しかも、暗いし。

 しかし、数分歩いた後に光が見えてきた。

「さぁ、戦闘開始だな」

「なら私は準備しておきますね」

 そう言うとアマルが恐らくいる方向から、ガチャ、となんだか怖い音が聞こえた。恐らく、鎌だ。あの大鎌だ。あれを構えているということは……怖いな。

 だが、そういう感情を切り捨てて、俺も刀を構えた。まぁ、構えなどはないが。

 人間の声が聞こえる。俺と同じぐらいの少年の声だ。

「――いいでしょう、ユイヤ・オルコット。あれに関しては諦めましょう。ですが――ん?」

 やべっ、ばれたか。

「なるほど。早いですね。いや、別の仲間に任せたというべきでしょうか。まぁ、いいでしょう。こんにちは、羽馬君。君が来ることは想定済みでしたよ」

 そこには黄色い髪をした、俺と同じぐらいの少年が不敵な笑みを浮かべながら、こちらを見ていた。完全にバレている。

 服装は黒色一色の服だった。いや、布的には黒だと言えるだろう。しかし、その上に付いている柄――いや、黒色に変色しながらも、それが血であることが解る。

 いかに、この人間が地獄行きに値するかがよく解る。

「そうかい。こっちは戦わずにして終わってくれたら嬉しかったんだが……無理か」

 どちみち、交渉は苦手だと思うがな。自覚はしているよ。手を出しやすい性格であることはな。

「まぁ、そうでしょうね。彼女には利用価値がある。君には知りえないだろうけどね」

「知らねぇよ」

 実際、ユイヤが何者なのかは知らん。あいつの生い立ちを知っているわけではない。あいつの過去を詳しく知っているわけではない。

 ましてや、価値があることさえ解らん。

「だが、まぁ、俺がユイヤを助けるには関係ないよな。悪いが、やるっ!」

 話し合いは終了だ。

 俺は刀を構える。構えは無の型。

「下手な構えだね。噂どおり」

「未完成だからな。だが、お前をやるには十分だ」

 俺は無の構えから右足で踏み込み、一気に距離をつめようとした。が、

「召喚」

 敵がそうつぶやいた瞬間、あの異形の人形が現れた。

 俺は、狙いを敵から人形へと変更する。

「せいっ!」

 そして、現れた人形を横なぎ払いで斬る。

 人形は斬られた瞬間、形を成さなくなり、空気に溶けていった。

「魔術か」

 俺は魔術によって作られた人形を切り裂きながらそうつぶやいた。

 すると、敵は驚いたようにこっちを見て、

「魔力を斬る刀、かぁ。いいねー、それ。僕のコレクションに入れたいよ」

 と言葉を放った。

「召喚術師が武器をコレクションてのは、少しおかしくないか」

「いいじゃないか、男のロマンだよ、武器集めは」

 解らなくはないが、やっぱり召喚術師が剣ってのはなー。

 と思いつつ、白朱雀で人形どもを切り裂く。中々、本体へたどり着かない。

 人形が俺を囲もうとする。

「チィッ!」

 俺は右足を軸に左足を後退させながら回転し、右手に握る白朱雀で人形どもを一掃する。そして、一瞬切り開いた道を素早く走る。

「羽馬流奥義、初下段構え『卯』からの派生奥義っ!!」

 白朱雀の刃を下に敵の懐に踏み込む。そして、アッパーの如く下から刃を、

「翼翔っ!!」

 切り上げる。しかし、

「だから言っただろう? 僕は武器を集めるのが好きだって」

 失敗した。先ほどの会話を真面目に頭に入れてなかった。

 敵の手には黒い刃の小さなナイフが、俺の白朱雀の刃を受け止めていた。

「物理的干渉!?」

 白朱雀の特性、魔力を斬るという行為は実質魔力がないと話にならない。人は精神が魔力で出来ていると仮定するから、この刀は人を斬らなくてすむが、しかし魔力を持たない物質、例えば武器だったらどうだろうか。

 そう、魔力を持たない即ち、切り裂く対象がない白朱雀は精神的干渉ではなく物理的干渉を行ってしまう。数日前のトンファの時も同じことが言える。

「ほぉ……」

「ならっ!」

 俺は翼翔の勢いで浮き上がった状態から、白朱雀を素早く振り落とす。

「連結、翼圧っ!」

 体重に乗せながら放つ技なので、威力は当然の如く高い。が、

「ふん」

 召喚術師のナイフで受け止められてしまう。てか、片手で受け止めんなよ。筋力すげぇな。

 と感心しながらも、俺は一時後退して、刀を構え思考する。

(羽馬流の初段では力負けしてしまう。となると、攻撃能力が高い上段を使用するべきなんだろうが、あれ使い勝手が悪いしな……。どうするか)

 そうやって、頭の中の知識を総動員させていると、

『さて、もうそろそろ私の活躍の番でしょうか?』

 と、頭の奥底から聞こえてきたような気がした。アマルの声だ。

(これ以上やっても無駄だ。“あれ”をやるしかないな)

 俺は刀を構えながら、ゆっくりと目を閉じる。そして、左手を右肩のほうへ持っていって、

「変身ポーズ?」

 召喚術師のつぶやきも動じずに、冷静に、そして頭で闇をイメージして、

「ユイヤ」

 俺はさっきから呆然としているユイヤを呼ぶ。目を瞑っているからよく解らないが、ユイヤに聞こえていると仮定して言葉を発する。

「お前が絶望するなら勝手に絶望しておけ。アマルを失って、何も出来ないならそれでいい」

 返事はない。だが俺はそれでも、

「見とけよ」

 そう言う。ただ一言。見とけよ。見るだけはしろよ。もしかしたら、何かあるかもしんねぇーぞ。

『行きますよ』

「あぁ」

 アマルが言うのに応じ、俺はその左手を空を引き裂くように振り下ろす。

 そして、一言。


「『キルズアウト』」


 二人の言葉が重なった。





 死神という存在は、元を辿れば人間の進化系と呼べる存在であった。死してなお、その存在を保つことが出来たからである。

 しかし、進化には代償がある。彼らは同じ人間には写らぬ姿になってしまったのである。人間という0の存在から神の存在である1へと存在をシフトさせたのだった。

 神は人間の目には写らない。それと同じことだ。

 彼らは模索した。人間の世界へ干渉出来る方法を。そして見つけた。

 それは、彼らを知る人間、見ることが出来る人間に力を与えることだった。

 当初の彼らは、魂レベルまで堕ちた人間を切り裂くことにより、人間界への干渉を防いでいた。魂となった人間は、無知である人間を理不尽に殺めることをする可能性があったからだ。

 しかし、やはり全ての理不尽を消すことは出来なかった。彼らは考えた、その可能性を持つ人間を生きているうちに切り裂けないかと。そして彼らは、人間に憑依する事によって人間の世界へ干渉することが出来るようになった。

 しかし、それは人間を人間の体で殺すということになる。それは許されないことである。

 その頃、死神たちは自分達を神に近しものとして見ていた。ゆえに、人間達の上位種として、その死神化のことをこう名づけていた。



 キルズアウト。殺すことの開放。即ち、殺人の許可。と





 世界が闇に染まる。少なくとも俺はそう感じた。

 アマルの声が聞こえる。

『行きますよ。準備はよいですか』

「あぁ」

 暗闇の中、俺がそう言った瞬間、世界が開けた。

「さぁ、死神様の誕生……ってぇ!?」

 こ、声がぁ。声がぁ……高くなってる!?

(おい、アマル。どうしてこうなった!?)

『存在シフト的に私が上なんで同化する際は、私の性別が優先されたようですね』

(聞いてないぞ)

『教えてませんから』

 アマル……。しかし、そう言ってられないので、俺はとりあえず敵を見る。

 召喚術師は唖然としていた。

 いや、まぁ、俺も驚いているがな。

「何が起こったかは知らないが……。まぁ、うん」

 召喚術師は複雑そうに、しかし危険を感じたのか、その手に持っていた黒いナイフで突く構えで攻撃を仕掛けてくる。

 俺は右手に持っていた白朱雀で受け流す。

『鎌を出現させてください』

(了解した)

 俺はアマルに言われたとおりに、鎌を左手から現れた闇から取り出す。自分の背丈……まぁ、恐らく姿が変わっているから具体的には解らないが、二倍はあるであろう、長い鎌であった。

「ならっ!!」

 召喚術師は魔術を展開し、人形もどきを召喚しこちらに飛ばしてきた。

(斬るっ!)

 俺はその大きな鎌でなぎ払うかのように人形もどきを破壊する。

 しばらくはそれの繰り返しだった。

 そのとき、

「アマル……?」

 ユイヤがそうつぶやいた。俺はすかさず、

「いや、私は結城だし」

 と言った。あぁ、口調も女かよ。畜生。

 となると、早急に終わらせないとな。違和感の塊だぜ。

(アマル、一撃で終わらせることが出来る技とかあるか?)

『ありますよ。一撃で地獄に送るというチート技が』

(マジかよ)

 俺は人形もどきを大鎌で切り裂きながら、そのやり方を教えてもらう。

(やる。やつを!)

 俺は大鎌で人形もどきをなぎ払ったあと、白朱雀を投げ落とし宙にジャンプする。

「何を?」

「これで、決める!」

 左手に持っていた大鎌を両手で持ち、大きく腰をひねる。闇が、鎌に集中するように集まっていく。

「チィッ!!」

 召喚術師は何か危険を感じたのか、召喚を先ほどより多くし、こちら飛ばしてきた。

 しかし、

「もう、遅い!!」

 闇が鎌全体に纏わりついた。

 俺は、その大鎌を振り回しながら、この技の名前を叫ぶ。

「デス……エキシステストっ!!」

 前方へ大きくなぎ払った瞬間、纏わり付いていた闇がエネルギー状に放たれた。

 放たれたエネルギーは人形もどきを切り裂きながら進む。そして、

「切り裂けぇぇぇぇえええええ!!!!」

 エネルギーが人形もどきを全て破壊した。

「くぅっ!」

 しかし、腐っても召喚術師。大量の魔方陣を展開する。

 だが、

「それも、切り裂ける!!」

「なっ!?」

 現れた大量の魔方陣を全て切り裂いた。そして、

「終わりだよ、召喚術師。ユイヤは返してもらう」

 召喚術師を切り裂いた。





「ユイヤ」

 俺は召喚術師が死んでいることを確認した後、その姿のままユイヤの元へ行った。

「アマ……結城」

「明らかアマルと言ったよね? ねぇ?」

 あぁ、女口調だぁー。最悪だー。

「結城。アマルと何かしたの?」

「契約だよ。無期限契約は魔術を使わないらしい」

 魔力を使用しない。ただ、死を迎えるまで死神との縁を切ることはできない。でも、

「これでユイヤがまともに動くようになるだろ?」

 ユイヤが寂しがらずにすむようになる。まぁ、ユイヤといつまで一緒にいるかは解らないが、アマルがいると自然と繋がるだろう。

 ユイヤはアマルという仲間を求め、アマルは俺という器を求め、俺はユイヤという魔術探偵の助手をしていく。うーん、三角関係だなー。

「さぁ、帰ろう。事務所に」

「……うん」

 俺はユイヤの手を掴む。冷たかった。でも、震えていた。それが、寒さからか恐怖からか感動からかは、解らない。

 ま、後者だろうけどな。

『でしょうね』

 アマルがそう言った。

 俺は改めて、アマルに、

(じゃ、よろしくな、アマル)

 と心の中で言った。すると、アマルが、

『よろしくです!』

 と、最初に会ったころ並みの元気よさで返事をした。





「帰ったか」

「忘れられたな」

 ナギサとイザナがそうつぶやいた。数分前まで彼らの周りには人形の破片が散らばっていたが、今は魔力の元を失い綺麗に消えていた。

「さて、今後彼が彼女の罪をどう受け入れるか、楽しみだねー」

「そうか?」

「楽しみだよ。彼には可能性があるからね。どう成長するかが楽しみだよ」

 そしてナギサは最後に不敵に笑いながらこう呟いた。


「黒ノ涙。君はそれを見てどう思うかな?」


死神という設定は実は、後付設定だったりします。


初期の頃、アマルは幽霊にする予定でした

というのも、人外にしよー、という考えはあったからです


で、アマルを戦闘要員にしよう、と考え付きました

そして、流れ流れ、死神に落ち着きました

いや、落ち着く場所を間違えている気がしますがねww


あと、私の書く死神は独論に沿って書かれています

よって、少し死神とは違うと思いますが、ご了承ください



では、次回

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ