みなもテスト
??月??日 てんかつ!
目を覚ますとわたしは、ベッドで眠っていました。
体を起こして周りを見てみると、
そこは、壁も床も真っ白い、
病院の個室みたいな場所で、
四畳半くらいの部屋に、白いベッドと、
小さめの机があるのが見えました。
今は昼間らしくて、机のある壁の窓からは、
明るい日差しが差し込んでいて、
眩しくて外の様子は、良く見えません。
窓の反対側の壁に、白いドアがあって、
出入り口はそこしかありません。
あの時意識を失って、その後、
どこかの病院に運ばれたのかなぁ。
でもここ、病室にしては、
ナースコールとか、ベッドテーブルとか、
病室っぽいものが何にもない。
どっちかって言うと、病室って言うよりは、
ビジネスホテルっぽいような……
そう思いながら机を見ると、
何かあるのに気づきました。
机の上には、ネックストラップのついた、
透明のケースに入った、キャッシュカードみたいな、
グレーのカードと、クリアファイルに入った紙、
……は、ありません。
ってことは、昨日のは悪夢じゃなかったんだ。
今回は、エントリーシートの代わりに、
白い封筒が置いてあって、中には、
1枚のメッセージカードが入っていました。
そのカードには、
『下記の道順に従って、講習会会場へ移動して下さい』
と書かれていて、その下には、
道順が示してある地図が載っています。
それによると、部屋を出て左に進んで、
エレベーターに乗って、
B5501059Fで下りると、
目的地らしいです。
そういえば、昨日帰って来た時は、
もう疲れちゃってたから、考えもしなかったけど、
講習会会場もそうだけど、この部屋も地下のはずなのに、
どうして窓があるんだろう。
窓から外を見ると真っ白に光ってて、
昼間だってことは判るけど、
眩しくて何にも見えないんだよね、この窓。
うーん、考えてもよく判らないな。
まぁ、いっか。
さて、じゃあ、行ってみようかな。
この後、わたしはグレーのカードを首に提げてから、
隣の部屋に移動しましたが、
昨日はたくさんあった衣装は、ひとつもありません。
そして相変わらず、頭の上には光る輪が乗っています。
この部屋は素通りして、ドアを開けようと、
カードを手に持って、廊下に出るドアの前に立ったら、
何故かカードを当てなくても、ドアは開きました。
前の時は、この部屋の物に触ったから、
出られなくなってたんだ。
そういえば、これの返品がどうのこうのとか、
言われてたなぁ。
これって有料で、その清算をドアでしてたのか。
でもこれ、いくらなんだろう。
その辺も、今日の説明を聞けば判るんでしょう、きっと。
そう思いながら、エレベーターに乗って、
地下5501059階へと向かいました。
エレベーターが止まって、ドアが開くと、
昨日の会場よりは少ないけど、
駅前の通りくらいに、人が歩いていて、
みんな、こっちを見て変な顔をしています。
え? なに? なに?
何となく、視線が上にあるような……
あ、そうか、光る輪!
これは、この講習に来る人は、
本当なら知らないはずだから、
わたし、目立ってるんだ……
なんか、へんに注目されてて、
すごくいやだなぁ……
わたしは早足でエレベーターホールを抜けて、
廊下の入り口に移動しました。
そこからは、さっきまでいた階と同じように、
長い廊下が、ずっと向こうまで続いているけど、
ここには看板が置いてありました。
その看板には、
『カードの末尾10桁を参照して、
該当の部屋に入室してお待ち下さい』
と、書いてあります。
この階のドアは、全部開いていて、
ドアの横に張り紙があったから、一番手前の部屋を見ると、
やたらと長い数字が、上下にふたつ書いてありました。
まるで受験の会場みたいだなぁ。
わたしは自分のカードの番号を見ながら、
その範囲内の部屋を探して、廊下を進んでいくと、
自分の番号の部屋が見つかったので、中へと入りました。
部屋の中は、まるで教室のように、
ドア側を前にして、横長の机が4つ並べられていて、
奥の壁には窓が並んでいます。
ひとつの長机に、2人が座れるみたいで、
机の列は10列以上もあり、
もう半分以上の席は、人が座っています。
ここでもやっぱり、わたしの方を見た人たちは、
頭の上を見ているのが、すぐに判ってしまい、
とにかく今は、どうしようもないので、
急いで自分の番号の席に座りました。
席についても、変わらずちらちらと、
変な目で見られてはいるけど、
何かを言って来る人はいなかったので、
わたしはとにかく、早く講習が始まるのを待っていました。
この後も次々と人は増えて行き、
やがて部屋にある座席の、8割が埋まったところで、
係の人らしい、もう見慣れている、
上下白のスーツの人たちが、数人入って来て、
部屋のドアを閉めました。
で、その中のひとりの人が真ん中に立って、
こちらへ向かって、話し始めたんです。
「本日は誠にご愁傷さまでした、
そしておめでとうございます。
死者の皆さん、ようこそ天国へ。
貴方達は、自覚の有無に関わらず、
現世での生涯を終えて、その生涯での功績により、
天界へと来る事が出来た、素晴らしい方々です。
これより、貴方達迷える魂の、
これからの命題となる転生に関するルールを、
我々天使より、説明させて頂きます」
そう言うと、天使の人たちはみんな頭を下げて、
それを聞いたこちら側の人たちは、
騒然となっていました。
わたしはもう、昨日の出来事を考えると、
多分そう言うことなんだろうなと、思っていたから、
黙っていました。
そのうちに、納得出来ないという人たちが、
席を立って怒鳴り始めたのを見て、
天使の人はそれを宥めるように、
「私の今の言葉に対して 疑問や異議のある方は、
別室でお話を伺いますので、 一度退室して頂き、
係の者の指示に従って、移動をお願い致します。
私の言葉を了承された方は、
そのまま席について、しばらくお待ち下さい」
と言うと、白いスーツの人のひとりが、
部屋のドアを開けて、出て行きました。
文句を言っていた人たちは、それに続いて部屋を出て、
だいたい7割くらいが残りました。
静かになったところを見計らって、
「そろそろ講習を続行するので、締め切りますが、
宜しいでしょうか? もう居られませんね?
ここに残られた方々は、ご自身が亡くなっているのを理解し、
天に召された事を承諾したとして、再開致します。
お待たせ致しました。
ではこれより、転生活動初心者講習を始めます」
と天使の人が言ってから、説明が始まりました。
まず最初は、この場所についての話で、
この今いる場所の詳しい説明でした。
説明によると……
わたしが目を覚ました部屋や、今わたしがいる場所は、
カタコンベという所で、意味は地下墓所。
つまり、死者は地中に埋葬されているので、
死者たちの宿泊施設は、全てが地下にあり、
昨日行った屋上にあった会場が、地上になっている。
ここの正式な名前は、『第一天ヴィロン』と言い、
7つある天界の中でも最も人間界に近い場所で、
人間界で言うと、ヘルモン山の山中と山頂に該当し、
その土地が人間界からの入り口になっている。
でも今はもう、その呼び名は使われず、
地下墓所は『部屋』、山頂である地上は『会場』と呼んでいる。
会場には、様々な窓口が用意されていて、
各窓口で、必要な申請や手続きを行なう。
本来、会場とは審判の場であって、
かつては全ての死者の魂たちが集い、
裁かれる場所だった。
だが業務の合理化に伴い、システムが変わり、
天国に来れない人間は、予め判定されて、
ここに来る前に、いくつかある別の場所へ、
直接送られてしまう。
……とのことでした。
だから、天使の人は最初にあんな、
ここへ来れて良かった、みたいな挨拶をしたみたいです。
ここは第一天だとすると、あといくつあるんだろう……
天界以外の世界もあって、それはリンボ(辺獄)と、
プルガトリウム(煉獄)と、ゲヘナ(地獄)だそうです。
地獄ってのは、判るんだけど、
他のふたつは初めて聞きました。
それらは、一言で言うと、
辺獄は収容所で、煉獄が刑務所で、
地獄が処分場だそうですが、
わたしには、その違いがどうもよく判りませんでした。
この次は、この場所に存在する人たちの説明でした。
その説明によると……
ここには、大きく分けて2種類の人しかいない。
ひとつは、裁かれる魂である死者で、
もうひとつは、裁く側の天使。
正式な呼び名は、迷える魂や死者であり、
父なる神や天使に平伏すべき者達と言う考え方だったが、
これは業務改善で変わっていて、
今では極力、その様な言葉は使わずに、
ゲストとして接客するように、義務づけられている。
死者同士は、声は聞こえて姿も見えるが、
互いに触れることは出来ない。
それに肉体がないので、怪我や病気もしないし、
飢える事もなく、眠くもならず、老いる事もない。
……だそうです。
昨日は一生懸命、人込みを避けて歩いていたけど、
それって、別に気にしなくても良かったのが、
ここで初めて判りました。
死者の説明は、これで終わって、
次は天使の説明になりました。
天使の説明では……
天使にはそれぞれ階級があり、
その階級に応じた業務を行なっている。
今この講習の講師をしているのは、
能天使という階級の、エクスシアと言う天使。
白い服を着た天使以外に、黒い服の天使もいて、
それは権天使の階級の、アルケーと言う天使。
彼らは夜に部屋に戻らなかったり、
滞在費用が尽きている死者を見つけて、
ここから追放する為に、見回りをしている。
昔の天使は光っていたり、空を飛んでいたりしていたが、
業務改善で不要とされて、白い色以外は、
普通の人間のような姿に変わった。
……のだそうです。
天使って、もっときれいで神々しいイメージだったのに、
これじゃ、ぜんぜん雰囲気がありません。
能天使とか、権天使とか、初めて聞いた、
他にも種類があるのかな。
ちょっと驚いたのは、この場所には神様はいないことです。
その理由は……
死者の魂を裁く審判業務が増大し、
神の業務に支障を来した問題を解決すべく、
業務見直しや、システム改善を行ない、
神から審判業務を分割した。
故に父なる神は、居城である第七天アラボトにて、
黙示録の執筆に取り組んでいる為、この地に神は不在。
……と言うわけだそうです。
神様って、すっごい大きなお爺さんが出て来るのを、
期待していたんだけど、それは見れないようです。
仕事が増えたから、業務見直しって、
神様って、全知全能じゃなかったっけ?
こうなると、天国ってただの、
銀行とか役所みたい……
この次に、わたしたちがここですべきことについて、
説明がありました。
天使の人の説明によれば……
死者は、このヴィロンで裁かれるのだが、
それは転生の為の審査の事を指している。
死んだ人間の魂は、新たな生涯を送る為に、
次は何になるのかを決定するのが、ここにいる目的。
そうして、何度も死と転生を繰り返して、
多くの徳を集めて、天界での永住権を獲得した時、
本当の意味で、天に召される事になる。
……と、言われました。
わたしはてっきり、天国に来たらもう、
あとは幸せに暮らすだけなんだと思っていたのに、
世の中そんなに甘くはなくて、
天界に来れただけでは、そんな暮らしは出来ず、
徳というものを、たくさん集めないと、
永住権は手に入らないのだそうです。
この後、徳と業についてと、
ここでの通貨について、説明がありました。
その説明では……
徳とは、善行での得点・蓄財。
業とは、悪行での失点・負債。
過去の生涯で、どれだけ世界に貢献し、
善行を行なって来たかで、その所持額が変わり、
多くの善行を重ねた人間は、多くの徳を所持し、
逆に悪行を重ねて来た人間は、業を溜めてしまう。
この徳と業は、転生しても継承され続ける、
その個人の器量を示す唯一の尺度。
天界での全てのサービスは、この徳を換金し、
それを消費する事で利用可能となる。
通貨としての単位は『ヴィル』で、
記号は“V”に横棒を2本書き足したようなマーク。
物理的な紙幣や貨幣は存在せず、
最初に用意されていたカードに、
データとして、所持金が記録されていて、
支払も全てカードで行なう。
……だそうです。
この後に、現時点での消費額も知らされました。
・転生活動初心者講習 3000ヴィル
・転生ビザ1日分 2000ヴィル
・転生エントリーシート 500ヴィル
転生ビザと言うのは……
滞在許可証と宿泊代が合わさっているもので、
永住権を持たない使者の魂には、ここに滞在する為に必要。
本日の分に関しては、カード配布時に清算済。
翌日分からは、部屋に戻る際に、
ドアを開けた時点で、翌日分が清算される。
残高が不足していれば、ドアは開かず、
宿泊出来なくなり、同時に転生ビザが失効する。
転生申請済であれば、その後は転生処理となるが、
そうでない場合、不法滞在者として、
アルケーに捕らえられて追放される。
……とのことでした。
エントリーシートの方は、この講習中に後ほど、
使い方の説明をする時に、配布されるそうです。
この後、天使の人たちが回って、
宅配便の人が持っているような機械で、
それぞれの人の残高を、確認していました。
わたしは、『V22537』と表示されていたから、
多分、22537円、じゃなかった、
22537ヴィル持っているみたいです。
でもこれが多いのか少ないのか、さっぱり判りません。
で、この時に光る輪のことを思い出して、
これを返したいって伝えると、
「判りました、では資産額も修正します」
と言って、天使の人はしばらく機械を触った後に、
もう一度金額を見せてくれました。
今度は、『V24537』に変わっていたから、
あの光る輪は、2000ヴィルするものだったみたいです。
やっぱり、光る輪はお金を払って買ってたのが、
はっきりしたし、これで変に注目もされずにすみます。
この次は、具体的な転生の活動についての説明があって、
わたしは昨日、適当に書いて出した、
エントリーシートが配られました。
その説明によると……
表の個人の情報欄については、前回の生前の内容を記載する。
裏の転生希望を書く欄は、現在の現世を確認して、
これから先の、いつの、どこの、
何の種族になりたいのかを、具体的に記述する。
書き間違えた場合、記入内容の修正は出来ず、
もう1枚購入しなければならないので注意する。
エントリーシートを記入後、
エレベーターに乗り、屋上にある会場へ行き、
会場内にある、目的とする窓口へ、
エントリーシートを提出し、転生の試験を受ける。
選択した生物に因り、受付の窓口や試験の手順も異なるので、
詳細は、情報検索システムや、
近くにいる白服の天使に確認する事。
また、転生の活動を行なった結果、
転生先が見つからなかった場合、
転生の延期を申請する事も可能。
……なのだそうです。
もしかして、わたしはあんな適当だったから、
ふざけていると思われて、質問攻めにされたのかも……
次は、転生先についてで、
転生する対象を決めるために、今の現世のことを、
色々と調べられるのだそうで……
アポカリプス・システム(黙示録情報検索システム)
・神の記す黙示録をデータベース化した検索システム
・過去から未来に至るまでの現世の様子を調べられる
・端末は会場内の壁面や旗に開いた本の図柄の建物内に設置
・検索速度は現世の現時点から遠ざかる程遅くなる
これを利用して現状を確認し、どの地域の何の種族として、
生まれ変わるかを検討して、次の生涯を決めていく。
……だそうです。
この情報を覚えていれば、
次の人生ですごい得出来るって、思ったんですが、
転生すると、今までの記憶はない状態になってしまうから、
どれだけ未来を知ってても、転生後には生かせません。
転生の物件は家や土地と同じで、その価値に比例する、
競争率と難易度に設定されているとか。
そう言われると、昨日の面接のことも思い出して、
天国でも現実は厳しいんだと、思い知らされました。
それと、このシステムでは、
その地域にいる種族の数までしか判らなくて、
個人を特定することは出来ません。
だから、わたしの先祖や子孫を調べたりとかは、
無理なのだそうです。
次に、転生や徳に関する、色々な講習会やセミナーがあるので、
そこで学習することを勧められてから、
最後に、各種手続きでかかる費用の一覧と、
開催中のセミナーの一覧が、書いてある紙が配られました。
各種申請費用
・転生申請 1000ヴィル
・転生ビザ申請(1日) 2000ヴィル
・転生延期申請 1000ヴィル
・天使申請 1000000ヴィル
・永住権申請 100000000ヴィル
試験に受かっても、転生申請のお金がなかったら、
転生出来ないんだ。
この、永住権申請の値段って、1億!?
わたしなんて、とても天国には住めないってことだ……
どうやったら、そんなに貯まるんだろう。
各種審査費用
・転生審査(筆記)
人 5000ヴィル
動物 3000ヴィル
植物 1000ヴィル
その他 100ヴィル
・転生審査(面接)
人 12000ヴィル
動物 4000ヴィル
植物 1000ヴィル
その他 100ヴィル
・天使採用審査 100000ヴィル
・天界永住権取得審査 1000000ヴィル
人だと、転生の試験だけで15000もかかるんだ。
その他って、なんだろう、カビとか?
安いけど、それになるのは、かなりいやだなぁ。
天使の試験もけっこう高いよなぁ。
こんなに払って、スーツ着たOLみたいな天使になれても、
あんまり嬉しくないかも。
それにしても、永住権は審査を受けるだけでも、
100万もするんだ。
本当に天国に住んでる人っているの?
各種講習・セミナー受講料
・転生活動初心者講習 3000ヴィル
・転生進路相談会 4000ヴィル
・転生適性診断 5000ヴィル
・前歴更生改善セミナー 6000ヴィル
・転生ステップアップセミナー 7000ヴィル
・資産運用セミナー 8000ヴィル
人生死ぬまで勉強だって、誰かが言ってた気がするけど、
まさか、死んじゃった後も、勉強しなきゃいけないなんて。
でも、昨日みたいな目に遭いたくないから、
よく考えないといけないかなぁ。
各種購入費用
・エントリーシート購入(1枚) 500ヴィル
・天債購入申請(1口) 10000ヴィル
天債ってのは、天国の国債みたいなものらしくって、
買うと利息がつくのだとか。
そんなのもあるんだなぁ。
各種使用料
・アポカリプス使用料(30分) 100ヴィル
とりあえず、現世のことは調べなくちゃいけないよなぁ。
この機械は、簡単に使えればいいんだけど、
どうなんだろう……
各種衣装料金
・天使の輪 1000ヴィル
・天使の翼 1000ヴィル
・天使の衣 1000ヴィル
・光輪能力 2000ヴィル
・浮遊能力 3000ヴィル
この中の光輪能力が、わたしがつけてたやつだ!
最後の浮遊能力ってのは、空を飛べるんだったら、
ちょっと欲しいかも……
その他購入料金
・生命の樹の果実 1000000ヴィル
・知恵の樹の果実 1000000ヴィル
・マナ 500ヴィル
これに関しては、天使の人から説明があって、
これは全部食べ物ですが、死者は飢えることがないので、
食べなければいけないものではなく、
いわゆる、名産品のようなものだそうで……
知恵の樹の果実は、食べると善悪の知識を得られ、
命の樹の果実は、食べれば永遠の命を得る。
マナは、神が飢える人々へと与えた非常食。
2つの果実の効果は死者に関係ないが、
味覚はあるので、これらを味わい堪能することは可能。
……とのことでした。
この果実、エデンの園に生えている、
アダムとイヴが食べたって言う果物だよね。
これって、買えれば食べられるんだ!
どんな味なんだろう、食べてみたい、けど。
でも、100万って、絶対に買えない値段だ。
マナなら、買えるかも知れないから、
お金に余裕があれば、買ってみようかな。
でも、マナって何?
こうして、転生活動初心者講習は終わり、
窓の外を見ると、もう夕方になっていました。
講習は長かったけど、半日かかった気はしなかったな。
でも、丸1日講習を受けてたのか……
この日はそのまま、また目を覚ました部屋へと戻りました。
部屋の窓を見ると、もう薄暗くなっていて、
もうすぐ夜になろうとしています。
部屋には照明はないから、日が落ちると真っ暗になってしまい、
何も出来ないから、結局眠るしかないみたいです。
とりあえず、これからどうするかは、
明日起きてから考えることにして、2日目は終わりました。
ベッドに入って、今日のことを思い出しても、
どうしても現実感がないなって、思ってしまいます。
こんなに天国って、夢も希望もない場所なの?
ここまで全部、悪い夢でした、
なんて、オチはないよね、多分。
きっとまた、ここで目が覚めるんだろうなぁ。
などと考えているうちに、いつの間にか眠ってしまい、
そして再び、わたしは目覚めました。