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邪魔なテーブル

作者: kiki

 ねえ、知っとる?うちがどれだけあんたのことが好きか。




「お邪魔しまぁす」

 がちゃりと幼馴染の部屋のドアを開けると、嗅ぎ慣れた匂いが鼻に届く。

 活発なアイツらしく、晴れた日のお日様の匂いと微かにアイツ自身の匂い。


「お~そこ座ってろ、今飲みもん持ってくるわ」

 虎太郎コタロウはそううて、乱暴にかばんを部屋の中に放り投げて一階に降りてった。

うちはそれを見届け、いつも通り部屋の真ん中に置いてあるテーブルの傍の座椅子に、鞄を脇に置いてからどすん!と勢いよく座る。

「ん~、つかれたわぁ」

 そのまま足を投げ出して伸びを一つ。あ、今背中が鳴った。

 

日曜日の今日は、朝から野球部の練習試合やった。やもんで、マネージャーのうちは朝から準備やらなんやらで忙しかった。

働き詰めで後片付けも終えて、部員みんなでマクドで昼ごはん食べた後解散。

んで、うちは幼馴染で同じ野球部の部員でもある虎太郎コタロウのお家に、前から約束してた映画のDVD見に来たとこ。

 うのは建前でぇ。

 二人きりになりたくってわざわざDVD(内緒で)レンタルして押しかけて来た!


「お~わりぃ、茶ぁぐらいしかなかったわ」

 がちゃりと部屋の扉を開けて虎太郎がお盆に麦茶の入ったグラスを持って入ってくる。

 短くつんつん立った髪は虎太郎のトレードマーク。

すたすたとうちの前を横切ってテーブルにお盆を置く。

「あんがと~。ええよ。」

 うちは慌てて投げ出した足を戻して制服のスカートの裾を直した。

ヤバイヤバイ、気ぃ抜きすぎでパンツ見えそうやったわ。

 うちは麦茶の入ったコップを、ひとつは自分、ひとつは同じくもう一つの座椅子に座った虎太郎の前に置いて、傍らに置いた学生鞄からさっきうたお菓子をごそごそと探った。

これ、楽しみにしててん。食後のおやつは美味しいやんな。

「お、ぽてち」

「うん、ビデオ見るなら外せんやろ。あとこれ、ポッキーもあるで」

 両方ともパーティ開きにすると、ひょいっと虎太郎がぽてちを摘んだ。

「うめぇ」

 意志の強さを表すような太い眉尻が下がる。

ぽてちは虎太郎の大好物なん知ってたからうてきたんやけど、喜んでもろたみたいでうちも嬉しい。うちも口元を緩めてポッキーを摘んだ。

「さっそく見るかぁ」

 虎太郎がぽてちを唇で挟みながら、うちが持ってきた某レンタルチェーンの袋を開ける。

 ふっふっふ。

 借りて来たDVDが2つ。ということで、うちの作戦は二つや。

「え~と、お、これ話題になってたやつやん」

「うん、それ見てみたかってん」

 虎太郎が持ってるのは前に『全米を震撼させた』と言う煽り文句で話題になってたホラーもの。クラスの友達に聞いたらすごく怖かったってリサーチ済み。

 これで定番のあの「こわぁい」「大丈夫俺がいるよ」あははうふふの世界が繰り広げられるはずや!

「んじゃ見てみっか」

 虎太郎が早速カバーを開けて、部屋に出し放しにしているプレイステーションにDVDをセットしてテレビをつけた。よおっしゃあ、いっ! 

 と意気込のんで、うちは画面に見入ってタイミングを計る体勢に入った。



 

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

 二人して、じっと黙って映画を見てるわけなんやけど。

 なんやろう。

 ぜんぜん、ぜんぜん、

 ・・・・こわないぃ!!

 え?なんで?だって、しおりちゃん言ってたやんな?

彼氏と見に行って、怖すぎて泣いたって。

 確かに血がどばっとかどぴゅっとか出とるけど、・・・怖ない。

 いやいやもしかして、これは普通は女の子怖いんちゃうか?!

きっとそうや。次!次血が出るシーンで攻めたるで!

 私はぐっと拳を握りしめて覚悟を決めた。

 次怖い(だろう)シーンがでたら、で、出たら・・・!

 虎太郎に抱きつくねん・・・!

 うわあ、心臓の音が早くなって来た。

 おおお?画面では、調度主人公達が殺人鬼に追い詰められるシーンになってる。

チャンス!

 どきどき、どきどき、心臓の音がやたらと頭に響き、指先も冷たくなって、緊張してるのがわかる。

 ・・・あっ!脇役の人が殺られる!今や~!


「きゃぁあ~!怖いぃ」

 がばっ。と。うちは虎太郎に勇気を出して抱きついた―――――予定では。

 現実には、

「・・・何やっとるねん?」

 訝しげな虎太郎の視線が痛い・・・!

 アホなうちは、間にテーブルがあるのをすっかり忘れてた。

 おかげで思い切りテーブルに体当たりして、伸ばした手が間抜けに悶絶する羽目になってしもうた。

 アホ過ぎる・・・!それに痛いぃ。コップとかは脇に避けてたおかげで、中身は零れんで良かったけども。


「ちょ、っと・・・こわくって」

 それでも何とか立ち直って、うるうると(痛みで)潤んだ目で虎太郎を見つめると、一瞬怯んだ後で何故か赤くなって虎太郎は、

「こわい?小さいときからお化け屋敷のお化け役泣かせで有名なお前が?!クラブ中俺達オレラが怪我して血ぃ出ててもケラケラ笑いながら容赦なく消毒液どばっとかけるお前が?!」 

 何の罠やねん、と叫ばれてうちは思わずぶんむくれる。

「罠て!うちかて女やねんから、怖いことかてあるわ!」

「つったかて、お前ホラー全般怖がったとこ見たとこないやんか。これ、そんな怖いかぁ?」

「あほぉ!もうええわ、大人しいDVD見とき!」

「なんやお前が言い出したんやろが・・・」

 ぶつぶつ言いながらも虎太郎は映画に視線をもどした。

 うちはその前でううぅ、と項垂れた。

 阿呆はうちやぁ・・・。



「さて次行くでぇ~」

 DVDが終わり、うちは意気揚々と次のDVDを掲げた。

 そうや、落ち込んでる場合やない!こんなこともあろうかと、もう一つ予備の作戦があるんや。

 次の手で、虎太郎といい雰囲気になるねん!

「恋愛ものかぁ~・・・」

 またもや戦に赴く武士のような気持ちで、次のDVDをセットしていたうちは気づかなかった。

 急にトーンダウンした、虎太郎の様子に・・・

 今度はさっきの二の舞にならないように、セットした後さり気無く虎太郎の隣に移動する。

「どうしたん?」

「ちょっと疲れたから、ここにもたれたいねん」

 狭い部屋だから、虎太郎側のテーブルのすぐ横にはベットがある。

 うちは疲れて寝そべりたくなったら、よくこっち側に移動するから虎太郎も違和感を感じなかったみたい。実は下心ありありなんやけどね。

 あ、映画が始まった。

 いざ、参るでぇ~!




「・・・・・・」

 ああ、またまたうちのアホぉ。

 うちは作戦を間違ったことを悟った。なぜなら。

 うちの隣では、すぅ、すぅ、と安らかな寝息を立てている虎太郎がいた・・・。

 

 そうや、うちはアホや。何年こいつと幼馴染やっとんねん。

 こいつが近所に引っ越してきた4歳の頃からの付き合いやから、かれこれ13年か?

 知っとるやろ。こいつがとんでもない野球バカ一筋で、頭も筋肉で、見る映画・好きな映画はアクションもの。そんでもって、苦手な映画がラブ・ストーリーやっていうことを・・・!

 あかん。うち、DVD借りるとき、妄想だけ先走りすぎて、使えんものばっかり借りてきてしもうたわ・・・。

 ホラー映画→怖いシーン→抱きつく→いい雰囲気になる→告白

 ラブストーリー→恋人たちいちゃいちゃ→うちらもいい雰囲気になる→告白

 ―――――の予定やってん・・・

 我に返ったら、アホの子以外なんでもないわ・・・恥ずかしいわぁ・・・


 またまた項垂れるわたしの肩に、とさり、と重力がかかった。

 見るまでもない。虎太郎が座椅子にもたれかかったままベットに乗せていた頭が倒れてきたんや。

 うわっとぉ・・・!

 うちは硬直した。ちくちくと、虎太郎の短髪が首筋を触って痛痒い。

 安らかな寝息が、わたしの鎖骨あたりにかかってる。

 

 近い・・・!

 

 思わぬ副産物にうちは顔が真っ赤になるのがわかった。

 だって、いくら幼馴染とはいえこの距離は近いやろ。胸がドキドキしてくるわ。

 そおっと視線を下げてみると、いつも人をまっすぐ見つめる二重の瞳が閉じてあるのを確認できた。

 ああ・・・!グッジョブうち!よくぞこの映画を選んだ。

 思わずガッツポーズを虎太郎がもたれていないほうの左手で作った。

 もう映画そっちのけで、近くにある虎太郎の顔を見てしまう。

 

 どちらかと言うと虎太郎は男顔で、頬骨とかもしっかりしている。

 背は今は座ってるからわからないけど、そんなに高くない。

 うちが158cmくらいなんやけど、10センチくらいしか変わらない。170cmあるかないかくらい(本人の申告ではぎりぎりあるらしい)。 

 性格は裏表なく、体育会系の性格で、男女ともに万遍なく好かれてると思う。

 うちと虎太郎はさっきも言ったとおり、4歳の頃からかれこれ13年もの付き合いになる。今高校二年生なんやけど、同じ学校、同じ部活や。クラスは違うけどな。

 

 偶然?そんなわけない。うちが虎太郎を追って、高校と部活を同じのにしたんや。

 理由はさっきから言ってる通り。うちが虎太郎のことを好きやから。

 虎太郎は気づいてないけどな。

 

 男女の幼馴染って、思春期になったらだいたい離れていってまうけど、うちらはそんなことない。

 お互い名前で呼び合うし、そのことでからかわれたりもしたけど、それで呼び方を変えたり離れたりすることもなかった。

 それは・・・虎太郎の強さのおかげ、や。

 そりゃあ、うちらからかわれた。「付きあっとるんちゃうか」って。

 虎太郎もどちらかというと目立つ性格しとるから余計な。

 でも、アイツは毅然としとった。「理香子が大事なんは本当や。文句あるか」って。

 なんのテラいもなく、クラスメイトの男の子にからかわれて泣きそうになってたうちを庇って、まっすぐそう言った。

 その時うちは、幼馴染がすごいカッコいいことに気づいたんや。

 容姿やない。どちらかというと、虎太郎はぱっとせん方や。

 というか、いかつい。

 でも、心根はまっすぐで、一本木。自分を貫き通す心を持った人や。

 長い付き合いやから知ってはいたけど、その時うちは虎太郎が別人みたいに格好良く見えたんや。

 それで思った。虎太郎の彼女になりたいって。


 うちはその時のことを思い出して「ふふっ」と笑い、つん、と虎太郎の鼻を軽くつついた。

 虎太郎はちょっと呻いただけで、よく眠ってるのか起きる気配はない。

 疲れたんやろうなぁ。言うてもレギュラーで練習試合とはいえ試合に出た後やし。

 その上映画一本見た後でさらに苦手な恋愛映画や、思わず寝てしもうてもそりゃしょうがないわ。

 目が覚めないことを良いことに、そっと頬を撫でてみた。

 男らしい頬骨、顔のラインに沿って・・・唇まで。

 唇をそっと撫でると、なんだか胸がきゅん、とした。

 ああ、うち虎太郎のこと好きだなあって素直な気持が溢れてきて、すごく幸せな気分でいっぱいになった。

 そっと髪も撫でて・・・。虎太郎の吐息がすごく気持よさそうで・・・

 いつの間にか、気がついたらうちも眠ってしまっていた。


             ※      ※     ※



「理香子。おい、理香子ってば」

 ゆらゆら、体が揺さぶられる。なんや、顔にごつごつした温かいものが当たってちょっと痛いなぁ。

「う~・・・ん」

 うち、まだ眠いねん・・・それになんか、ぬくくって、気持ちいい・・・

「おい、起きぃ、映画終わったで」

 ふうというため息が、近くで顔にかかった。

 よく知ってる、この声・・・

「うぁっ?!」

 寝ぼけ眼で声の方を見上げたうちは、至近距離にあった虎太郎の顔に驚いて跳ね起きた。

「起きたか」

 虎太郎はコキコキと肩を鳴らしてる。

 なんとうちはあのまま寝てしもうて、そのまま虎太郎にもたれていったらしい。寝る前とは逆に、うちが虎太郎の鎖骨らへんに頭をのせて寝てしもうてた・・・どうやら痛かったのは鎖骨の感触やったらしい。

  あわあわとしているうちの顔を見て、虎太郎がぷっと笑った。

「よだれのあと」

「!!!」

 恥ずい、恥ずすぎるでうち!慌てて口元を拭う。

「あ~、二人とも寝てしもうて、見んまま終わったか」

 虎太郎が再生を止めて黒い画面を映し出してるTVを見て苦笑した。

「どないする?もっぺん見るか?」

「あ~・・・ええわ。虎太郎苦手やったやろ?うち忘れてて・・・ごめんな」

 謝ると、虎太郎がきょとんとしてそれから「ばれてたか」とまた苦笑い。

 さて、じゃあどうしよか。

 窓の外はうっすらと赤みがかってきてる。結構二人で長い時間寝てたみたいやな。

 DVDを見るっていう目的は果たしたし、帰るべきなんやろうけど。

 ・・・まだ帰りたくないな。もうちょっと一緒にいたいなぁ。

 なんて名残惜しくちらりと虎太郎の方を見ると、虎太郎は立ち上がって扉の横に投げ捨てていた自分の鞄を取りに行った。何やらごそごそとしてる。

「・・・もう一本、見るか?まだもうちょい時間あるし」

「あ・・・」

 虎太郎が取り出したのは、うちが「見てみたいなぁ」と思っていた映画のDVDやった。

 借りようかと迷ったんやけど、この日の目的のために見送ったやつ。

「うん、見る!」

 映画も嬉しかったけど、単純に一緒に居る時間が増えるのが嬉しくってうちは満面の笑顔になって頷いた。






 ぐしゅっ、ぐしゅっ。

 虎太郎の狭い部屋に、うちの鼻を啜る音が響く。

 うちはまたテーブルの座椅子の定位置に座って、ティッシュ箱を抱え込んで、すっかり画面に見入ってる。

 映画の内容は、主人公がある日がんの宣告をされ―――余命1年と言われて。奥さんと一緒に残された命を精一杯生き抜くというヒューマン・ドラマなんやけど。

 あかん、涙が止まれへん・・・!

 映画がクライマックスになるにつれて、どんどんうちの涙の量が増えてくる。生まれてくるわが子のために、自分の姿をビデオに収める主人公の姿に、ついには「ふぃぃっく」としゃくりあげてしまった。

 駄目や、涙腺壊れたわ・・・。

 映画が終わってもしばらくぐしぐしとやってると、ふいに気配を感じた。

くしゃくしゃと、髪の毛を掻き回されて顔を上げると、虎太郎が右腕を伸ばしてうちをみて笑っていた。

「顔ぐちゃぐちゃやぞ」

「・・・うるさいわ」

すんと鼻を鳴らして、ティッシュペーパーで涙を拭う。

そのまま虎太郎の存在も忘れて、またしばらく映画の余韻に浸ってぼんやりとする。

うち、ほんまに感動した映画を見た後、こうやって思い返すのが癖なんやよね。

 だって、ちょっとでも長くその世界に入りこんでたいねん。

 映画館行った時、エンドロールをぼんやり眺めるのとかすごい好き。

くしゃり。

そんなうちを引き戻したのは、まだ頭の上に置かれた虎太郎の手だった。

 優しい手付きに瞳を向けると、虎太郎が手付きと同じですごい優しい顔をしてうちを見ていた。

どきん、と心臓が大きく音を立てる。

 びっくりした拍子に、まだ目尻に溜まってた雫がポロ・・・っと頬を伝っていくのがわかった。

 それを見ていた虎太郎は瞳を細めて・・・うちは、頭の上に置かれた手が後ろに回り、ぐ、と力が篭るのがわかった。

・・・えっ?!

 うちの呼吸が止まった。

 あれ?なんや顔近づいてきてへん?気のせい?

がちゃん、と脇に避けたコップがうちの腕に当たったのに気づいたけど、それどころやない。

 え?何?なんなん?これ一体どういう状況なん?

 どくん、どくん、と心臓の音が大きく鳴ってる。虎太郎はうちから視線を外さず、更に力を籠め・・・、 


「いたたたたっ」

 がしゃん、がしゃんっ。

 

 うちの悲鳴と、机の上に乗っていたコップたちが遂に床に落ちた賑やかな音が部屋に響いた。

 体をテーブル越しに引っ張られて無理な体勢になったため、うちの体でコップ達が倒れてしまったみたいや。


「あっ、零れてる!!」

 少量とはいえまだお茶が入ってたから絨毯に液体が広がってる。 

 慌ててうちはさっきまで抱えていたティッシュを数枚とって絨毯に押し付けた。

 床に落ちたコップ達も救出する。うう・・・、染みにならんかなぁ。 

 しばらくその作業を続け、うちは虎太郎の方を向いた。

「大分取れたけど、もしかしたら染みになるかも知れんわ・・・虎太郎?」

 いつもなら後片付けとか手伝ってくれる虎太郎が、何故だかテーブルの向こうで頭を抱えていた。

 その様子に心配になって、テーブルから身を乗り出して顔を覗き込む。

「お~い、虎太郎、・・・大丈夫?」

「うおぁ?!」

 すごい勢いで虎太郎が後ろにひっくり返る。

 運がいいことに後ろはベットだったので、ベットに頭を打ち付けたみたいや。

「・・・何やってんのん」

 呆れながらも様子を見ようとまた近づこうとして――――「まてっ!」という激しく動揺した様子の虎太郎の静止に合った。

「あー、お、俺、トイレ行ってくるわ!」

顔を真っ赤にした虎太郎が突然すっくと立ち上がり、急いで部屋を出て行く。

「あー・・・、行ってらっしゃい?」

うちの返事が届くかどうかというタイミングでドアがばたん!と大きな音をたてて閉まった。

なんや、変なやつ。

首を傾げながら、さっきのことがフラッシュバックしてうちは顔が赤くなった。

あれ?気のせいかな。なんか、顔が近づいていってた気がすんねんけど。あのまま行ってたら・・・

ごんっ。思い出してうちは恥ずかしくなってテーブルに頭を打ち付けた。

いやいやないない。あの虎太郎に限ってそんなことは有り得へんから!

そんなことよりも、次!次の作戦考えるんや。虎太郎の彼女になるための!

 ―――――早くも次の作戦を考え始めたうちは知らなかった。




 頭を冷やすため階下に向かった虎太郎が、


「・・・あの顔はやばいやろ・・反則や・・・」


 そんなことを呟いていたなんて。







  なあ、知っとる?うちがどんなけあんたのこと好きか。

いかつい顔して案外照れ屋なとこ好き。一本気なとこ好き。まっすぐうちを見るその目が好き。好きなところいっぱいや。

いつか虎太郎もうちのこと好きになってな?



さてさて、次のリベンジ戦の行方はいかに?


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― 新着の感想 ―
[一言] うわわっ!可愛い! 可愛いやら照れくさいやら。 いいですね、幼馴染の言い出せない感じ。
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