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「で、何だっけ………?」
そうそう、おっぱいとは何か考えてたんだっけ。
「やっぱ、女性の象徴ってのが基本だよなぁ…」
換言すれば、男性の象徴では無いということだ。(最近では、そうとも言い切れないけれど…)
なのに…そのハズなのに…
「なんで、君は男の俺にくっついてるのかな?」
軽く手を添えると“知らないよ”とでも伝えたいのか、おっぱいがかすかに揺れた。
手の平に余るボリューム。
硬く、そして柔らかな触感。
先端はワイシャツの布地を押し上げ、かすかながらにその存在を主張していた。
思わず喉がごくりとなる。
「ん…?」
そこで、ふと思う。
“ない”ものが“ある”ということは、“ある”ものが“ない”のではないか、と。
先程とは違う意味で喉がごくりとなった。
怖い。物凄く怖い。確かめるのが。
あって当たり前のモノが無かったら…
だがしかし、いずれは見ざる終えない部分だ。
「…いつかはトイレに行きたくなるだろ?…」
そう自分に言いきかせて、恐る恐るスラックスのジッパー部分に手を伸ばす。
そこに息子さんがいることを祈りながら…。