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果物とスパイシーな何かによる朝食を食べ終えたイケメンと俺は、人気もまばらなバザールの中を歩いていた。イケメンが言うことには、もうしばらくすると賑やかになるらしい。
「バザールを抜けた歓楽街に俺の知り合いがいるんだぁ。そこ人手が足りないみたいだからさ、君を紹介してあげるよ」
「歓楽街…ってことは接客業ですか?」
「うん、そうなるね」
生まれてこのかた仕事らしい仕事をしたことが無い俺は、かなり緊張していた。ドキドキという音が今にもバザールに響きそうなぐらいだ。そんな俺の緊張を察したのか、イケメンは大丈夫だよと口にした。
「そのお店の主人…女主人なんだけど、厳しいだけじゃなくて情にあついから、何も心配することないよ。きっと親身になってくれるから」
だから安心して、というイケメンはいつにもましてイケメンだった。俺が女だったら間違いなく惚れてるね。って今は俺、女か。
「ありがとうございます。紹介に恥じないよう、頑張ります!!」
雇って貰えたならイケメンの恩を無駄にしないよう精一杯働こうと、俺は人知れず誓った。