今年の桜は寂しい桜
桜、夢、中学校。
先輩と、私。
「桜ですね、先輩」
「そうだね。
綺麗で、だから、儚い。
本当に、桜は」
「はい」
桜を、私と、先輩は眺めている。
中学1年生の私と、中学2年生の先輩。
「やっと、キミも中学生になった」
「はい」
「これからも、よろしくね」
「はいっ」
これが、私の夢。
私と先輩は、両方女子。
でも、恋愛とも、友情とも言える関係があり。
中学生になったら、中学生になった私は、一足先に中学生になった先輩と一緒に、桜を眺める。
叶えたい夢。
小学6年生の1年間は、全く楽しくなかった。
本当に、全然楽しくなかった。
だって、唯一の友人兼彼女が、いなかったから。
あの人としか仲良くできない私は、本当に1人ぼっちで、毎日昼休みは教室で本を読んでいた。
中学受験はしなかった。
だから、毎日が退屈で、彩りがなかった。
起きて、1人で登校して、授業中はただ写すだけ、給食は黙々と口に入れ、昼休みは1人で本を読み…。
でも、来年、中学生になったら先輩と一緒に桜を眺める。
その約束のためならと、なんとか1年間を耐え抜いた。
そして、やっときた、中学生。
「寂しいなあ…」
桜を眺めながら、私は1人、呟く。
『なんで先輩なのに馴れ馴れしくするの?』
『先輩には敬語をつかえ』
『後輩なんだから私たちには馴れ馴れしく近付かないで』
期待していた、私の大切な夢だった、なのに。
「産まれた順番が少し早いだけで偉そうに、上下関係なんて立派なものを作って」
愚痴る。1人で。
先輩の、申し訳なさそうに私を見る目。
周りの人たちは、偉そうに上下関係を強要してくる。
今年の桜は、なんだか寂しそうに見える。
ありがとうございました。




