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今年の桜は寂しい桜

作者: カヲリ納豆
掲載日:2026/03/16

桜、夢、中学校。


先輩と、私。

「桜ですね、先輩」

「そうだね。

綺麗で、だから、儚い。

本当に、桜は」

「はい」


桜を、私と、先輩は眺めている。

中学1年生の私と、中学2年生の先輩。


「やっと、キミも中学生になった」

「はい」

「これからも、よろしくね」

「はいっ」


これが、私の夢。

私と先輩は、両方女子。

でも、恋愛とも、友情とも言える関係があり。


中学生になったら、中学生になった私は、一足先に中学生になった先輩と一緒に、桜を眺める。


叶えたい夢。




小学6年生の1年間は、全く楽しくなかった。

本当に、全然楽しくなかった。

だって、唯一の友人兼彼女が、いなかったから。


あの人としか仲良くできない私は、本当に1人ぼっちで、毎日昼休みは教室で本を読んでいた。


中学受験はしなかった。

だから、毎日が退屈で、彩りがなかった。


起きて、1人で登校して、授業中はただ写すだけ、給食は黙々と口に入れ、昼休みは1人で本を読み…。


でも、来年、中学生になったら先輩と一緒に桜を眺める。

その約束のためならと、なんとか1年間を耐え抜いた。


そして、やっときた、中学生。




「寂しいなあ…」

桜を眺めながら、私は1人、呟く。


『なんで先輩なのに馴れ馴れしくするの?』

『先輩には敬語をつかえ』

『後輩なんだから私たちには馴れ馴れしく近付かないで』


期待していた、私の大切な夢だった、なのに。


「産まれた順番が少し早いだけで偉そうに、上下関係なんて立派なものを作って」

愚痴る。1人で。


先輩の、申し訳なさそうに私を見る目。

周りの人たちは、偉そうに上下関係を強要してくる。


今年の桜は、なんだか寂しそうに見える。

ありがとうございました。

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