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ライフコース  作者: 只野 唯
退職編
30/38

光の中で立ち尽くす

会社を退職してから、胸の奥に張りついていた圧迫感は、すっと消えた。

追い立てられるような感覚。

「いつ戻れるのか」「いつ決めるのか」と問われ続ける時間。

それが、なくなった。

解放、なのだと思う。

だからか分からないけれど、夜に薬を飲むと、きちんと眠れるようになった。

以前は、眠れたり眠れなかったりを繰り返していた。夜中に何度も目が覚めて、天井を見つめていた。

今は、夜に眠り、朝に目が覚める。

生活は、少しずつ整ってきている。

それなのに。

朝、目を開けた瞬間に浮かぶ。

これから、どうすればいいんだろう。

会社はない。肩書きもない。復職の期限もない。

自由。

でも、空白。

何も思いつかない。

考えようとすると、思考が同じ場所をぐるぐる回る。

仕事は?

次は何を?

働けるの?

働けないなら?

お金は?

将来は?

答えが出ない問いが、頭の中で渦を巻く。

布団の中でしばらく固まる。

そのとき、主治医の言葉を思い出す。

「まずは、陽の光を浴びてください」

そんなことで、と思った。

でも今は、藁にもすがる気持ちで、カーディガンを羽織る。

窓に近づき、カーテンを少し開ける。

眩しい。

思わず目を細める。

いや、細めるどころか、開けていられない。

光が強すぎて、目の前が白くなる。

見えない。

それでも、そこに立つ。

光は痛いくらいなのに、どこか現実的だ。

私はまだ、生きている。

仕事がなくても、予定がなくても、

朝は来て、光は差し込む。

これからどうすればいいのかは、まだ分からない。

でも今は。

目が開かなくても、

ただ、光の前に立っている。

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