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早く大人になりたかった(過去)
子どものころから、心に波があった。
理由はわからない。
朝は平気だったのに、昼には急に世界が遠くなる。
さっきまで笑っていたのに、夜になると布団の中で泣いている。
波は、予告もなくやってきた。
私はそれを、恥ずかしいことだと思っていた。
みんなはもっと安定しているはず。
みんなはもっと、ちゃんとしているはず。
だから早くオトナになりたかった。
オトナになれば、
感情をうまくコントロールできて、
泣く理由も整理できて、
落ち込む時間も短くなると思っていた。
オトナは、穏やかで、静かで、
強い生き物だと思っていた。
でも実際にオトナになってみたら、
波は消えなかった。
むしろ、形を変えて大きくなった。
仕事の評価。
人間関係。
将来への不安。
「ちゃんとしなきゃ」が増えただけで、
心の揺れはそのままだった。




