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ライフコース  作者: 只野 唯
退職編
22/39

一寸先は闇

私は一か月の休職のあと、一か月、また一か月と、期間を延ばしていた。

診断書を書いてもらい、会社に送り、承認の連絡を受け取る。

その繰り返し。

会社の制度上は、最長三年まで延ばせるらしい。

その間、定期的なヒアリング面談が必要になるらしい。新人研修でもらった分厚い資料の中に、小さな文字で書いてあったのを、ぼんやり覚えている。

「休職期間は最長三年」

あのときは、遠い話だった。

自分が使う制度だなんて、思いもしなかった。

三年。

数字にすると長い。

でも、今の私には、途方もなく短くも感じる。

三年休んで、何になるんだろう。

三年後、私はどうしている?

三年後、三十代半ば。

社会に放り出されて、生きていけると思えなかった。

履歴書の空白。

ブランク。

「何をしていましたか」と聞かれて、言葉に詰まる自分。

未来を想像しようとすると、視界が急に暗くなる。

そして、ふっと浮かぶ。

死。

その文字が、静かに、しかし鮮明に、頭をよぎる。

楽になる方法のように。

終わらせる選択肢のように。

でも、それはきっと、病気の声だ。

先生が言っていた。

「調子が悪いときは、思考が極端になります」

ゼロか百か。

成功か失敗か。

復職か退職か。

生きるか死ぬか。

間が、消える。

本当は、そのあいだに、無数の選択肢があるはずなのに。

今は考えない。

三年後のことは、今の私には重すぎる。

とにかく、休まないと。

それだけを繰り返す。

布団に横になり、天井を見つめる。

未来を考えると、崖の縁に立っている気分になる。

だから、見ない。

今日は、今日だけ。

三年後ではなく、三時間後。

私は生き延びることだけに集中する。

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