2.スポットライトのその先へ
佐沼の講演は若さもビジュアルもあってか大好評だった。
大人の目線からすると、生徒の注意を引くイラストが沢山載ったスライドも、佐沼の操る言葉の数々も、どれも素晴らしかったと思う。
佐沼は、講演会の中でこう言っていた。
「俺と同じように、文章を書くことや読むことが好きで、物書きを志す人がいるかもしれない。でも、きっとどこかで挫折する。それでいい。挫折しない人生の方が、余程意味が無い。挫折を乗り越えて夢を追い求める力が、君たちにはある。」
きっと僕には、もうその力はない。そんな若さも。
けれど、挫折したからと道を変えるよりはきっと有意義だったはずだ。
僕は、彼女のような人達を"天才"とひとつの箱に押し込んでいた。
けれど、本当の"天才"なんていないとしたら。
僕は何から逃げていたのだろう。
なんてバカバカしいんだろう。
どうして僕は、理由をつけて自分の夢から逃げていたんだろう。
──────……もう少しだけ、夢を追ってみてもいいのかな。
帰り際、佐沼はこちらを見た。
まだ夢を追い続けている、熱い光を持った目だ。
僕は、彼女をと戦うことはできるだろうか。
分からない。
分からないけれど、戦おうとすることはできるから。
名は売れなくても、やるだけやってみようと思う。
みんながみんな人生の主役であるならば、
その道標の先にある景色は、一体どんなものなのだろうか。
少しだけ先の未来に心を踊らせながら、ノートとペンを手に取った。




