女体化白雪姫
「鏡よ鏡よ鏡さん。世界で一番美人はだあれ?」
「この国の白雪王子です」
王妃の眉がぴくりと動いた。
「きいっ! 森で毒を盛っておしまい!」
家来たちは震え上がった。だが命令を受けた魔女の手が、なぜか薬瓶を取り違えていた。
「あれ? これ毒薬だったよな? 女体化薬? 間違えたかな? まあいいや」
翌日、王子は森の奥で不思議な眠りにつき、目覚めると美しい少女になっていた。
「鏡よ。世界で一番美しい美女は?」
「女体化した白雪姫です」
「きいっ!」
怒りに燃えた王妃は、今度こそ毒リンゴを用意した。
だが運命は皮肉で、白雪姫(元・王子)は再び深い眠りにつく。
そして、彼を愛する王子様のキスで、恋に目覚めたのだった。
「愛しているよ。君がいない人生は考えられない」
「まあっ。お上手なんだから」
白雪姫は微笑んだ。
(情けない顔だなこいつ。嬉しそうだし……こいつのために一生女を演じ遂げてやるか。試しに首をかしげて、不思議そうな顔でもしてみるか。にひひ)
「どうなさったの? きゃあっ!」
王子は顔を真っ赤にして、慌てふためいた。
(こいつ、興奮させるの楽しすぎか)
城の窓から覗く王妃は歯ぎしりした。
「きいっ。うらやましい!」
そして二人は幸せに暮らしましたとさ。




