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僕が男の子だってこと誰も信じてくれない

朝起きたら女の子になっていた。


周囲も前から女の子だったかのように扱ってくるし、彼氏とのデートの予定がカレンダーアプリに入ってる!


「僕は男だー!」


だが、女友達は一笑に付す。


「ま、中二病のお年頃だもんね。自分の性別を受け入れられない気持ちわかるよ。そんな女の子は私の周りにも多いかな。でも、一人称僕は、結構、後々黒歴史になると思うからやめなよ?」


「しくしく。本当に昨日まで男だったのにー」


「なんで急にそんなこと言い出すようになったのかなぁ。あ、わかった。彼氏ができたからでしょ?男の子と手をつないで歩いていると、自分が女の子ポジションだって、否が応でも意識せざるを得ない。だから、自分が女の子であることが急に恥ずかしくなったんだ。このこの。隅に置けないね。まぶしすぎるほど青春ど真ん中してんじゃん。あんたほど、ど真ん中に女の子らしい女の子やってる子なかなかいないよ」


ど、どうしよう。何を言っても、思春期の女の子の気の迷い扱いされる。いや、ひょっとしたら僕みたいな女体化した男だけじゃないかもしれない。生まれてからずっと女の子だった子たちも、僕と同じ迷い方しているのかもしれない。あ、彼氏だ。


「おーい」


「ぎくぎくっ。や、やあ偶然だなあ」


足をもぞもぞさせている。僕の胸を見ながら大江山が立派になってらっしゃる。


僕は、昨日までと変わらず男の自意識なんだけど、周囲から見たら、女の子らしすぎるほど女の子なんだなあ。


なんだかフクザツ。世の中にはびこっている男らしさや女らしさなんて、勝手に決めつけられているだけで、案外適当なんじゃないかと思った僕なのでした。

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