霊界裁判 私たちは彼の来世の性別を決定する
裁判員裁判のハガキが来たのでお仕事を休むことにした。
といっても、普通の地方裁判所ではなくて霊界裁判所。
亡くなった魂を裁く裁判だ。
争点は交通事故で亡くなった一人の男の子の来世の性別について。
集められたのは女性裁判員ばかり。
「タケルくんは、生前、女の子になりたがっていた。お化粧をしていたし、姉のスカートをこっそり履いていたわ」
「それは男目線の願望だよ。心が女であることへの何の証明にもなっていないと思う」
「そうそう。ちょっとねえ。ただ、すけべなだけじゃん」
「でも、本人にとっては、性別不和は切実だと思うよ?」
「どうだか」
やいのやいの盛り上がっている。この調子だと来世の性別も男で決定かな。
私は男の子の資料をパラパラとめくった。
ああ、交通事故で同じクラスのお友達と一緒に亡くなっているんだねえ。
「ねえ。どうせなら、このお友達の魂も呼んで話を聞いてみない?」
他の裁判員は、虚を突かれたかのような表情。
「タケルの親友のヒデオです。よろしくお願いします!」
「ねえ。単刀直入に聞くけどさ、お友達のタケルくんさ。来世が女の子になったらどう思う? 女の子になりたいんだってさ」
「タケルが望むならいいと思います。そっか、僕のこと好きでいてくれると思ってたけど、恋愛感情だったんだね」
その言葉にガタッ!とイスの音が鳴る。
「ねえねえ。君はタケルくんのことどう思ってるの?」
「素敵! プラトニックな関係だったのね!」
手厳しいと思ったら手のひら返し。思いのほか、この裁判、カプ厨だらけだ。
「タケルが望むなら、僕は来世にお嫁にもらっても」
「決定! 来世女子に決定! ボーイズラブ関係もおいしいから悩むけど!」
「いいの? そんな簡単に決めちゃって」
「いいんだよ! 関係性は正義!」
それから25年が過ぎた。ヒデオは修斗に、タケルは彩花として結婚式に。
「あなた愛してるわ。私を女にした責任は取ってもらうわよ ふふっ」





