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花の国のお姫様選抜検査

「突然だが、心の性別検査をはじめる!」


先生が高らかに宣言すると、僕達生徒は、保健室に長蛇の列を並ばされる。


MRIのような脳波を計測してそうな装置の中に頭を入れられて、僕達は次々と計測された。


変な検査だなあと思いつつも、でも、時間を取って計測したからには結果を知りたい。


「姉妹校の異世界の花の国の学校からの依頼なんだ。まあ、俺も詳しくは知らない」


なんて、先生は言うもんだから、意外と適当なものかもしれない。


その晩、眠りにつき、目が覚めると、飛鳥時代の酒船石みたいなところに寝かされていた。


神殿のような天井と柱だけの建物の周囲ををお花畑が咲き乱れる。


「お目覚めかなプリンセス。急きょ、君の学校の中で最も心の女性度が高い人物の魂を呼び寄せた。それが君だ」


「ふえっ! 僕は男だよ!?」


「学校でプリンセス検査を受けたよね? あれで、全校生徒の中で君が最も女性度の高い数値を取ったんだ」


「じょ、冗談でしょ!」


うろたえながらも僕は、手足を動かす。植物のように華奢だ。


「君の魂は、このフラワー国のチューリップ姫の体に宿らせてもらった。姫として過ごしたまえ」


「は、はずかしい⋯⋯」


「これ、護衛の兵士4人よ。来たまえ」


大臣っぽい人が手を叩くと、たんぽぽ、水仙、コスモス、百合の姿をした男の兵士が4人現れる。


「チューリップ姫が目覚められた。お前たちが護衛するのだ」


「かっわいい!」「俺、タイプかも」


「静まれ!」


ちやほやされ慣れてなくてドキドキする。僕は男だから、女の子扱いなんてされたことはない。


「さて、明日から冒険だから、ひとまず自己紹介までだ」


その言葉を合図に僕の意識が遠のいた。そして、ベッドの上に。朝だ。なーんだ夢か。


その日は、部活を終え、同級生4人と共に駅に向かう。


「なあなあ、俺、変な夢を見たんだ。たんぽぽの兵士になって、チューリップ姫を護衛するんだ」


「見た見た! 俺、コスモスだった!」


やいのやいのと盛り上がる。なんてことだ。こいつらみんな同じ夢見ていたなんて。


「お前はどうなんだよ」


「ぼ、僕だけ、その夢見てないなあ。あはは」


お姫様だなんて恥ずかしくて言えない。


「チューリップ姫かわいいよな。俺、付き合いたいかも」


「なんだと! あんな可憐な子は俺が付き合うんだぞ!」


僕を巡って取り合いをしている。なんてことだ。ますます、姫だなんて言えない。


「僕、精通しちゃった。今まで女の子なんかに今まで興味なかったのに、チューリップ姫のことを考えると⋯⋯」


水仙の山野くんが白状する。


「でも、チューリップ姫に嫌われたくないから言わないでね」


「ああ、武士の情けだ。内緒にするよ」


僕、聞いてるのに⋯⋯。


ああ、今夜も夢を見たら、4人と冒険するに違いない。僕はみんなにどんな顔をすればいいだろう。


その後、魔王の罠にかかった僕ことチューリップ姫は、呪いをかけられ、魔獣に変身した。


僕の正体を知らない騎士3人が取り囲む。


「魔獣め! 倒してやるぞ!」


剣先が向けられる。万事休すか。そう思ったその時だった。


「待てっ! こっちにおいで!」


水仙騎士が僕の手を引き、追手から逃がしてくれた。


「なんかおかしい。君、獣なのに貴婦人オーラがするね。怪物なのになぜか女の子の魂のにおいしかしない」


いやあああ。嬉しいけど恥ずかしすぎる。


僕の受難は続く!?

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