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女体化心霊少女と男体化言霊男子15 他者評価式言霊

<織田>


「織田せんぱーい。先週の魔法少女プリンマリン2見ました?」


「あー、見てないなあ。全然見てない」


「残念。先輩、あのシリーズ好きだって噂に聞いたのに」


「そういえば、あの頃、ブルーレイ集めてたなあ」


「そんなに好きだったのなら、来週こそ見なきゃダメですよ! 黒幕の正体がわかるって次回予告やってたんですから!」


「わかった。わかった。見る。見るよ。はぁ⋯⋯」


俺の名前は織田。システムエンジニア。


パソコンも大好きだし、アニメも大好き。


若い頃は、プレイ時間が長い美少女ゲームを徹夜してクリアしていた。


だが、今、気分が乗らない。オタク系コンテンツを新しく試す気が起きないのだ。


家に帰ってサブスクを開く。どの番組を見ようかな⋯⋯やっぱりいいや。


タブを閉じて、SNSやショート動画など、消費の手間がかからないものを眺めて寝てしまう。


そして、次の日も仕事へ行く。


空虚な日々を送っていた。こんなつまらない仕事人間になるつもりじゃなかった。


何が起きてるのかわからない俺は、女体化霊能力者を呼ぶことにした。


「祓い給え! 清め給え!」


ふむ。なかなかよくできた衣装だ。巫女衣装の布の質がいい。コスプレイヤーの友人に見せたら驚くかもしれない。


パシャっとスマホで撮影、SNSに共有する。


それはそうと⋯⋯。


「幽霊いたの?」


「居ましたけど、無害な霊ですね。それより⋯⋯言霊は?」


霊能少女は隣に座る言霊少年に話を振る。


「憑いてますね。人間関係と数字が悪魔合体している。業界用語で他者評価型言霊って言います」


「他者評価式言霊?」


よくわからん言葉を振りかざしてくる。


「人間が数字を使うのは何かを管理するときなんです。数字で管理しないと仕事も回らないし、筋トレも習慣化できないし、勉強の進度もわからない。毎日何かをコツコツ進めるには便利な道具です。でも、それは人間の心を硬直化して考えるのをやめるのと表裏一体。あなたは、数字に憑かれている」


「はあ。よくわからんこと言うな。ま、いいや、報酬払うよ」


帰ってもらうことにした。


数字。数字ねえ。学生時代、俺は数学が得意だったが、周囲の勉強嫌いの不良たちの姿を思い出す。もともと、学ぶことは楽しかったはずなのに彼らがなぜ嫌気が差して勉強しなくなったかを思い描いた。テストの点数や時間割に追われて疲れ果てたからではないか。


一理あるかもしれない。しかし、俺は、彼らと違って勉強はできたほうだ。数字に追われて疲れることなんて。


次の日、後輩から話しかけられた。


「先輩、今期アニメ、何本見ましたか? やっぱ、5本は見ないとオタクとは言えないですよね」


「それだ!!」


「どうしたんです? 先輩」


こんなつまらないことだったんだ。


当たり前だが、何本アニメ見ようとオタクとして偉くなったわけでもなんでもない。


見なければ馬鹿にはされるものの、見たからと言ってオタクとして一目が置かれるわけではない。


誰かが作った手前勝手な自分本位の尺度に振り回されて、疲れたときに人間は趣味のことが嫌になるんだ。


そして、その尺度は、人間が気分で雑に他人を振り回すためのもの。決して真剣に追うべき数字ではない。


肉体関係の経験人数を自慢してくる悪友の姿が脳裏に浮かんだ。


嫌なやつだと思った彼もきっと自分を呪っているのだ。


他者評価式言霊ねえ。色んなところに居そう。


<霊子>


「あんたちょっと体重増えた?」


「むむっ!」


魂太にこんな言霊投げられてムッとするなんて!


乙女心が芽生えているのかもしれない。


私たちの冒険は続く。

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