女体化心霊少女と男体化言霊男子10 思想憑依霊
<優奈>
「署名お願いします! 女子制服を可愛くしたいんです!」
私の名前は、優奈。平凡な公立に通う中学生だ。
私は、一大プロジェクトを企んでいた。
田舎の古いデザインの制服を一新しておしゃれにする!
そのために、ファッションデザインの勉強をめちゃくちゃ頑張ってきたんだから。
「頑張ってね!優奈ちゃん!」
「ありがとう!応援してね」
署名を集めて先生に提出する。
「ふむ。よくここまで頑張ったね。じゃあ、今度、全校投票してみよう。我が校の校則にあるとおり、全校の生徒の2/3が賛成したら、制服変更だ」
「やったー!」
私は喜びに満ちていた。私も嬉しいしみんなも喜ぶ……はずだった。
なのにどうしてこうなったの?
「制服変更反対! 出ていけこの変態女!」
心無い罵声を浴びせられる。私がまごまごしていると背後から野太い声が。
「うるせえな!何が問題あるんだ。女は可愛い服を男はかっこいいふんどしを!それの何が悪いんだ!」
「いくらなんでも制服が越中褌はないだろ! ふざけるな!」
私の頭上を口論が飛び交う。そうなのだ。
制服の全校投票が通知された日、見知らぬ男子生徒が押し寄せ、女子制服の変更と共に男子生徒の制服を越中褌にしろと主張し、私の変更案とセットで押し通そうとしはじめたのだ」
やめて⋯⋯。私はかわいい制服を着たかっただけなのに。どうして、自分の主張でもないものを背負わされて、男子に罵られないといけないの?
そのとき、巫女装束の女子と私服男子が教室がやってきた。
「ここから、強い霊力がするわ。イデオロギー憑依霊の霊力が!」
「久々の活躍だからって張り切ってない?」
「うるさいわね。最近、あんたの活躍回が最近多すぎるのよ」
噂に聞いたことがある。女体化霊能力者と言霊男体化女子。
社会にはびこる悪霊を除霊するという。
「祓い給え!清め給え!」
巫女が除霊棒を振りかざすと、越中褌の会の男子の背後から、紫色でつぶつぶの物体が。
こ、これが悪霊だって言うの?
「うおおおお! そんな霊力で俺を倒せると思ったか! 貴様に取り憑いてやるー!」
巫女女子と私服男子に悪霊が向かう。
「打ち合わせどおりいくわよ!」
「まかせて!」
二人は、指のポーズと声を合わせる。
「霊力と言霊! ふたり合わせれば千人力! 臨兵闘者皆陣列在前! 悪霊退散!」
「うががががが! 我が思想が負けるはずがー!」
「どこが思想よ。あんたの私利私欲じゃないの」
巫女が祓い棒を天にかざすと悪霊は消え去り、教室は静まり返った。
「い、今のは……?」と私が聞くと巫女は答えた。
「イデオロギー憑依霊よ。崇高な理想を唱え、大衆に支持される人を見つけたら取り憑く悪霊。理想を乗っ取り、美しい言葉を盾にしつつ、私利私欲に基づいた別の思想にすげ替える現代の大悪霊。今、世界中ではびこっているの。私みたいな神道の祓い師だけじゃなく、世界中のエクソシストが祓いたくてもなかなか祓えなくて血眼になっている」
唖然とする私の前に、巫女は署名カードを差し出す。
「イデオロギー憑依霊は数字に取り憑くの。思想を具体的に実現する手段として数字を持ち出した時、目的を手段をすげ替える形で取り憑く。あなたも数字には気をつけたほうがいいわ」
巫女は颯爽と去っていった。
越中褌の会は解散し、無事、女子制服だけ可愛く変更することになった。
<霊子>
「ふんどしの制服でも良かったんだけど」
「あんたねえ。自分の今の性別が女だからって無責任なことを……」
私たちの冒険は続く。




