女体化心霊少女と男体化言霊男子3
<秘書田中視点>
「あれが、噂の中学生霊媒師か?」
「女に見えるがじつは男らしいぞ」
「まじで!」
俺の名前は田中。仕事は国会議員の秘書。
先生の尽力で駅前の土地開発の予算が降りたかと思えば心霊騒ぎ。
戦前の空襲のとき人が埋められた土地だ。地元でも少し開発反対運動が起きた。
もう、21世紀だし、いつまでも昔のことこだわらず前に進んだ方がいい。
「払い給え!清め給え!」
除霊は終わったようだ。
「これで大丈夫です」
「ありがとうございます。報酬は後ほど口座へと」
先生のところに戻ろうとするがマスコミが遮る。
「週刊赤月です。田中秘書!鈴木議員の横領についてご存知ですよね?」
「初耳です。記憶にございません」
なんてことだ。目ざといやつらだ。無視してホテルで先生に電話。
「先生。週刊誌の連中が⋯⋯」
「そんなことより、除霊費用、値切れないか?ほら、男女のペアで除霊に来たと言うではないか。女の方は霊能力者らしいが、男は自称、言霊遣いの無能力者とか。それを口実に半額に値切れ」
少年少女をホテル呼び出す。
「と、いうわけで半額しか払うことができない。すまないな」
少女はとぼとぼと出ていくが少年は、こちらをじっと見ていた。
「どうしたんだ?不服か?」
こちらを睨むような顔をして立ち止まっていたが、しばらくして、出ていった。
「まったく。最近のガキといったら⋯⋯」
「大変そうね」
声がしたので背後を振り返ると、山田秘書がいた。
山田秘書は、広報担当で大学のミス大会で優勝。さすがに美人だな。
バーに誘われる。
「私、あなたのことが、前から好きだったの。愛しているの」
「お、おい。俺もまんざらでもないけど」
「そう。私のことが好きだったら、東京の◯✕ビルの9Fにこの書類を持っていって。中身は開けたらだめよ。お願い」
言われた場所に行ったが、ほとんど廃ビルじゃないか。テナントは1階のコンビニだけ。真っ暗だし。
「手を上げろ」
背後から何者かに銃を突きつけられる。
「そこには、貴様の筆跡を真似た遺書と経理の書類が入っている。横領は全部お前がやったことにするんだ。そして、このビルの窓から飛び降りてもらう」
「言う通りにすると思ったか!」
そう言って振り向いたが、黒服の男が5人。太刀打ちできる人数ではない。そして、傍らに山田秘書も。
「なるほど。ハニートラップってわけか。愛しているなんて言葉を信じた俺が馬鹿だった」
「さよなら」
泣いているのか?俺のことなんて何も思っていないのに。
「つまり振られたわけだ。くたばりな」
万事休す⋯⋯と、思ったそのときだった。
「警視庁だ!脅迫の疑いで現行犯逮捕する!余罪は留置所で追求してやる!」
警官隊がなだれ込み、俺は一命をとりとめた。
「ありがとう。どうして、警察がこの企みを⋯⋯」
「言霊少年が通報してくれた。彼には霊能力はないが、生身の人間がかけた呪いの言葉は聞こえるらしい」
☆ ☆ ☆
<心霊少女視点>
「あのとき、どうしてホテルで立ち止まってたの?」
私は疑問を相棒の言霊少年、魂太に投げかけた。
「秘書の悲痛な心の声が言霊になった」
『このままでは愛する男性を手にかけなければいけない。私にはどうすることもできない。お願いだから止めて⋯⋯。あなたに呪いの言葉が本当に聞こえるのなら、彼がこのまま、殺される前に通報して私たちを逮捕してほしい』
「ずいぶんと重たくて歪んだ愛ね」
そういうと、魂太はにやにやしはじめた。
「あなたこそ。本当は男なのに女の子に変身して、元女の私との男女逆転の恋愛満喫してるでしょ。髪型も中身もめちゃくちゃ重たい女よね」
「なっ⋯⋯!お、俺は!」
「そういうときだけ男に戻ろうとする。女の子ポジションお似合い」
「やーめーろー」
倒錯した関係は続く。




