24/38
第二十三話「木陰 雛子──②」
[過去]
私が異変に気づいた時には、もう手遅れだった。
『彼の心』は、黒く染まり。
瞳の中の光が───失われていた。
─────────────[過去]
補習の時間、二人きりの時に話しかけても、彼は笑わなかった。
いつも無言。
何度も話しかけ、時間をかけて
ようやく返ってくる言葉は、「はい。」の一言。
子供の心は、何色にも染まりやすい。
そう。だから大人がケアしてあげなければいけないの。
その大人が……気づけないなんて。
絶対にあってはいけない。
そう。絶対に。
でも、人の気持ちが透けて見えないから。
"抱えたままの人の闇"には。
いつまで経っても気づけない。
その責任を責められることは、保護者に知られてからだ。
それまでは、誰にも何にも言われない。
どうしろって言うのよ。
"答えてくれない"のに、"見ることもできない"のに。
押しつぶされそうになる。
つらい。行きたくない。誰かに聞いて欲しい。
でも、教師は……負けちゃダメなんだ。って、そう言い聞かせるしかなかった。
いつから私は、"ロボット"になったの?
いつからだろう。
あの日、父親を殺した時だったかな。




