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ムレスズメ  作者: リンネ カエル/霖廻 蛙
売れない作家のリトライ
22/38

第二十一話「愛の形」



「それは、彼と一つになりたかったんです。」


「……!!!」

「はぁ!?」

「なんだとッ!?」


 意味がわからない。

 好いている被害者を殺しておいて、一つになりたかっただと?


「いや、もう……一つになってたんです。 きっと。 うふふっ…。」

「だって、この肌で……私は今も──」


「…ゴクッ……。」


 エクセルが唾を飲む音が聞こえて来た。

 ハティーは唖然として、額に汗をかいていた。


「彼の温もりを……ヒへへッ…。」



「感じてるんだからッ!!」



(この女…異常すぎるッ!!)

(過去の事件でも、こんな異常者はいなかった……。)


 エクセルの頬から汗が滴り落ちる。



「彼の血を…私の肌で感じてるの。」


「温もりが……体の中に入ってくるの。」



「そんなの、狂ってる……。」

「……なにを言ってるんだ!!」


 二人が動揺するのも無理はない。

 だが、この時私は……少しだけ興味を(そそ)られた。

 彼女の価値観に。



「確かに……彼が死んだ時は、パニックになったわ。 頭が真っ白になったの。」

「でも、次第に……頭の中の景色が、真っ白から真っ赤に染まっていくのが見えた。」


「その時、"快感を覚えた"。 ああ、やっと繋がれた。 一つになれたね。ってッ!!」

    

       ・

「だから、その証として。 彼の部屋に。 私の体に。」

   ・・

「私のモノを残した。……ふふっ…。」



(なんて女だ……イカれてるッ!!)

「おい! コイツを連れてけッ!!」


 外で待機していた捜査員にエクセルは指示をして、彼女は逮捕された後に連れて行かれた。


─────────────[現実]


「いや〜! このストーカーの女の人が怖くて、読んでで鳥肌たっちゃったよ〜!!」


 カフェで昼飯を済ました後、オレはミステリ小説の第一話を彼女に読ませていた。

 そして、その感想を聞きながら、興奮したように話す「木陰(こかげ)雛子(ひなこ)」を眺めながら、微笑んでいた。


 今回考えた話は四つだ。

 今のが一話だとしたら、他に三話ほどある。


 が、持って来ていた原稿は一話分だけだ。


 そして、とりあえず四話分までにする。

 持ち込みをして、反応が良ければ続きを書けばいい。

 

 それまでは、公募用のテーマものでもいくつか考えるか。


 にしても、可愛いなぁ。

 何度見ても可愛いと思う。


 よく言うだろ?


 周りから見たら、自分の好みではない可愛くない女でも、当の本人からして見れば、好きになった人のことが可愛くて可愛くて仕方がないほど、そう見えてしまうんだってな。


 信じてこなかったけど、どうやらオレも"そう"らしい。フフッ。

 どんな事をしてでも、彼女の幸せを守りたい。


 

 そう、"どんな事をしてでも"だ。



 それがオレの、唯一の生きがいだから。

 今も、昔も。


 正直……小説家になることよりも、大切かもな。

 雛さえ、隣にずっと居てくれれば、オレは幸せなんだよ。


 死ぬまでそばにいてほしい。


 だから、小説の犯人にも……。

 いや、アレは狂っちまった女か。

 オレは最愛の人を殺してやりたいとは思わない。

 

 オレが死ぬまで、そばにいてほしいんだ。

 死ぬなら一緒に死にたい。


 あの時の苦しくてしんどかった時のオレと……一緒にいてくれた雛は。

 どんな気持ちだったんだろう。


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