第二十一話「愛の形」
「それは、彼と一つになりたかったんです。」
「……!!!」
「はぁ!?」
「なんだとッ!?」
意味がわからない。
好いている被害者を殺しておいて、一つになりたかっただと?
「いや、もう……一つになってたんです。 きっと。 うふふっ…。」
「だって、この肌で……私は今も──」
「…ゴクッ……。」
エクセルが唾を飲む音が聞こえて来た。
ハティーは唖然として、額に汗をかいていた。
「彼の温もりを……ヒへへッ…。」
「感じてるんだからッ!!」
(この女…異常すぎるッ!!)
(過去の事件でも、こんな異常者はいなかった……。)
エクセルの頬から汗が滴り落ちる。
「彼の血を…私の肌で感じてるの。」
「温もりが……体の中に入ってくるの。」
「そんなの、狂ってる……。」
「……なにを言ってるんだ!!」
二人が動揺するのも無理はない。
だが、この時私は……少しだけ興味を唆られた。
彼女の価値観に。
「確かに……彼が死んだ時は、パニックになったわ。 頭が真っ白になったの。」
「でも、次第に……頭の中の景色が、真っ白から真っ赤に染まっていくのが見えた。」
「その時、"快感を覚えた"。 ああ、やっと繋がれた。 一つになれたね。ってッ!!」
・
「だから、その証として。 彼の部屋に。 私の体に。」
・・
「私のモノを残した。……ふふっ…。」
(なんて女だ……イカれてるッ!!)
「おい! コイツを連れてけッ!!」
外で待機していた捜査員にエクセルは指示をして、彼女は逮捕された後に連れて行かれた。
─────────────[現実]
「いや〜! このストーカーの女の人が怖くて、読んでで鳥肌たっちゃったよ〜!!」
カフェで昼飯を済ました後、オレはミステリ小説の第一話を彼女に読ませていた。
そして、その感想を聞きながら、興奮したように話す「木陰雛子」を眺めながら、微笑んでいた。
今回考えた話は四つだ。
今のが一話だとしたら、他に三話ほどある。
が、持って来ていた原稿は一話分だけだ。
そして、とりあえず四話分までにする。
持ち込みをして、反応が良ければ続きを書けばいい。
それまでは、公募用のテーマものでもいくつか考えるか。
にしても、可愛いなぁ。
何度見ても可愛いと思う。
よく言うだろ?
周りから見たら、自分の好みではない可愛くない女でも、当の本人からして見れば、好きになった人のことが可愛くて可愛くて仕方がないほど、そう見えてしまうんだってな。
信じてこなかったけど、どうやらオレも"そう"らしい。フフッ。
どんな事をしてでも、彼女の幸せを守りたい。
そう、"どんな事をしてでも"だ。
それがオレの、唯一の生きがいだから。
今も、昔も。
正直……小説家になることよりも、大切かもな。
雛さえ、隣にずっと居てくれれば、オレは幸せなんだよ。
死ぬまでそばにいてほしい。
だから、小説の犯人にも……。
いや、アレは狂っちまった女か。
オレは最愛の人を殺してやりたいとは思わない。
オレが死ぬまで、そばにいてほしいんだ。
死ぬなら一緒に死にたい。
あの時の苦しくてしんどかった時のオレと……一緒にいてくれた雛は。
どんな気持ちだったんだろう。




