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ムレスズメ  作者: リンネ カエル/霖廻 蛙
売れない作家のリトライ
20/38

第十九話「犯行現場と容疑者達のアリバイ」



「───へぇ〜! なるほど〜!」


「それで犯人のTシャツと、自分が着てたTシャツを取り替えたのね!!」

「すご〜い! そこに気付く探偵の『トゥルース・キーラー』も凄いわ!」


「さすが、名探偵って感じね!」


「はははっ、ありがとう! その反応が見れて嬉しいよ!」

「書いて良かった!」



 そう───オレが思いついた凶器消失トリック。


 まず、物語の初めから話そう。



─────────────[作品の内容]


「もしもし、聞こえるか?」


 電話越しに誠実そうな男の声が聞こえてきた。


「どうした。 君から連絡がある時は、大抵ロクなことじゃない。」


 電話を受け取った男は、背が高く弁護士のような服装をしていた。

 ただ、ジャケットは着ておらず、白いカッターシャツに灰色のベストと赤いネクタイを身につけていた。


 事務所の机に腰を軽くかけ、スマホを耳に当てながらコーヒーを(すす)る。


「キミに手伝ってほしい事件がある。 すぐに──に来れないか?」

「分かったよ。 君からの頼みじゃ、どのみち断れない。 二〇分後には着くだろう。」

「そうか! 現場の者には伝えておくから、部屋の中まで入って大丈夫だぞ。」


 相変わらず手際がいい。

 まあ、エクセルくんは非常に優れた刑事だからね。

 その辺りも気に入っている。


「ああ。 分かった。」


* * *


 事件現場に向かった私は、二階建ての少し錆びれた四部屋ずつあるアパートの一室に訪れていた。


 部屋の場所は二階の一番左の部屋。

 『201号』とドアの横に札が書かれている。

 階段を登ってすぐ左側にある部屋だ。


 エクセルくんの話によると、死亡推定時間から逆算して、犯行時刻の時間。


 二階の住人は、被害者の男性を除けば……全員居留守だったことが分かっている。

 そして、一階の四部屋の住人は部屋の中に居たらしい。


 近くの道路には監視カメラもあり、通行人はその時間はいなかったらしい。

 つまり、事件当時に犯行ができたのは、同じアパートの住民の可能性が高くなる。


「キーラー! エクセルに一階の四人の証言について聞いて来たわよっ!」

「ああ、ありがとう。 ハティー。」


 彼女の名前は『タント・ハティ』。

 幼い頃に両親を亡くし、その後探偵である私が事件を手伝った。

 だが、この私が唯一。事件を解決できなかった未解決事件の被害者遺族だ。


 それからは、私が彼女の世話をしながら、探偵事務所の助手、(けん)──相棒(パートナー)として働いてもらっている。


「それで? 証言は?」


「まずは101号室。 容疑者Aとするわ。 容疑者Aは男性。 体型は普通、よくある成人男性ってとこね。」

「事件当日、彼はテレビを見ていたそうよ。 内容はファンタジー映画ね。 その時、上から『ゴトッ』っていう物音を聞いたらしいけど、その時は映画の効果音だと思って、そのまま気にしなかったみたい。」


「アリバイはなく、その時間はどこにも出かけていないらしいわ。」

「なるほど。 二人目は?」


「ええ、次は102号室の住民も男よ。 容疑者Bは痩せ細った三十代後半の会社員で、デスクワークをしてたらしいの。 溜まった仕事を明日までに終わらせないといけないらしくて、昨日から一日中どこにも出てないって。 彼もアリバイはないわ。」


「まあ、今時の会社員なら不思議では無いな。」


「ええ。 三人目は103号室に住む小柄な女性よ。 彼女……容疑者Cは、当時友人と通話をしていたみたい。」

「彼女のスマホの通話履歴も確認したから、間違いないわ。 彼女はアリバイがある。」


「物理的な証言人がいるのなら、確かに犯行は難しそうだな。」

「そうね、最後は104号室。 住民はガタイの良いふくよかな男性よ。 容疑者Dは、オンライン上でゲームをしていたらしいの。 一緒に遊んでいた友人がいたらしくて、そのことも裏が取れてるわ。 よって、彼にもアリバイがある。」



「なるほど。 四人の内、二人がアリバイありで、もう二人がなしか。」

「ええ。 怪しいのは、102号室の容疑者Bね!!」


「101号室の容疑者Aは、二階の部屋が被害者の部屋。 そこから、物音が聞こえたってことは、その時に犯行が行われたことになるわ。」

「そして、容疑者CとDにはアリバイがある。 その時間に動けるのは……アリバイのない、残ったBだけよっ!!」


「………。」


 部屋の周りを探すも、床には血痕もなく、被害者が倒れて居た場所に、『チョーク・アウトライン』が記されてあった。


 『チョーク・アウトライン』とは、被害者の死亡状況を残すために、その時の型をチョークなどわかりやすいモノで形をなぞり描いたものだ。

 それとは別に、番号が書かれた立札もあるが、今回はないらしい。


 どうやら、丸腰のところを背後から襲われたみたいだな。


 進行方向はトイレと玄関がある方向か。

 おそらく、被害者がトイレ、または玄関に向かう際に後ろから襲われたんだろう。


 両腕を前に伏せるような形で倒れている。


 そのまま倒れて、抵抗するままなく死んだようだな。

 

「……何故血痕がないんだ?」


「そうなのよねぇ〜。 エクセルもよく分からないって。……それでアタシらに丸投げってわけ! ほんと都合がいいんだからっ!!」


 そう、被害者の後頭部には、小さな窪みがあった。

 何かの"角"で殴られてできたような。


「被害者の部屋からは、何か取られた物とかはあったのか?」

「金目の物は何も。 ただ、普通は誰しもが持っている。 "あるモノ"だけがなかったわ。」


「それは?」



「被害者の"携帯電話"よ。」


「なるほど、"ソレ"が凶器か。」


「ええ。 容疑者の部屋も探したみたいだけれど、見つからなかったみたいね。」


 凶器は判明したが……血痕の問題はまだ解決していない。

 どうやって血痕を残さずに殺したんだ。


 他の場所で殺した後に、部屋の中に運んだ?

 それにしてはリスクが高すぎる。


 たまたま、事件当時……通行人が居なかったとはいえ、もし容疑者の中に犯人がいるなら、通路にある監視カメラにも気付いてるハズだ。


 私が"犯人"なら、そこまでのリスクは犯せない。


 ならば、やはり、犯行現場はこの部屋……


「────!!」


 その時、被害者の部屋の中にかけてあった、ある"モノ"に目がいった。


(おかしい。)


「ハティー。 エクセルに聞いて来てほしいことがある。 それと、容疑者はまだ部屋にいるんだな?」

「え、ええ。 そうだけど、何を聞いてくればいいわけ?」



「それは────」


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