第十二話「どうでもいい世界」
さぁ、名前も決まったし。次は二人の関係性と過去だな。
関係性とは、簡単に言ってしまえば
探偵とその助手だ。
でも、それは役職としての関係性だろ?
だから、『出会いのきっかけ』である関係性。
『作中における今の信頼度』における関係性。
『これから先の展開』への関係性。
などを決めていく。
成り行きで決めても良いが、こういうのは初めに決めておいた方が後からラクになるからな。
設定を考えるタイプの作家なら、必ずやっておいた方がいいだろう。
まあ……
「どこから始めるかだな〜」
そう、一番ラクなのは『作中における現在の関係』だ。
何故なら、それを軸に物語の時系列を進めるからだ。
まあ、凄腕探偵とその実力を信頼している助手ってとこだろうな。
ここは素直に作ればいい。
ややこしくするのは、『過去』だ。
何故『出会ったのか』
何故『相棒になったのか』
が、そのキャラ同士の関係性を深め、どうやって読者に感情移入させる要素の一つに出来るかが重要だ。
もちろん、前提として、作中現在のキャラの魅力が無いといけない。
そもそもキャラが好きになれないと、そのキャラの過去なんて掘り下げられても気にならないし、興味がないからな。
今のところは問題ないハズだ。
キャラのインパクトはある。『キーラー』は見た目がイケメンだし、だいたいの女性ウケはいいだろう。
『ハティ』は好みが別れそうだが、オタクはツインテロリで強気な女に弱いッ!!
ブヒブヒさせながら、あぁ……もっと、もっといじめてくだされ〜〜。とかキモいこと言ってるだろうしな。
まあ、無難なのは、過去に壮絶なトラウマや絶望するような体験をさせることだが……。
度合いもある。
暗くさせすぎると、現実世界での影響があるかもしれないからな。
実際にその追体験をしてみたいと思うような人間が現れて、事件を起こされちゃあ作者としては困る。
まあ、そんな事をするやつは………。
「………」
死にたくなるほど、どうでもいい世界に辿り着いちまったヤツだろうけどな。
─────────────[過去]
ボクは、挫折した。
新人時代は……いや、今もそうか。
売れない作家は常に新人と変わらない。
「"博打"だよ。」
そんな言葉を思い出す。
猫柳さん……アンタもまだ、書き続けてんのか?
あれから、デビューした作品に名前も聞かない。
アンタもまだ、諦めてないよな?
オレに言ったよな。
─────────────[回想]
「………。 なんだ?怖気付いたか?」
「バカ野郎が。 オメーは諦めんなよ。ソウヤ。」
─────────────
って。忘れてないんだ。
オレはアンタの言葉に感動して、頑張ろうと決めたんだからさ。
アンタも諦めんなよな。
「速報です。昨夜見つかった男性の遺体の身元が判明しました。」
うす暗い部屋の中に、後ろにあるテレビの音が聞こえてきた。
その女性アナウンサーの声に、自分の耳を疑った。
ボクの耳はおかしくなったのか?と。
「男性の身元は、猫柳 将さん。 年齢は五十三。 職業は無職。」
えっ?
「遺族はおらず、近隣の目撃者の話によると、数日前から橋の下でホームレス生活を送っていた姿が見られていたとのこと。」
「また、鋭利な刃物で腹部が損傷しており、出血多量によることが直接の死因となったそうです。」
「は?」
嘘だろ?
猫柳さん……なのか?
あんな苗字、普通じゃ聞かない……それに、下の名前だって同じだ。
同姓同名…?
そんなことあるか?
年齢は、ボクがあの時二十一だった。
その時猫柳さんは……四十二だ。
それから……十一年が経ったから……。
今は五十三。
何度も見返した。
名前も、年齢も一致していた。
ボクの師匠である、猫柳 将は───夢を叶える前に死んでしまったのだ。




