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ムレスズメ  作者: リンネ カエル/霖廻 蛙
売れない作家のリトライ
13/38

第十二話「どうでもいい世界」



 さぁ、名前も決まったし。次は二人の関係性と過去だな。

 

 関係性とは、簡単に言ってしまえば

 探偵とその助手だ。


 でも、それは役職としての関係性だろ?


 だから、『出会いのきっかけ』である関係性。

 『作中における今の信頼度』における関係性。

 『これから先の展開』への関係性。


 などを決めていく。


 成り行きで決めても良いが、こういうのは初めに決めておいた方が後からラクになるからな。

 設定を考えるタイプの作家なら、必ずやっておいた方がいいだろう。


 まあ……


「どこから始めるかだな〜」


 そう、一番ラクなのは『作中における現在の関係』だ。

 何故なら、それを軸に物語(ストーリー)の時系列を進めるからだ。


 まあ、凄腕探偵とその実力を信頼している助手ってとこだろうな。

 ここは素直に作ればいい。


 ややこしくするのは、『過去』だ。


 何故『出会ったのか』

 何故『相棒になったのか』

 

 が、そのキャラ同士の関係性を深め、どうやって読者に感情移入させる要素の一つに出来るかが重要だ。


 もちろん、前提として、作中現在のキャラの魅力が無いといけない。

 そもそもキャラが好きになれないと、そのキャラの過去なんて掘り下げられても気にならないし、興味がないからな。


 今のところは問題ないハズだ。

 キャラのインパクトはある。『キーラー』は見た目がイケメンだし、だいたいの女性ウケはいいだろう。


 『ハティ』は好みが別れそうだが、オタクはツインテロリで強気な女に弱いッ!!

 ブヒブヒさせながら、あぁ……もっと、もっといじめてくだされ〜〜。とかキモいこと言ってるだろうしな。


 まあ、無難なのは、過去に壮絶なトラウマや絶望するような体験をさせることだが……。


 度合いもある。

 暗くさせすぎると、現実世界での影響があるかもしれないからな。

 実際にその追体験をしてみたいと思うような人間が現れて、事件を起こされちゃあ作者としては困る。


 まあ、そんな事をするやつは………。



「………」


 死にたくなるほど、どうでもいい世界に辿り着いちまったヤツだろうけどな。


─────────────[過去]


 ボクは、挫折した。

 新人時代は……いや、今もそうか。


 売れない作家は常に新人と変わらない。



「"博打"だよ。」



 そんな言葉を思い出す。

 猫柳(ねこやなぎ)さん……アンタもまだ、書き続けてんのか?


 あれから、デビューした作品に名前も聞かない。

 アンタもまだ、諦めてないよな?


 オレに言ったよな。



─────────────[回想]



「………。 なんだ?怖気付いたか?」

「バカ野郎が。 オメーは諦めんなよ。ソウヤ。」



─────────────


 って。忘れてないんだ。


 オレはアンタの言葉に感動して、頑張ろうと決めたんだからさ。

 アンタも諦めんなよな。


「速報です。昨夜見つかった男性の遺体の身元が判明しました。」


 うす暗い部屋の中に、後ろにあるテレビの音が聞こえてきた。

 その女性アナウンサーの声に、自分の耳を疑った。


 ボクの耳はおかしくなったのか?と。


「男性の身元は、猫柳(ねこやなぎ) (しょう)さん。 年齢は五十三。 職業は無職。」



 えっ?



「遺族はおらず、近隣の目撃者の話によると、数日前から橋の下でホームレス生活を送っていた姿が見られていたとのこと。」

「また、鋭利な刃物で腹部が損傷しており、出血多量によることが直接の死因となったそうです。」



「は?」



 嘘だろ?

 猫柳さん……なのか?

 あんな苗字、普通じゃ聞かない……それに、下の名前だって同じだ。


 同姓同名…?

 そんなことあるか?


 年齢は、ボクがあの時二十一だった。

 その時猫柳さんは……四十二だ。


 それから……十一年が経ったから……。

 今は五十三。


 何度も見返した。

 名前も、年齢も一致していた。


 ボクの師匠である、猫柳(ねこやなぎ) (しょう)は───夢を叶える前に死んでしまったのだ。


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