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こんなふざけた能力でも人を幸せに出来たら最高です。

 願いが力になる世界。大体10を超える歳になると子供の頃願った内容に合わせた力に自覚なく目覚める。

 騎士になりたいと願ったなら剣術関係の能力に目覚め、商人を夢見れば、頭が自然と良くなる。

 そんな世界の傍の栄えても廃れてもない街で俺こと、ランド・セルモッティ、16歳は幼い頃、夢見た内容を後悔していた。


「なんであんなものに憧れたんだかな〜」


 小さな家の中で1人本棚に向かってボヤく。

 そこには子供の頃大好きだった漫画の数々が並べられていた。俺は影響されやすい性格だ。

 

 騎士がカッコよく見えたら「騎士を目指すぜ!」と1日中剣を振り、「商人で金持ちになりたい」思えば、頭が悪い癖に数字を書き殴ってみせた。

 まあ全て3日坊主だったんだが……


「おーい!ランド〜!学校に行く時間だぞ〜!早く出てこないとケツの穴に青虫突っ込むぞ〜」


 外から俺を呼ぶ声が響いた。下品な言葉から男と思うが悲しいかな俺の幼馴染のアリアンヌ・バーベルという少女だ。アリアンヌと呼ぶには野蛮だから俺は親しみと若干の軽蔑を込めてアリアと呼んでる。

 俺は窓を開けて外にいるアリアを探そうとしたがすぐに見つける事が出来た。

 何故って?そりゃ窓を開けたらすぐ目の前にツインテール姿のアリアが立ってたからね。


「おはようアリア。今日も口が悪いね?」

「おはよ!ランド!あんたは口が臭いわね?」


 酷い!軽口を叩いたはずが百倍にして返された!

 俺は自分の口臭を確かめてみたがそこまで臭わないはずだ……


「あんた寝起きでしょ?だから臭いのよ。早く顔と歯を洗ってきなさいよ」

「はいはい。今から行きますよ〜だ」


 俺は背を伸ばしてアリアの言う通り歯を磨いて顔を洗った。ついでにトイレでドデカいのを1発気張り込んだ。

 うん!超スッキリ!かなり時間をかけたが鞄を背負い家を出た。


「お待たせ〜」

「遅い!またあんた。トイレに篭ってたわね!」

「仕方ないだろ〜?出そうだったんだし……それとも何か?そこらへんで漏らせってか?」

「それは勘弁願いたいわね。需要無いわよ。あんたのお漏らしなんか」


 ごもっとも。男の大のお漏らしが誰に受けると言うのか……こんな俺でもアリアはいつも待ってくれて一緒に学校に登校してくれる。

 こんなに面倒を見てくれるのは俺が1人で暮らしてるからだろう。両親は昔に事故で死んだ。かなり昔の事だから記憶にも無い。


 そんな俺を見兼ねて世話をしてくれるこいつは口は悪いがまあ、良い女ではある。結婚は……ちょっとばかし嫌だが……

 だってめちゃくちゃ口悪いもん。見てくれは可愛らしいお人形さんみたいなのに……世の中バランスよく出来てるという事ですな。


「今日は学校で能力を使った授業があるみたいよ?」

「うげ……マジか……」

「なにそんなに嫌がってんのよ。あんたにもあるでしょ?すんごい能力が」

「アリアと違って嫌な能力だけどな……」


 こいつの能力は【怪力】だ。昔俺の家で読んだ英雄の漫画に憧れ夢みた事で目覚めたらしい。

 映えがあるよな?【怪力】ってさ……


「てかそれよりも今日さ。転校生が来るらしいわよ?」

「転校生がなんだよ。たいして珍しくも無いだろ?」

「ロマンがないわね〜。男なら転校生と運命的な出会いを果たしてラブロマンスに発展〜とかぐらい考えなさいよ」


 こいつ……また変な漫画に影響されてんな?俺もこいつの事言えた立場じゃねぇけど。


「ラブロマンスって事は女か?」

「そうみたい。王都の学校から転校してくるんだってさ〜」

「へ〜。都会からこんなつまんね〜街に転校だなんて難儀なこった」

「そうよね〜。その分私達が楽しませてあげなくちゃだ」


 俺は楽しませれる自信ないぞ?てか無理だろ……相手は都会っ子だぞ?都会に馴染んだやつが今更こんな全時代的な街に魅力を感じるかよ。


――――――――――――――――――――――


 そうこうしてると学校に着いた。

 木で出来た校舎に入り、俺達は自分の教室を目指した。学校内は、まあ……普通だ。良くも悪くもない普通。強いて言えば古いって事ぐらいか。

 そんな校舎を進み、我らが高等部1年1組に辿り着き教室に入り1番後ろの窓際席に腰掛ける。

 

 恋愛漫画で言う主人公の特等席だ。この席に当たった時は淡い期待に胸を膨らませたが、まあそんな都合よくモテるはずがない。自分磨きもしてないしな。


 鞄から教科書を机に入れようとすると俺はとんでもない間違いに気づいた。


「あちゃ〜……教科書とエロ漫画を間違えちまった……」


 昨日のオカズを教科書と間違えて鞄に突っ込んでしまったらしい。うむ……やってしまったものは仕方ない!それに荷物チェックもする事無いだろうしな?隣の席のアンドンに見せて貰えば問題無いだろう。

 

 因みに最近のマイブームは妹物だ!妹持ちからすれば理解されないジャンルだが、妹がいない俺からすれば憧れの存在だ。「お兄ちゃん」と呼ばれ毎朝優しくスケベな感じで起こして欲しいもんだ。


「お〜ら。席に着け〜」


 エロ漫画をペラペラ捲っていると担任の先生。筋骨隆々なゴリラ。ウッホ・ドラミンゴが教壇に立った。


「今日は1限目に能力実践授業があるからな。皆気合いを入れとけよ〜」

「「「は〜い」」」


 エロ漫画でぶち上がった気分がゴリラの話で台無しにされた。これには俺の息子も「我、フニャフニャ形態に移行するであります!」と言わんばかりに萎えてしまった。

 まあ臨戦体制で授業に臨む方がヤバいからこれで良いのだが……


「あと転校生を紹介する。入れ」

「はい」


 綺麗で透き通る様な声と共に教室に入ってきたのは、まるでご令嬢と呼ぶに相応しい銀髪で儚げな顔をした少女だ。これには俺の息子も「第一種戦闘配備!」と言いたげだ!抑えろ……ここでやらかしたら最悪だ。流石にあんな美人に初手から嫌われたくはない。寧ろ好かれたい!

 男だからこれぐらいの願望があっても良いだろ!?


「初めまして。私はサーシャ・リコリスと言います。王都から来たばかりで分からないことが沢山ありますが、皆さんと仲良くなれる様に頑張ります。よろしくお願いします」

「「「「おおおお!!」」」」


 彼女の言葉でクラスが湧いた。

 しっかりした子だなぁ……これにはみんなも嬉しさ爆発って感じか?アリアもサーシャさんの紹介でテンションが上がってるみたいだしな。


「ありがとうなサーシャ。席は〜……あそこだ」


 ゴリラが俺の横の席を指差した。

 おいおいおい!この席のアンドンはどうなる!?まだ来てないみたいだが……勝手に席を変えられたら困るんじゃないか?机の引き出しにエロ漫画が入ってたらどうする!!


「あそこの席のアンドンは今日風邪で休みだ。遠慮なく使ってくれ」

「ありがとうございます。ウッホ先生」


 病気で休みなら仕方ないね。すまないアンドン。俺はお前と言うエロ漫画友達を生贄に可憐な少女を召喚し、あわよくば昇天する。恨むなよ?恨むなら己の脆弱さを恨みたまえ。


「隣失礼します。え〜っと……」

「ランドです!16歳彼女無し。これから毎日よろしくお願いしますね!」

「ランドさん。良い名前ですね。何卒よろしく」


 決まった……第一印象は完璧だろ?出来るだけキザっぽく紹介してみせたぜ。日頃エロ漫画主人公の真似を風呂場で練習した甲斐があったってもんだぜ!


「よーし。サーシャの紹介も済んだ事だし。能力実践授業を始めるぞ〜?まずはサーシャに説明を兼ねた復習からだ。教科書の69ページを開く様に」


 ゴリラがそう言うと皆一斉に教科書を開き始めた。

 サーシャさんはアワアワと周りを見ている。そうか。転校してまだ教科書を持ってないんだな。

 よし!ここは俺が教科書を差し出して一緒に見る作戦!あわよくばこれでお近づきになれるぞ〜。


「サーシャさん!僕の教科書を一緒に見るかい?」

「え……よろしいんですか?」

「ええ。貴方のような綺麗な方の役に立てるなら本望ですよ。ハハッ」

「で、では失礼します」


 サーシャが机を横につけて体を寄せてきた。凄い!凄いぞ?めっちゃくちゃ良い匂いだ!もう一生この匂いを嗅いでいたい……てか袋に詰めて持ち帰りたいぜ……

 匂いを満喫しながら俺はささっと教科書を開き机の真ん中に置いた。


「ラ、ランドさん……こ、こここ、これは……一体貴方は何を見せてくるのですかっ!?」


 サーシャの震える声が耳に入った。うんうん。なんていじらしい人なんだ。男の俺と距離が近付いただけでこの反応……これぞ正統派美少女!アリアとは違うのだよアリアとは!


「この変態ッ!」

「あふん!」


 バチンと俺の頬がサーシャに叩かれた。

 変態?馬鹿な!体を寄せただけでそんな事が……いやまさか……俺の息子が粗相を……してないな。あっ!

 そこで俺は気付く。いや。気付いてしまった。

 俺、教科書持ってきてないよな?その代わり持ってきたのはエロ漫画で……そんな俺が今開いてんのは……


 視線を机に広げられた教科書に向けると、やはりそれは教科書では無くエロ漫画だった。

 なんて事だ。開かれたページは妹ちゃんが恥部をおっ広げながらお兄ちゃんに求愛しているシーンではないか!


「サ、サーシャさん?こ、これは……そのぉ……」

「貴方って人は最低です!大っ嫌い!」


 バチンと更に一発ビンタを受けた。神は言った。右を叩かれたら左を差し出せと……おお。だが神よ。差し出す前に同じ場所を叩かれたらどうすれば良いのですか?三発目を左にもらいに行けば良いのですか?


 そう想像上の神に祈ってみたが返事はこうだった。

「そんなんどうでもええわ。てか早よ死んだら?」

 イマジナリー神様は辛辣だ。誰も俺を助けてくれないみたいだぜ……まあ俺が全部悪いんだけどな……

 サーシャとの出会いは最悪で好感度はマイナスからスタートしたランドなのだった。


――――――――――――――――――――――


 復習が終わりグラウンドに出ていよいよ実践授業に入る。ここでは目覚めた能力によって取り組む内容が変わる。戦闘系なら模擬戦を。商売系なら観察眼を鍛える為に街へ出る。


 アリアと俺は戦闘系だから模擬戦だ。

 サーシャさんもどうやら同じらしい。目が合い手を振ってみたがプイっと顔を逸らされた。

 完全に嫌われたな……アンドン。早く帰ってきてくれ。このままじゃ俺……ずっと美少女に変態と罵られる毎日を送るハメになるじゃねぇか……まあそれはそれで良いか。


「よーし。戦闘系の諸君はいつも通り模擬戦を行うぞ〜。誰か最初に戦いたい奴はいるか?誰でも構わんぞ」


 そうは言うが誰が戦いたいってんだよ。能力に自信のある奴は嬉しいだろうさ?だけど俺みたいな貧弱オチンポ侍にとっては地獄なんだよ!


「はい!」


 そんな手を挙げる生徒の中から1人サーシャさんがビシッと手を挙げた。

 彼女はかなり能力に自信があるらしい。良いな。恵まれた能力は……


「ではサーシャ。相手は誰が良い?選んで良いぞ?」


 嫌われてる俺は間違いなく選ばれないだろう。それにこう言うのは女性同士で取り組むのが当たり前だ。


「ランド・セルモッティをお願いします!」

「俺ぇ!?」

「ランド。前に出ろ!」


 呼ばれた以上仕方ない……俺はゴリラの前にサーシャと並ぶように立ちチラリと彼女を見た。するとギロリと睨みつけるように返され身が震えた。

 なるほど……復習の復讐ってか!?上手い!座布団一枚!ってそんな事言ってる場合じゃねえ!


「両者向き合って!」


 早速模擬戦が始まろうとしていた。

 ヤバいヤバい!このまま始まれば間違いなく死ぬ!いや……死にはしなくても病院送り間違いなしだ!


「サーシャさん!俺は降参――」

「始めッ!」

「フレイムピラー!!」


 試合が始まると同時、俺の叫びと上げられた両腕は悲しくも炎に包まれ掻き消された。


「先生……終わりました」


 サーシャさんがゴリラにそう言って去ろうとしたが――


「何を言ってる?まだ模擬戦は終わってないぞ?」

「え……ですが今ので彼は――」


 彼女は試合を見守る生徒達を見た。そこには誰もが不敵に笑いランドが包まれた炎を見ている。それは皆、彼の敗北があり得ないと分かっているかのように……


「あっちぃぃぃぃぃ!焼ける!焼けてるッ!」

「なっ!?」


 髪がアフロになり肌が焼け焦げ服はボロボロになった俺は炎から飛び出した。


「なんて威力だよ。てか魔法使いか!死ぬって!間違いなく死ぬよ?」

「誰が死ぬって?不死身のランド〜」

「「「ははははははは!」」」


 アリアがヤジを飛ばしてクラス中が湧いた。

 いやいやマジで死ぬよ?俺最弱だよ?お前みたいにすんごい能力だったら勝ち目あるけど俺には無いんだよ!


「あり得ません……今のは全力で放った魔法ですよ……ッ!!」


 サーシャさんは、認められないと言いたげに――


「フレイムピラーッ!!」


 更に魔法を俺にぶつけた。熱くて体が焼けるが俺を戦闘不能にする事は出来ない。かなり痛いけどね?

 何度も魔法をぶつけられるが、その度に俺は全身をチリチリに焼きながら炎の中から這い出た。


「そんな……本当に不死身だと言うのですか?……貴方!一体何の力を持っているのです!」

「俺か?俺の能力は――」


 俺は子供の頃一冊の漫画の主役に憧れた。あの主人公みたいにどんな事があっても立ち上がり、時には怒り、時には笑わせる。そんなヒーローみたいな主人公に……だが1つ失敗があるとしたら――


「俺の能力は【ギャグ漫画耐性】だ!」


 そう……その漫画がファンタジーでも無く、バトル漫画でも恋愛漫画でも無い。ギャグ漫画だった事だ。

 このキャラみたいになりたいと子供の頃に願った夢がこんな馬鹿みたいな能力を開花させた。

 はっきり言おう!俺はどんな事があっても死にはしないが反撃するパワーも技術もない!誰がこんな馬鹿みたいな能力で戦えってんだよぉぉぉぉぉぉ!!


「【ギャグ漫画……耐性?】」


 流石のサーシャさんもこれには表情を崩していた。

 そうだよな。自慢の魔法がこんな馬鹿みたいな能力で貶されてるんだからな。だけど俺も男だ!受けた勝負は諦めねぇ!……試合開始前に降参しようとしたのは忘れてね?


「そのようなふざけた能力に私が負けるはずありません!フレイムピラー!」


 諦めずに彼女は魔法を放ち続けた。だが俺を倒す事は出来ない。爆発すれば空を舞い、頭を打てばデカいタンコブがぷっくり生え、燃やされればボンッと髪がアフロになる。

 ちゃんと痛みはあるよ?気絶はしないけどね。だから嫌なんだよ……この授業……痛いだけでどうしようもないんだもん。


「そ、そんな……」


 サーシャさんが、自信を無くしたのかその場にへたり込んだ。自信のある魔法が全て徒労に終わったのだから仕方ない。寧ろまともに戦えない俺の方が申し訳なくなる。

 恨むなら試合を希望した5分前の自分を恨みな?


「さて……なら次は俺の番だな」

「え……い、いや!来ないで!変態ッ!」


 指をパキパキ鳴らしサーシャさんに近付いたら石を投げられた。俺悲しい……確かにエロ漫画を見せたのは悪かったよ?でもさ?ここまで嫌う事ないじゃん!サーシャさんもエロい事の一つや二つ見たりやったりするでしょ?


「はぁ……」

「な、なんですか!?私の魔法がそんなにつまらないですか!」

「あっ違う!」


 つまらない考えで思わずついたため息がサーシャさんを追い詰めてしまった!そんなつもり無いのに!このすれ違いもまた【ギャグ漫画】って事なのか!?


「私はもう負けたく無いんです!王都で家族の期待に応えられなかった私はここで名誉を取り戻さないといけないんです!!」

「期待?名誉?」


 サーシャさんの言葉から悲しみを感じた。

 転校前に何かあったのか、それを受けて家族とも上手くいってないのか。


「何でそんな悲しそうな顔してんだよ……」

「私が弱いから!彼女に勝てなかったから!!」


 彼女?については分からないが、やはり向こうで何かあったらしい。こんな街に好き好んでくるのはおかしいと思ったが、こんな悲しそうな顔をされて俺は我慢ならない!

 俺と同い年の女の子だぞ?まだ未来がある子供だ。家族の期待に応えたい純粋な子が今苦しんでる!

 そんなの……俺は嫌だ!

 この子はずっと笑っていてほしい!だってサーシャさんにはまだ……家族がいるじゃないか!


「家族の期待って言ったけど……サーシャさんのお父さんとお母さんは君に失望したの?」

「したわ!したに違いないわよ!王都で無惨に負けた私に呆れてるに決まってるじゃない!」

「それは本人から聞いたの!?」

「そ、それは……聞いてない……」


 良かった。それならまだ希望はある。決めた。俺はまだサーシャさんとの試合を諦めるわけにはいかなくなった。

 【ギャグ漫画耐性】この能力に秘められた力は何もダメージに耐性を付与するだけじゃない。

 泣いてる子を励まし笑顔にさせる力だってあるはずだ!

 だってそうだろ?【ギャグ漫画】はいつでも人の心を温かくする魔法みたいな本じゃないか!


「なら学校が終わったら聞いてみなよ」

「いや!そんなの1人じゃ怖くて聞けないわ」

「なら俺も一緒に着いて行く!俺馬鹿だからさ!こんな励まし方しか出来ないけどそれでサーシャさんが笑ってくれるならどこへでも付き合う!」

「来ないでよ!フレイムピラー!!」


 炎が俺を焼いたが今度は飛ばされなかった。俺は炎を突っ切り焦げた手でサーシャさんの手を握り引き寄せた。


「君がどんなに俺を嫌おうが、俺は何度でも君に伝えるよ。だってしぶとさが売りだからね」

「いくら貴方が不死身でも、聞き入れることはできないわ。パパとママに話を聞くのは怖いのよ……」

「大丈夫その為に俺が着いてやる!もし本当にそう思われてたら俺達が代わりに言ってやるよ!サーシャさんはめちゃくちゃ強かったってな!」


 サーシャの目に涙が浮かび始めた。

 それは彼女自信の実力を俺が認めたからだろうか、一緒に話を聞きに行ってくれる人が出来たからかは分からないが勇気を与える事が出来たようだ。


「貴方って強引ね」

「男は少し強引なぐらいがモテるんだぜ?」

「ふふっ。降参。貴方に勝てる姿が想像出来ないわ」

「良いの?」

「ええ。勝ちは譲るけどその代わり私のお願いを聞いてね?」

「おう!君の両親の所について行くんだな!まかせろ!」


 そうして俺たちの模擬戦は終わった。

 学校が終わった後、俺とサーシャさんの2人は彼女の家に向かい、彼女に失望していない事を聞いてお互い安堵した。だが最大の問題はそこでまさかまさかの提案を受ける事になったのだが……それはまたの話。

暇つぶしで描いた短編です。

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